ロン氏 この答えとして実によい例が「Safari」でしょう。「Safari」は、KHTMLを使ってその上にブラウザを構築したのですが、誰にとっても有用なものはもちろんコミュニティに還元し、Mac OS Xにとってのみ必要なものと思われるものは還元していません。そのため、判断基準というのは、その場合に応じて「ケース・バイ・ケース」ということになると思います。しかしいずれにしても、まず一番はじめに達成すべき目標を定義し、その定義にあったものは社内に保有し、それ以外の汎用性の高いものについてはコミュニティに還元するというスタンスが基本になっています。
ロン氏 これも、やはり「ケース・バイ・ケース」ですね。また、将来の開発に関してのコメントはできませんが、その他のオープンソースソフトウェア、例えばMySQLやApacheなどを改良し、Mac OS Xに含む可能性はなきにしもあらずといったところですが、それは機会があったらの話で、その方が良いと判断した場合の話です。あくまでも「ケース・バイ・ケース」による判断となるでしょう。
— それでは、オープンソースとの関係性についてですが、今後どのように発展するのでしょうか
ロン氏 SourceForgeの方で見てみますと、Mac OS Xに関するプロジェクトの件数はものすごい勢いで伸びています。このように実際に開発しているというだけでなく、デプロイメントまでいったものの数というのは非常に多くなっているわけですね。多くのデベロッパーがオープンソースで、しかもMac上で行ってくれているということは、私たちにはとても嬉しいことです。
戦略としてまずオープンソースを取り込んでいこうと決め、その後Mac OS Xの各世代ごとにそれを踏襲しているわけですが、同じような形でこのプロジェクトの数が増えているというのは、これから先もアップルにとっての成功の基礎になると思います。
Safari アップルが独自に開発したWebブラウザで、Mac OS Xの標準ブラウザとして内蔵されている。オープンソースのソフトウェアをベースにしており、レンダリングエンジンにはKDEオープンソースプロジェクトの「KHTML」および「KJS」が採用されている。