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| ネクスト・ソサエティの到来 | ||||||||||
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今後、企業と従業員の関係はどのようになっていくのだろうか。2年前にブームになったピーター・ドラッガーのネクスト・ソサエティの世界が、現実味を帯びてきた。ドラッガーはネクスト・ソサエティを知識社会と捉え、これからの資本家は高度な専門性を持った知識労働者であると定義している。専門知識こそが生産手段、すなわち資本であるからだ(表1)。
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表1:ネクスト・ソサエティとは… 出典:P・F・ドラッカー(著)ネクスト・ソサエティ |
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| ネクスト・ソサエティの中の企業の役割は、知識労働者に活躍の場を与えることである。有能なファンドマネージャーやアナリストは、金融会社や投資会社があって初めて成果を上げる。有能なプロジェクトマネージャーやプログラマは、IT企業の中で自分の能力を最大限生かすことができる。同様に、金融会社は有能なファンドマネージャーやアナリストを必要として、IT企業は有能なプロジェクトマネージャーやプログラマを必要としている。 ネクスト・ソサエティの中では組織と知識労働者の間に上下関係は存在しないため、両者の中で雇用意識の変貌が起こる。知識労働者にとって重要なことは、組織が何をしようとしているかを知り、組織の中で自己実現をはかり、継続学習の機会を持つことである。 新聞の高額納税者の欄に100億円の給与所得者が現れた。また、筆者は外資系のIT企業や金融企業に勤めた経験があり、大口の契約を1社とって1億円のコミッションを貰った凄腕の営業マンやファンドマネージャーの年収の高さがプロ野球の選手並であることを知っている。 彼らは今までに5社以上の転職経験があり、全ての企業が自分のキャリアパスの一部であると考えている。彼らの意識の中では企業とは自分の活躍を提供する場にすぎないと考えており、企業に雇われているという意識は希薄だ。ただ、コミッションで1億円を貰ったはいいが、翌年は契約が取れず、翌年の住民税を払うのに借金をしたということだが…。 ネクスト・ソサエティの中のCEOの役割は、オペラの総指揮者に似た仕事になる。皆が同じ楽譜を持っている知識労働者の歌手やバイオリニストは、自分が最高の演奏を奏でられるように日々努力しなければステージに立つことができない。総指揮者は観客(カスタマー)に最高の演奏(サービス)を提供できるよう、知識労働者を組織化して、最高のパフォーマンスを引きだせるようにタクトを振らなければいけない。 企業戦略を1人1人に浸透させ、従業員に継続教育の機会を与え、専門性を十分発揮できる制度を作るのは誰なのだろうか。それは経営者であり、それをサポートするのが人事部の役割である。タクトを振るのはCEOの仕事だか、必要な演奏者を集め、楽譜を作り、演奏者に訓練の機会を提供するのは人事部の役割になる。 |
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