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— 「オープンソースのビジネスへの技術転用」がうまくいっている例と言えるでしょうね。その秘訣はどこにあるのでしょうか
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ロン氏
いい質問ですね(笑)。前に述べたように、オープンソースはアップルの開発戦略において重要な位置を占めていることは間違いありません。しかし、私たちはそれ以外にも、プラットフォームやハードウェア、アプリケーションといった、多くの優れた技術を保有しています。したがって、オープンソースから何かビジネスにしていくという考え方ではなく、「オープンソースはあくまで様々な取り組みの中の一部で、必要な部分に活用する」というスタンスでいることが、うまくいっている秘訣なのではないかと考えています。
それから、アップルを利用して開発を行っている方々、iPodやスーパーコンピュータまで扱っているものは様々ですが、何か新しいものを作るときに彼らから質問を受けたときには、必ず「オープンソースソフトウェアをチェックした?」とアドバイスすることにしています。そうしていいものがあれば活用し、さらに良いものができあがったら、それをコミュニティに戻す、ということを勧めています。
私たちがこのような戦略を使って成功しているということは、他のデベロッパーの方々も同じように、まずオープンソースソフトウェアを調べ、似た設計のものがあればそれを利用し、そしてまたオープンソースコミュニティに返すという戦略は有効なのだといえるのではないでしょうか。
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— オープンソースコミュニティへの技術の還元については、どのようなご判断をされているのですか?
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ロン氏
この答えとして実によい例が「Safari」でしょう。「Safari」は、KHTMLを使ってその上にブラウザを構築したのですが、誰にとっても有用なものはもちろんコミュニティに還元し、Mac OS Xにとってのみ必要なものと思われるものは還元していません。そのため、判断基準というのは、その場合に応じて「ケース・バイ・ケース」ということになると思います。しかしいずれにしても、まず一番はじめに達成すべき目標を定義し、その定義にあったものは社内に保有し、それ以外の汎用性の高いものについてはコミュニティに還元するというスタンスが基本になっています。
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— 「Rendezvous」のようにアップルが独自に開発したものも、オープンソースとして公開しているものがありますね。他にもそのようなものがでてくるのでしょうか
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ロン氏
これも、やはり「ケース・バイ・ケース」ですね。また、将来の開発に関してのコメントはできませんが、その他のオープンソースソフトウェア、例えばMySQLやApacheなどを改良し、Mac OS Xに含む可能性はなきにしもあらずといったところですが、それは機会があったらの話で、その方が良いと判断した場合の話です。あくまでも「ケース・バイ・ケース」による判断となるでしょう。
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— それでは、オープンソースとの関係性についてですが、今後どのように発展するのでしょうか
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ロン氏
SourceForgeの方で見てみますと、Mac OS Xに関するプロジェクトの件数はものすごい勢いで伸びています。このように実際に開発しているというだけでなく、デプロイメントまでいったものの数というのは非常に多くなっているわけですね。多くのデベロッパーがオープンソースで、しかもMac上で行ってくれているということは、私たちにはとても嬉しいことです。
戦略としてまずオープンソースを取り込んでいこうと決め、その後Mac OS Xの各世代ごとにそれを踏襲しているわけですが、同じような形でこのプロジェクトの数が増えているというのは、これから先もアップルにとっての成功の基礎になると思います。
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Safari
アップルが独自に開発したWebブラウザで、Mac OS Xの標準ブラウザとして内蔵されている。オープンソースのソフトウェアをベースにしており、レンダリングエンジンにはKDEオープンソースプロジェクトの「KHTML」および「KJS」が採用されている。
Rendezvous
802.11ベースの無線ネットワークを含むあらゆるIPネットワーク上の周辺機器を自動的に検出して接続するネットワークテクノロジー。すべてのソースコードが公開されており、Canon、Epson、Hewlett-Packard、Lexmark、Philips、Sybase、Xeroxといった主要なデベロッパー企業が、幅広い分野における製品においてサポートすることを発表している。
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