仮想座談会から見る2007年のBPM展望

2007年1月9日(火)
丸山 則夫

2006年の状況を振り返って(現状の課題)

それでは各々の立場から、2006年の状況を語ってもらいます。

B社経営者「調査に終始した2006年

  • B社経営者(取締役): 当社は以前から先進的な情報システム化で企業体質の強化をはかってきた。KPIによる事業運営も実施しているが現状は形式的な運用に留まっており、有効性や運用面での課題を抱えている。その1つとして、経営と実務、事業、情報システムの乖離があげられる。

    日本版SOX法への対応については2007年早々から実施する計画だが、具体的な構築方法について2006年は調査を行う段階に終始した。

B社業務担当者「業務が見えない状況」

  • B社業務担当者: 情報システム化により業務が見えない状況が出来上がってしまったと感じている。今の業務はここ10年間に導入した情報システムを基に定着したもので、それ以来大きな変更は行っていない。

    情報システム導入によって基幹業務の効率化や品質の向上をはかれたものの、その後、経営活用のため導入された統合パッケージや営業支援システムなどによって、業務処理の複雑化や冗長さが目立ってきた。

    個々の担当の業務改善は随時行ってきたものの、全体の最適化は10年来行っておらず、それぞれが担当する業務以外については知らないことが多いという調査 結果がでた。そこで2006年に横断的な業務プロセスの可視化を試行したところ、必要のない業務プロセスが多数発見された。

B社情報システム構築実務者「情報システムの重要性を再認識」

  • B社情報システム構築実務者: 膨大な改善要求の対応に追われているが、最近はその対応が難しいケースが多く、業務処理で対処(我慢)してもらうことが多くなった。また、いろいろなツールを導入してきた結果、複雑なシステム構成となり、変更が困難な状況にある。

    事業とシステムとの遊離も検討課題となり、アウトソーシングを含めた再構成の提案もでてきている。最近は日本語版SOX法や内部統制が追い風となり、情報システムの重要さが再認識されはじめている。

P社ツールベンダ「BPMSの競争が激化」

  • P社ツールベンダ: パッケージがより企業戦略に沿った形へと変化し、情報部門に対する単純な訴求ではよい返事がもらえず、投資対効果を明確にすることが必要となった。

    これはBPMも同様で、確実な効果が期待できる導入手順や国内での導入事例などが提供できるかが受入のポイントだ。さらにBPMSが市場で精査され、競争が激化する動きが見られる。

M社コンサルタント「コンサルタントの担当分野に悩み」

  • M社コンサルタント: これまで情報システムとは違う分野でのコンサルタント業務を行ってきた。最近はシステム構築と連携し、目に見える効果を求める顧客が増えてきたと感じてい る。しかし、その連携には大きな溝があり作業の継投が困難なことから、コンサルタントとしてどこまで踏み込むか悩んでいる。
株式会社メタジトリー 代表取締役社長 日本BPM協会 理事

日本BPM協会 理事。経営と情報システム連携をコンセプトとして、システム再構築のコンサルティングビジネスを実施。ビジネス・プロセスに着目したBPM(ビジネス・プ ロセス・マネージメント)の活用が情報化社会の進歩に必要と捉え、市場定着とそのための組織化を推進中。

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