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ログが企業サイトの価値を高める
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— 意思決定をサポートするとはどういうことでしょうか
ポプキン氏:企業の目標や戦略を達成するために、例えばソリューションの導入や業務プロセスの変更、人事異動などによって、業務の効率化をはかるとします。それらの導入や変更の決定をする際に、時間やコストだけで判断を下すわけではありません。そこには多くの要素を含んでいるのです。
その決定を下す際には、時間やコスト以外の要素を盛り込んだガイダンスが必要でしょう。そのガイダンスを作成するには、企業内に存在する情報を収集して分析するという流れになります。
そのガイダンスの情報とは、例えば業務プロセスの図式化したものが考えられます。業界標準のプロセスを利用する場合であれば、UMLや組織図などがそれあたります。またテクスチャーのマッピング機能を利用して、企業の目標や戦略を明確に表現することも考えられます。ERPを利用している企業であれば、System Architect/ERPの機能を利用して、それらの情報を入手することができます。
分析の部分については、例えばそれらの情報をBIツールによって分析することもありますし、分析のプロが行う場合もあるでしょう。
そのようにして得られた情報や分析結果は、必要な人に提供されなければなりません。それらを具現化する方法として、例えばWebサイトを作る場合には、System Architect/Web Publisherを利用します。データが美しく見えるように、XMLとXSL(XMLのスタイルシート)を用いてHTMLを仕上げます。
またSystem Architect/XTでは、それらの情報を閲覧する際に必要な機能を提供しています。それらの情報はスタティックな形はもちろんのこと、リアルタイムで見ることもできます。また過去のデータベースからデータを取得して利用することも可能です。
ここで紹介したのは、あくまで一例です。企業によって目的や戦略は異なりますし、経営者やIT部門の上級管理者といった役割によって、意思決定を下す際に必要な情報は変わってきます。
例えばIT部門の場合は、システム構成やアプリケーションの種類、ハードウェアの情報を把握し、管理しておきたいという要望があるでしょう。経営者の場合では、プロジェクトによってどの程度の金額が発生し、どのような影響がでるのかという情報を必要としているのです。
それらの情報を獲得する際に、System Architectの様々な機能が支援するという形です。そのため、意思決定をサポートするソリューションという位置づけなのです。
— 海外ではエンタープライズアーキテクチャの浸透度はどのぐらいでしょうか
ポプキン氏:アメリカの連邦機関では、かなり長い時間をかけて、エンタープライズアーキテクチャを推進しています。ソリューション自体の導入は約5〜8年ほど前からはじまりましたが、エンタープライズアーキテクチャという部分では、様々なプロジェクトにおいてそれ以前からかかわっています。
現在エンタープライズアーキテクチャは、ベストプラクティスとして認められており、成熟期に入っているといえます。日本ではエンタープライズアーキテクチャに対する意識レベルは非常に高いのですが、日本の文化や企業風土などにより企業で実践されている状況ではありません。
— エンタープライズアーキテクチャの効果を実感するには長い期間が必要でしょうか
ポプキン氏:エンタープライズアーキテクチャというのは、長期的な視点が必要になります。その期間は1年ということもありますし、2年〜7年ということもあります。企業における目標や戦略の達成を考えれば、多年にわたることが一般的といえるでしょう。
またソフトウェア開発などとは異なり、エンタープライズアーキテクチャは企業が存続する限りずっと継続して続けていくものです。そのため明確な期間を述べることは難しいでしょう。
これは効果という面でも同様です。コスト削減や時間短縮という目標であれば数字で表現できますが、企業によってその目標や戦略が異なるため、数字ではあらわれにくいものもあります。
プロジェクトの意思決定をする際に必要である情報を収集・分析したものを利用すると、それは1つの事実となります。この同じ事実をもとに、同じ言葉で、それらの事実を用いて企業のプロジェクトが動いていくわけです。企業のプロジェクトがそのような方法論で進んでいけば、そのプロジェクトにとって大きな価値を生み出していくことは確かです。
— System Architectが実現することは何でしょうか
ポプキン氏:System Architectはあくまで、会社で取り組んでいることを支援するソリューションです。System Architectを用いれば、Webによってその取り組みができるのです。
ただし企業文化や利用する場面によって、紙の場合もあれば、Webの場合もあるでしょう。それはその場その場で決定していけばよいのです。これまでエンタープライズアーキテクチャを紙ベースで文書化して行っているのであれば、そのままでも問題はありません。
エンタープライズアーキテクチャによって、企業の目標や戦略を効率的かつ効果的に達成し、System Architectがその助けとなればと考えています。
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テレロジックAB チーフ・ストラテジスト ジャン・ポプキン
エンタープライズアーキテクチャのエバンジェリスト。Popkin SoftwareのCEO兼設立者であり、現在はテレロジックABのチーフ・ストラテジストとして、テレロジックの技術、マーケティング戦略を支える。ビジネスプロセスモデリング規格の主要団体OMGのBPMI.orgの審議委員会役員をはじめ、INCOSEやACM、IEEEの会員、Worldwide Institute of Software Architectsのアークテクチャフォーラムの創立会員、NYSIAの役員などの主要メンバーとして活躍している。
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