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| プロジェクトの定量的な管理 | ||||||||||
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プロジェクトを定量的に管理する主たる目的は、計画策定時に設定した各種の目標値と、進行中のプロジェクトの実績値との差異を分析評価し、定量的な裏づけをもってタイムリーな課題管理やリスク管理を行い、それによって計画の実現性を高め、生産性や品質を向上させることである。 以下では、システムを構築するベンダー側がプロジェクトの各段階においてどのような定量的管理を行うかと、それと合わせてユーザ企業の側がベンダーから定量指標を用いた報告を受けることによって、プロジェクト進捗状況をどのように適切に判断すべきかについて説明する(図3)。 計画フェーズではユーザ企業においても、自社のIT統括部門などに集約されている全社共通の標準指標をもとに、プロジェクト開始前の目標設定として生産性や品質の目標値を明確にしておく。また兼任でもよいので、品質や生産性の管理担当者を配置することも検討しておく。 設計フェーズでは、次の手順を踏んで見積り作業が行われる。
表1:設計フェーズの見積り手順
設計フェーズのなかでも、概要設計の段階では大枠の規模見積りを行うため、類推法や簡易FP(Function Point)法を適用して見積もることになる。この場合、外部設計や基本設計の終了時にあらためて詳細な見積りを行って実行計画を策定する必要がある。このため、当初の見積りの前提や根拠、見積り方法、見積り基準、見積り結果に対するリスクなどについては、見積り資料のドキュメントの中に明確に記載しておくことが望ましい。途中で見積り変更を行う上での根拠となるからである。 こうした見積りに関する情報蓄積は、ユーザ企業としてベンダーにシステム構築を依頼し見積りを出させる際に、委託者側としての見積りを実施し、ベンダーからの提案の妥当性を評価するための基礎資料として役立つ。 開発フェーズでは、投入工数の実績値やコストの大部分を占める投入要員の人件費を把握する。ユーザ企業としては、実際にはベンダーからの報告をもとに実績値を収集する。 テストフェーズではテスト件数やバグ件数などの実績値を収集し、品質管理目標値との差異分析をもとに品質評価を行い、必要に応じてベンダーに品質改善策の実施を指示する。自社で品質指標を持っていない場合は、外部コンサルタントなどが所有している品質基準と照らし合わせて、十分な品質に達しているかどうかを判定し、現工程の終了可否を判断することもある。 運用フェーズでは、事業部門の業務に重大な支障を与えた障害から、利用者には直接影響しないが保守・運用部門の作業を必要とした障害まで含めて、障害件数の推移や発生原因および解決に要した工数・コストを把握し、品質向上活動に活用する必要がある。 指標の精度を向上させるためにはプロジェクト内での実績値の収集だけでなく、プロジェクトアセスメント組織による見積りの客観的評価、全社IT統括部門での各プロジェクトからの予実績値の集約・蓄積、管理すべき指標や標準値の定期的な見直しなど、PDCAサイクルを回し続けることが重要となる。 表2に、システム開発における主な管理指標の例を掲載しておく。これらは、企業にシステムを提供する情報サービス企業で活用されている管理指標であるが、ユーザ企業においても、システム構築プロジェクトの各段階における管理指標として参考になる。 |
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