SubversionとTracを連携しよう
ではコミットメッセージとチケットを結び付けるために、trac-post-commit-hookを設置しよう。今回は、SubversionとTracが同一のサーバで動いていることを前提として解説していく。
まず、Tracのディレクトリに移動し(「cd Tracのディレクトリ」)、svn-contribディレクトリを作成し(「mkdir svn-contrib」)、svn-contribに移動する(「cd svn-contrib」)。
trac-post-commit-hookのダウンロード
通常は最新版のTracを公式リポジトリからダウンロードして利用する(リスト1)。
古いバージョンのTracを使用している場合は注意が必要だ。そのままではtrac-post-commit-hookを使うことができない。通常はTracのバージョンと合わせて、古いスクリプトを取得する必要がある。今回は試すことが目的であるため、バージョンチェックを強制的に無効にして実行する方法もある(リスト2)。ただし、正しい動作保証はできないので注意する(筆者の環境では、動作している)。またtrac-post-commit-hookはPythonで書かれているので、サーバにはPythonをインストールしておくこと。
リスト1:最新版のTracをダウンロード
$ svn export http://svn.edgewall.com/repos/trac/trunk/contrib/trac-post-commit-hook
リスト2:バージョンチェックの無効
$ svn export http://svn.edgewall.com/repos/trac/trunk/contrib/trac-post-commit-hook -r 1246 trac-post-commit-hook-orig
$ cat trac-post-commit-hook-orig | sed "/self\.verifyDatabaseVersion/d" > trac-post-commit-hook
$ chmod a+x trac-post-commit-hook
リスト3:hooks/post-commitファイルの生成
---- begin of hooks/post-commit ----
#!/bin/sh
TRAC_ENV="/var/trac/myproject"
SVNLOOK="/usr/bin/svnlook"
PYTHON="/usr/bin/python"
export LANG=ja_JP.UTF-8
REPOS="$1"
REV="$2"
LOG=`$SVNLOOK log -r $REV $REPOS`
AUTHOR=`$SVNLOOK author -r $REV $REPOS`
${PYTHON} ${TRAC_ENV}/svn-contrib/trac-post-commit-hook \
-p "$TRAC_ENV" \
-r "$REV" \
-u "$AUTHOR" \
-m "$LOG"
---- end of hooks/post-commit ----
フックの設定
次に、Subversionのコミット時に、このコマンドが呼ばれるようにフックを設定する。hooks/post-commitという名前でリスト3のファイルを生成する。連携するTracの設置ディレクトリは2行目のTRAC_ENVで指定する。またSVNLOOKやPYTHONも環境に合わせて変更する。
編集が終わったら、「chmod a+x hooks/post-commit」と入力し、実行ビットを立てるのを忘れないようにする。
これでリポジトリにコミットするとpost-commitが呼ばれ、その中からtrac-post-commit-hookが呼び出されるようになる。trac-post-commit-hookは、Tracのデータベースを操作し、チケットからリンクを貼ってくれる。
また、このファイルはsvnサーバから実行され、Tracのファイルを変更する。そのため、svnサーバの実行権限でTracのファイルを書き換えることができるようにしておく必要がある。一番よいのは、TracとSubversionの両方ともApache経由で実行することだ。そのような環境でない場合は、Subversionの実行ユーザがTracのファイルを書き換えることができるように、適切にパーミッションを設定する。 次のページ