— 日本におけるBIの浸透度は、欧米と比較していかがでしょうか?
Sultan氏:
欧米の企業は早い時期から、ITの活用によるコスト削減のみならず、売上増加や生産性向上に注力してきました。企業内のデータを活用することによって従業員の生産性を向上するという意識が広く浸透していたといえます。その結果、BIソリューションの採用もかなり進んでおり、部門レベルから全社レベルのデータ活用へと大きく進化を遂げつつあります。
それに対して、欧米と比較して日本の企業ではやや遅れている状況にあるようです。しかし従来のコスト削減を目的としたIT投資だけでなく、営業系など生産性向上のためのデータ活用に対する投資が増加傾向にあり、部門レベルでのBI導入も伸びています。
またパフォーマンスマネジメントに対するニーズも非常に高いと聞いています。日本市場はアメリカ、ヨーロッパと並んで、グローバルなスケールでポテンシャルの高い市場ですので、BIに関しても非常に大きな成長、つまり我々にとってのビジネスチャンスが期待できると思っています。
— 日本の企業は大多数が中堅・中小企業です。それらの市場に向けた戦略は何かありますか
Sultan氏:
中堅・中小企業は重要なターゲットであり、まさに今、我々はSMB(Small and Medium Business)市場にフォーカスしています。現行の製品ではCrystal ReportsがまさにSMBに焦点を当てた製品になります。また2007年の早い時期には、SMBをターゲットとした新たなパッケージを提供する予定です。
BIに対するニーズそのものは、中堅・中小企業でも大企業と同じであると考えています。すなわち信頼のおけるデータにアクセスし、その活用によって企業のパフォーマンスを高め、事業目標を達成して成長を続けていくという点では、まったく同じだからです。大企業と大きく異なるのは、中堅・中小企業がITの予算やリソースの不足という問題を恒常的に抱えていることです。
そこで我々は、エンタープライズBIの様々な機能をワンパッケージに統合し、管理や導入が簡単で、かつ低価格なSMB向けのソリューションを提供したいと考えています。
— 従来からのBI専業ベンダーや大手ベンダーの参入など、BI市場における競合に対してはどう捉えていますか
Sultan氏:
今日ではCognos、Hyperionなど、様々なBI専業ベンダーが存在しますが、いずれに対しても市場シェアは我々が大きく上回っています。我々自身もBI専業ベンダーですが、BIの分野でリーダーであり続けるためには、常にBIを超えたイノベーションが必要と考えています。
最近のイノベーションの例としては、先般サンフランシスコで開催したBusiness Objectsのユーザカンファレンス「Insight Amerias 2006」において、今後提供する予定のバージョンアップ版「BusinessObjects XI Release2 Productivity Suite」を発表しました。この製品のキーワードは「Search」であり、構造化データだけでなく非構造化データにも対応する新たな検索機能を備えています。
またOracleやMicrosoft、SAPといった大手ベンダーがBIに参入してきましたが、BIに関する限り、彼らの機能はまだ追従している段階と捉えています。戦略的にも、自社のプラットフォームに付加価値としてBIを載せているものであり、プラットフォームが限定されています。我々のBIソリューションは、複数のプラットフォーム上で稼働します。それによってはじめて、データの全体像を提供することができるのです。
— 最後に、Business Objectsと他のBIベンダーの決定的な違いは何でしょうか
Sultan氏:
まず1つは、常にイノベーションを続けていることです。そしてもう1つは、コアBI、EIM、EPMによって、データ統合からレポート・分析、経営ダッシュボードに至るまで、1つのベンダーでEnd to Endのソリューションを提供できることです。
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