コネクション受付制御のパラメータ
Webサーバにおけるコネクション受付制御方法
「第1回:コネクション受付制御とは?(http://www.thinkit.co.jp/article/118/1/)」で説明したように、ユーザーはWebサイトに対して、確実なコネクションの確立および高速な応答の双方を求めている。これらトレードオフにある要望に対し、Webサイトでは可能な限り応えていかなければならない。そこで今回は、これらの要望に応えるべくWebサーバにおいて設定可能である代表的なパラメータについて説明を行う。
対象とするWebサーバー構築ソフトウェアは、さまざまなOSに対応し最も普及しているApacheとし、バージョンは2.0とした。また、WebサーバとWebブラウザ間でリクエストおよびデータの送受信に使われるHTTP(HyperText Transfer Protocol)のバージョンは1.1とした。
Apache 2.0はマルチスレッドに対応しているが、デフォルト設定ではプロセスベース(prefork)の処理になっている。ここでは、プロセスベースで起動されていることを前提に説明する。また、サーバーパフォーマンスの向上を目的とした「MinSpareServers」や「MaxSpareServers」などのディレクティブが設定できるが、本連載ではコネクション受付制御に着目しているので説明は割愛する。
Webページ閲覧の仕組み
Webページを表示する時、視覚的にはWebページを構成するすべての情報は同時に入手され、一度に表示されているかのように見える。しかし、実際は以降で説明するように、コネクションの確立を行った後、Webページの表示に必要なファイルのダウンロードを順次行っている。つまり、Webページの情報すべてが一度に取得・表示されているわけではない。
図1にWebページが表示されるまでに起こる通信手順の流れを示す。クライアントがWebサイトを表示する際、まず、Webサーバとの間でTCPコネクションを確立しなければならない。TCPコネクションを確立する際は、3ウェイハンドシェイクと呼ばれる手順を実行しなければならない。3ウェイハンドシェイクとは、クライアントからコネクション確立要求(SYN)の送信、それを受けたサーバがコネクション確立許可(SYN+ACK)の応答、最後にクライアントからコネクション確立完了(ACK)の送信、という3つの手順によりTCPコネクションを確立するものである。
コネクションが正常に確立された後、Webブラウザは、Webサーバーとの間で情報交換を行うための通信プロトコルであるHTTPにより、WebページのHTML(HyperText Markup Language)文章の入手を試みる。
そしてHTML文章を入手したWebブラウザは、HTML文章の解析を行い画面を表示する。HTML文章の解析の結果、Webページの表示に必要となるファイルがほかにもある場合は、それらのファイルを入手するため、WebブラウザはHTTPリクエストを送信し、サーバーの応答を待ち受信し表示する。Webページ内に複数のファイルが存在している場合は、これを順次繰り返すことで、Webページのすべての情報が表示される。コネクション確立・解放をリクエストごとに行うのか否かは、HTTPのバージョンやパラメータ設定により異なる。
次ページでは、そのパラメータについて説明する。