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.NETが目指したものは何か
第3回:最新のフレームワーク.NET Framework 3.0
著者:
マイクロソフト 松崎 剛
2007/3/27
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Windows Presentation Foundation(WPF)
冒頭で、.NETが開発の基盤のみならず、日常生活にも浸透した幅広い分野でその役割を担っていると説明しました。WCFとWFは開発に対する新しいフレームワークの側面を持っていましたが、Windows Presentation Foundation(WPF)は、こうした幅広い層に直接の価値を提供する新しいテクノロジです。
ユーザインターフェース(UI)は、エンドユーザにとって、アプリケーションのすべての入り口です。現在、UIの世界では数多くのコントロールが存在し、必要とするほとんどの操作を可能としていますが、ハードウェアやデバイスの性能が向上した現在では、まだソフトウェアの側にも進化の余地が残っています。
3Dのグラフィクスやゲームは、マウスによる移動、回転など、利用者にとって明快で直感的なインターフェースを実現しています。こうしたテクノロジが利用者にとって違和感なく動作する背景には、ソフトウェアやCPU、I/O、バスなどの進化に加え、最近では多くのPCで搭載されるようになったGPU(Graphics Processing Unit)などのグラフィクス用のハードウェアの進歩も大きく貢献しています。
3Dのグラフィクスやゲームで使用されるソフトウェアのライブラリは、こうしたハードウェアを有効活用するように設計されています。しかし、一般のビジネスアプリケーションなどでは、こうしたハードウェアはまだその余力を残しているのです。
一方、エンドユーザの利用環境に目を向けると、例えばExcel、WordなどデスクトップアプリケーションのUIの世界では、メニューやツールバー、コンテキストメニューなどの豊富なコントロールが活躍しています。こうしたUIは、インターネット時代の現代において大勢を占める一般家庭のユーザや、これからコンピュータを覚えようとしているユーザなどにとっては、まだ敷居の高い操作性となっていることでしょう。
さらに、Webブラウザのインターフェースの世界では、イメージやクリッカブルテキスト、ビデオ、Wordなどのドキュメント、さらにはサードパーティ製のコントロールを使ったアニメーションなど、マルチメディア的な誘導型のUIを提供していますが、こうした開発には、数多くの個別の異なるライブラリやテクノロジを組み合わせていく必要があります。
Windows Presentation Foundation(WPF)は、前述したメニュー、ボタンなどのコントロールから、イメージ、ビデオ、アニメーション、3Dなどのマルチメディアコンテンツまでの様々なメディアを統一的なプログラミングモデルで構成することができます。
XAML(eXtensible Application Markup Language)と呼ばれるXMLによる宣言的な記述を使って、多様なコンポーネントを統一的な方法で組み合わせることが可能です。このため、ゲームなどに限らずより一般的なアプリケーションの中においても、イメージを含んだリストボックスを作成したり、ボタンを回転させたり(ボタンとアニメーションの融合)など、複数のメディアを簡単に組み合わせ、より直感的でビジュアルなUIをエンドユーザに提供することができます。
図2:WPFアプリケーション(例)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
また、その描画においては、GPUなどの専用デバイスをフルに活用するように設計されています。このため、従来のUIと異なり、ベクトルベースの描画処理や、3Dの表現と動作にも優れているのです。
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著者プロフィール
マイクロソフト株式会社 松崎 剛
1969年生まれ。慶応義塾大学院数理科学専攻修士(博士前期)課程修了。1994年より、情報システム系技術者としてのシステム構築、ソフトウェアプロダクト開発、技術系コンサルティング(アドバイザー業務)などを複数企業で経験。マイクロソフトでは、デベロッパーエバンジェリストとして、開発者向けのセミナーなどを主体とした活動を実施。
INDEX
第3回:最新のフレームワーク.NET Framework 3.0
.NET Frameworkに加わった新しいテクノロジ
Windows Workflow Foundation(WF)
Windows Presentation Foundation(WPF)
.NETのこれから