インストールとNICの設定
NIC設定について(OS標準機能)
NICの設定ではそのNICのポート1つに対してIPアドレスやネットマスク、ホスト名などを設定しますが、インストーラの時点で設定する場合もあれば、OSが起動した後に設定を行う場合もあります。
例えば、複数のNICを束ねて1つのNICに見せ、NICの片方に障害が発生しても通信が継続されるbonding構成を行う場合は後者になりま す。HAクラスタ構成などではbonding構成によってNICの障害対策を施しますが、bonding構成の場合はインストーラの時点で設定することは なく、OSインストール後にbonding設定を手動で設定します。
ホスト名の設定では、ミドルウェアやアプリケーションによってはドメイン名を含まないホスト名が推奨されている場合もあるので、注意する必要があります。
NICのドライバについて(OS標準機能、PSP)
RHELでは、NICを動作させるドライバが標準で提供されています。またハードウェアベンダーからNICのドライバが提供されている場合もあります。OS標準のNICドライバとハードウェアベンダー提供のNICドライバには機能差があります。
HP ProLiantサーバではProLiant Support Pack(PSP)にNICドライバが含まれており、容易にHP製のNICドライバを導入できます。ProLiantサーバではオンボードのNIC(注 2)として、Broadcom社製のものを採用しているものが多くあります。RHEL4において、Broadcom社製のNICはanacondaインス トーラ(注3)が自動的に認識するようになっています。
基盤にネットワークインターフェースのチップがあらかじめ搭載されており、別途にNICを使わずともネットワークに接続できる。
注3:
RHELが採用しているウィザード式のインストーラ
NICの物理位置とRHELのNICインタフェースの割り当てについて
RHELでは複数のネットワークインターフェースの設定が可能ですが、サーバに複数のNICが存在する場合、サーバに刻印されているNIC番号と RHEL上で割り当てられているネットワークインタフェース番号の対応がどのようになっているのかを確認しければなりません。NIC1がeth0に、 NIC2がeth1に割り当てられているかどうか、またNIC1のMACアドレスは何かをBIOSで確認しておきます。
RHEL4のrpmパッケージ選択について(関連項目:システム要件決定、コンサルティング)
RHEL4のインストーラで選択するパッケージ項目には、X Window SystemやGNOMEデスクトップ、カーネル開発、コンパイラ、OpenOfficeなど数多く存在しますが、サーバの用途やシステム要件によって、 インストールしなければならないものやインストールしてはならないものが存在します。
従って、個別のパッケージグループを選択するため、anacondaインストーラにおいて通常はカスタムインストールを選択します。
では大量のパッケージのうちエンタープライズ用途で必要なパッケージはどれかというと、それはシステム要件によって大きくことなるため、一概に決まっているわけではありません。
ただし、サーバ用途で利用するために必要なパッケージ群としてある程度の指針はあります。例えば、ProLiantサーバでは、カーネルソース、コ ンパイラ関連を選択することを強く推奨します。これはProLiant Support Pack(PSP)に含まれるサーバ監視エージェントやドライバ群のコンパイルを行って、ビルドされたモジュールをインストールする必要があるためです。
ベンダーから配布されているドライバはコンパイルが不要なものも数多くありますが、システムに最適化するため、コンパイルしなければならいものもあります。
またサーバであればOpenOfficeやGIMPなどは不要ですからインストールしません。このことはサーバの利用形態に強く依存しますが、ブ レードサーバのようなヘッドレスな運用システムではX Window Systemをインストールしない場合もあります。セキュリティの側面から考えると、メールサーバにしないのであればsendmailはインストールしな いというポリシーもあります。
RHEL4にはデータベースソフトウェアとしてMySQLとPostgreSQLが含まれています。しかしMySQLやPostgreSQLは、管 理ソフトウェアなどによく利用されているデータベースエンジンで、OS標準添付のデータベースソフトウェアを利用しない場合もあります。
例えば、HPのサーバ監視ツールであるSystems Insight Manager(SIM)はOS標準添付のPostgreSQLではなく、SIM自身が持っているPostgreSQLをシステムにインストールします。 したがってSIMを構築する場合は、あらかじめインストール時にPostgreSQLは除外しておくことが必要です。
今回のキーポイント
今回のキーポイントは次のようになります。
- インストールのキーポイント
-
- SANブートするかしないかによってブートローダのインストール場所が異なる
- LVM構成では、ミドルウェアのサポート可否を確認する
- スナップショットによるバックアップを考慮する必要がある場合は、LVMを検討する
- サーバ用途のRHEL4においてはOS領域としてext3やLVMを選択するのが一般的である
- サーバ用途であれば、「/var」「/tmp」「/opt」「/usr」「/home」「/data」などは「/」と別パーティショに分けるのが一般的である
- ハードウェアRAID(ProLiantの場合Smart Arrayコントローラ)によってRAID構成を組むべきである
- HP製の管理ソフトウェアなどを配備する場合は、「/opt」を「/」と別パーティションにすることを考慮し、「/opt」に十分な容量を確保する
- NICの設定のキーポイント
-
- bonding構成の場合、インストール時点でNICの設定は不要であり、OSインストール後に行えばよい
- ドメイン名を含めないホスト名が推奨されているミドルウェアもあるので注意する
- ProLiantの場合、PSPに含まれるNICドライバをRHEL4のインストール後にインストールする