TIS、クラウドオーケストレーションソフトウェア「CloudConductor」の最新版をOSSとして公開

2015年3月28日(土)

TISは3月27日、独自開発したクラウドオーケストレーションソフトウェア「CloudConductor(クラウド コンダクター)」の新バージョン1.0版を、オープンソースソフトウェア(OSS)として公開した。

1.0版には、「高可用性が求められるシステムを構築するためのサンプルパターンの追加」や「システムのスケールイン・スケールアウトの対応」などの機能が追加されている。

これにより、以下のような場面での「CloudConductor」の適用が実現可能となった。

  • クリティカルな可用性が求められるシステム(冗長化されたシステム)に監視やバックアップ等の運用機能も備えたシステムを自動でクラウド上に構築する
  • 特定のクラウドにロックインされず、稼働中のシステムを別のクラウド環境へ移行する
  • 災害発生時に別のクラウド上にバックアップシステムを復旧する

「CloudConductor」は、クラウド時代のシステムインテグレーションの課題に対応するためのデザイン指向のクラウドオーケストレーションツール。「ビジネス機会を逃さないための、臨機応変なクラウド構築」「属人化抑制のためのシステムのパターン化」などを実現する機能を実装し、従来は一度構築すると移設が困難だったシステム基盤を、業態やビジネス環境の変化に対応したシステム環境への乗り換えを容易にする。

具体的には、様々なクラウドへのシステムの引越し、データセンター障害時の復旧、類似システム(ミラー環境やテスト環境など)の構築など様々な要求に対して、容易にシステム構築/運用をオーケストレーションする。

TISでは、「CloudConductor」を活用した実証実験も積極的に進めている。2014年11月には、宮城県登米市において実施した災害発生後のシステム復旧の実証実験に「CloudConductor」を活用した。本実証実験では、災害発生後に発生する一時的なシステム停止を想定し、「CloudConductor」を活用したクラウド間フェイルオーバーの検証を行い、災害発生より6分53秒で重要文書システムと危機管理情報共有システムを復旧させるという成果を実現した。

この実証実験では「CloudConductor」を用いることで、通常時はCPU、ストレージなどのクラウド上のリソースの消費を最小限に抑え、常時DR(Disaster Recovery)サイトを保持しなくても災害発生時に災害復旧クラウドへICTシステムを短時間かつ自動的に復旧できることを検証した。

TISでは、「CloudConductor」開発プロジェクトを通じて、近年注目されている「SDx(Software-Defined Anything)」の技術を活用し、“ハイブリッドクラウド”などの多種多様なシステム稼働環境を統合的に管理するソフトウェアの技術開発を目指している。

また、様々な顧客ニーズに応えるための機能拡張と本ソフトウェアで利用するサンプルパターンを整備することで、簡単な操作で自動的にクラウド上に多数のサーバやネットワークを適切に配置することを可能にする。さらに、通常のエンタープライズシステムが必要とするバックアップ、高可用性、監視、システム運用などの非機能要求もテンプレートに組み込むことで、システムの構築から運用を網羅したクラウドオーケストレーションの実現を目指す。


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