第3回:検索ログの信頼性を高めて経験価値を向上させる (3/3)

企業サイト内検索
企業情報を活かす検索エンジン新時代

第3回:検索ログの信頼性を高めて経験価値を向上させる

監修:マーズフラッグ  武井 信也
著者:ThinkIT編集局   2007/3/19
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検索結果でユーザを導き行動へとつなげる

   あるキーワードの検索結果が「0」だった、というログを得ることで、今まではわからなかった様々なことがみえてきます。

   例えば、商品名を間違えているケースがあげられます。デジタル製品や家電製品などを中心として「シリーズ名+アルファベット+数字」といったような組み合わせの製品名が与えられているケースが数多くあります。

   そういった製品名を、すべての人が正確に覚えているわけではありません。覚えているつもりでも、製品名に入っているハイフンの位置やアルファベットと数字の順番を間違えてしまったばかりに、サイト内検索の結果が「0」になってしまったとしたら、これはとても残念なことです。

   検索ログを検証した結果、製品名のハイフンの位置やアルファベットと数字の順番を間違えている人が多いことがわかったら、その程度の間違いがあったとしても製品情報のページを検索結果に表示させてあげたり、直販サイトに誘導してあげるなどといった対策を取ることができます。

   メーカから見れば「多少製品名を間違えていても、買ってくれればOK」というわけです。ユーザも欲しい情報にリーチできるのですから、不満はありません。

   しかし、もしこれが「企業がとても力を入れているブランド名」だったら話は別かもしれません。「Rock」を「Pock」と覚えてサイト内で検索し、検索結果「0」となってしまっている人が月に1,000人いたとしてら、これは大変なことです。

ユーザがブランド名を間違えて覚えているケース
図2:ユーザがブランド名を間違えて覚えているケース

   もしそういうことがわかれば「ブランドをきちんと認知してもらうためのキャンペーンをWebページ上で行い、さらにユーザが『Pock』で検索しても、ちゃんとキャンペーンのページに導けるようにしよう!」といった2重の対策を取ることができるでしょう。

   この対策はWebサイト上だけで行えるので、即座に行動に移ることができます。これだけの作業で、今までは正しくリーチできていなかった1,000人のユーザを製品サイトに引き込めるようになります。闇雲にテレビCMの本数を増やすよりも、はるかに効率的といえるでしょう。


検索結果「0」をいかに活用するか

   検索結果「0」を活かす実例を紹介します。

   マーズフラッグが提供している企業サイト内検索エンジン「MARS FINDER」には「ずばケン!」という機能があり、特定のキーワードに対して必ずあるページをトップに表示させることができます。

   「新しいテレビCMを大々的に打った当日に、間違ったスペルによるサイト内検索が大量に行われていた」などということがあれば、企業としては憂鬱どころか大きな機会損失となってしまいます。しかしそんなときには「ずばケン!」を使って、見せるべきページにユーザを誘導するといった対策を取ることができるのです。

   またユーザは、企業が想定していないような様々なキーワードで検索を行います。あるテレビドラマで主人公がかっこいい車に乗っているシーンがあり、その会社のロゴが画面に映ったとします。その後、その企業のWebサイトでは、ドラマ名でサイト内検索が行われました。これは「企業名はわかったが車種はわからないので、とりあえずドラマの名前でサイト内を検索してみた」というわけです。

   早速Web担当者は、そのドラマ名で検索された場合には該当する車種のWebページを「ずばケン!」で表示するように設定し、ユーザの誘導をはかることができました。

   さらに特殊な例として、インターネットの世界では商品名にニックネームが付けられて、1人歩きすることがあります。京セラ製のPHSが「京ぽん」や「京ぽん2」といった愛称で呼ばれているのが良い例です。

   そういった愛称をWeb担当者が企業内のサイトに堂々と表示させることはできませんから、普通に考えればサイト内検索の結果は「0」となるでしょう。担当者は常に様々な情報に目を向け、どのようにユーザを目的のページに導くかが重要になってきています。

   従来のサイト内検索では、こういった事態を知る術がありませんでした。知ることができなければ、対策をとることもできません。知ることができるのとできないのとでは、非常に大きな差があることがイメージできたのではないでしょうか。


マーケティングやブランディングの一環として

   サイト内検索は、仕方なく導入するものではありません。

   Webサイトは顧客のために作るものです。ユーザ満足度を高めたり、ブランド価値の維持や向上を果たすための重要なツールです。そしてサイト内検索も、そのツールの中で重要な役割を占めています。

   サイト内検索のログをしっかりと取ることで、ユーザとのコミュニケーションを密にすることが可能です。これからのサイト内検索は、単に「サイトに検索窓を付ける」のではなく、マーケティングやブランディングの一環として、総合的な価値判断の中で導入されるものに進化していくことは間違いないでしょう。

   これまでは「ユーザが情報を検索したい」という目的に合わせたサイト内検索の活用法について紹介してきました。次回からは、企業が自らの情報を精査し、企業価値を高めるために、もう1つの企業サイト内検索について解説していきます。

用語解説
MARS FINDER
マーズフラッグが開発・提供している企業サイト内検索エンジン。
http://www.marsflag.com/marsfinder/

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株式会社 マーズフラッグ 代表取締役社長 武井 信也
監修者プロフィール
株式会社マーズフラッグ  代表取締役社長
武井 信也

学生時代よりプログラミングに魅力を感じ、多くの言語を経験する。システム開発・コンサルティング会社、株式会社サイバーコム設立発起人を経て現職。現在、見える検索エンジンポータル「MARS FLAG」および、見えるサイト内検索エンジン「MARS FINDER」を開発・運営。


INDEX
第3回:検索ログの信頼性を高めて経験価値を向上させる
  サイト内検索は検索ログとの併用で効果アップ
  精度の高いログを手に入れるには
検索結果でユーザを導き行動へとつなげる
企業情報を活かす検索エンジン新時代
第1回 企業サイトのがっかり検索をなくせ
第2回 検索ポータルと企業サイト内検索の目的の違い
第3回 検索ログの信頼性を高めて経験価値を向上させる
第4回 内部統制におけるサイト内検索の活用
第5回 検索エンジンで企業内ナレッジを一本釣り

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