SMB市場におけるITシステムの導入実態総論
戦略系ITの中でもERPは他に比べて導入率・関心度は高い
SMBにおける戦略系IT導入の遅れている面ばかりが先行してしまったが、先にも解説したように「基幹業務系パッケージ」の投資優先度合いが「最優先」と「やや優先度高い」をあわせて55.9%と「情報共有アプリケーション」に次ぐ高さである。
これに関連していうならば、実は戦略系ITの中で「ERP」(統合業務パッケージ)は他の戦略系ITと比べて実際に利用している割合や関心度合いは高かった。
現在利用中のITシステムの内容に関して、トップの「セキュリティ」は1社で複数製品導入していることもあり108.6%、次いで「RDB」で84.8%、「グループウェア」60.9%となっている(図4)。
これらの導入率が高いのは再三述べた通り、SMBとしてはまずITによる情報の有効活用が目的とされているからである。
一方、やはり「CRM」「SFA」「CTI」などのフロント系・戦略系アプリケーションの導入率は10%未満とまだまだ低い。「ERP」については、「財務会計」「人事給与」「販売管理」といった基幹系に続いて46.3%と6番手に位置している。
次に、今後の利用意向に関しては、「グループウェア」が71.2%でトップ、2位が「ERP」で58.6%、3位は「財務会計」で33.7%だった。「CRM」などのフロント系・戦略系アプリケーションに関しては、依然として導入意向もかなり低めの結果だ。
この結果からわかるように「ERP」については、導入率も高めで利用意向に関してはそれを上回った。相対的な投資優先度として見ると低くはなるが、 SMBは「ERP」に関してはポジティブな姿勢であることがわかる。いずれ単体の業務アプリケーションからERP化が急激に進むだろう。
次回は
こうした動きに連動してSMBにおけるERP市場は年々活況を見せてきている。次回は、ノーク・リサーチのERPに関する調査結果からSMBを取り巻くERPベンダーの動き、ユーザサイドの動きを詳しく見ていく。