ストックビジネスを変えるクライアント型SOA
クライアント型SOAをベースにASP連携を実現
それでは、クライアント型SOAをベースにしたASP連携がどのようなシステム構成で実現できるのか、簡単に触れてみたいと思います。
「速販」はコンポーネントベースでシステム構築が可能なサイオのIdbAをサービスプラットホームとして採用しているため、容易に追加コンポーネン ト(サービスの追加)が可能となっています。そのためecosecと接続するためのクライアントコンポーネントを速販上に追加するだけで簡単に連携させる ことができます(図3)。
![ecosecとのシステム連携イメージ](http://thinkit.co.jp/images/project/8/7/3.gif)
図3:ecosecとのシステム連携イメージ
このecosecとのシステム連携を行うコンポーネントは、ecosecサーバとhttpで通信を行うWebクライアント的な動きをするコンポーネ ント(以下、ecosecコンポーネント)です。このecosecコンポーネントは既存のサーバ側に手を加えず、クライアント側だけのシステム構築になる ため非常に安価にシステム連携を実現できます。
つまり低コストでサービス連携の相乗効果(この場合は売上拡大)を実現できるということになります。
利用者から見たクライアント型SOAのメリット
ここでは、ecosecのようなサービスを例にあげ、BtoB的なストックビジネスにおけるクライアント型SOAの採用メリットを解説します。
今後ecosecのようなサービスは、ネットショップの業界では大きな潮流になると考えています。その理由はネットショップにおける「価格競争の激化」と「ついで買い」にあります。
ご存知の通りネットショップのほとんどが小規模店舗であるため、大規模店舗と比べて仕入れ能力があまり高くありません。ですがネットショップは、情 報収集力が高いユーザがいるWebサイト上で商売を展開しているため、常に価格競争にさらされており、大規模店舗並みの仕入れ能力が求められているからで す。
また、街中で見られるような「ついで買いビジネス(「クロスセル」とも呼ばれる、ある商品に関連する別の商品を購入させるようなビジネス手法)」は ネット上でも十分魅力的なビジネスであるからです。そのような理由でecosecに続く、サービスがネットショップ市場で多く立ち上がると考えています。
そこでecosecのようなサービスが多く立ち上がっている状態をイメージしてみてください。クライアント型SOAがなければ、ネットショップは自 社内システムと仕入れ元のサービスと連携する際に、取引先ごとにゲートウェイサーバを設置しなければならず、コストががかります。自社内システムとの連携 を諦めれば、コストは抑えられますが、自社内システムとの連携ができていないため、作業が煩雑になります。
筆者は、このジレンマがBtoBシステムの普及を阻んだ理由の1つであると考えています。
サイオの「速販」上で展開されているようなクライアント型SOAを採用したBtoBであれば、ゲートウェイサーバを設置することなく、すべてクライ アント側のみでBtoBシステムを構築し、低コストとシステム連携による作業の効率化を実現できるため、前述のようなBtoBの普及障壁を払拭することが できます。