日本電気株式会社では、従来から同社のExpress5800シリーズにおいてLinuxサポートサービスを提供している。しかし、より低価格な「Express5800/セレクションパック」の提供を始めた。本稿では、同社のコンピュータソフトウェア事業本部OSS推進センタープロダクトマネージャーの河野敬子氏に従来からのサービスとの違いを含めて「Express5800/セレクションパック」のターゲットや提供されるサービスの内容についてお話をうかがった。
— 「Express5800/セレクションパック」の概要について教えてください。
河野氏:NECではこれまでもLinux関連製品の対応強化を行っていますが、今回はRed Hat Enterprise Linuxに対応したExpress5800のラインナップを拡充しました。従来からの製品は「Linux基本サービスセット」「Linux拡張サービスセット」などです。
これらは、LinuxOSをインストールした状態で出荷するとともに、導入いただいたあとも、手厚いサポートを提供するものでした。今回提供する「Express5800/セレクションパック」では、導入までは従来と変わらずLinuxOSのインストールを行うとともに、3年分のサブスクリプション(購読権)を付加します。
しかし、その後の運用に関するサポートを省略して、その分低価格で提供するようにしたものです。「Linux基本/拡張サービスセット」では、運用時に使えるインシデントが付いていますが、これを導入、環境セット時のインシデントだけとすることで低価格にしています。
従来からのサービスセットも継続して提供しますので、運用面でのサポートを手厚くしたいと考える場合には、目的に応じて従来のサービスセットをご選択いただくこともできます(図1)。
図1:各種Linuxサポート製品のサービス (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
— こうしたサービスを提供する背景には、どのような理由があるのでしょうか。
河野氏:従来、官公庁や自治体をはじめ、比較的大規模なお客様にサービスセットを含めてExpress5800シリーズを提供してきました。こうしたお客様では導入はもとよりサポートに関しても手厚く対応することが求められることが多く、従来の「Linux基本サービスセット」や「Linux拡張サービスセット」といったサービスを準備していました。
しかし、中小規模のお客様でExpress5800シリーズを導入していただくことが増えており、こうしたお客様向けに導入コスト負担の少ないサービスを用意するということで、ご提供を開始しました。
従来はLinuxの普及期にあって、導入時ばかりでなく運用に関しても様々なトラブルが発生することがありました。こうした場合でも、業務を停止することなく迅速に対応するためには、手厚いサポートが必要であると考えておりました。しかしLinuxカーネルが2.6になりサーバとしての安定性が増し、さらにお客様側での運用経験が増してきたことから、従来ほどのサービスが不要なお客様に向けたサポートサービスも必要であると判断しました。
こうした前提において、他社の同様のサービスよりも導入コストを抑えるサービスを提供することにしました。
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