KubeCon+CloudNativeCon、大手からベンチャーまで活気のあるブースを紹介
Linux Foundationと協調するプロジェクトとして2015年に設立されたCloud Native Computing Foundation(以下、CNCF)はテキサス州オースチンにてKubeCon+Cloud NativeConを2017年12月5日~8日に開催した。イベントレポート最終回となる今回は、展示ブースを紹介したい。これまで様々なカンファレンスを取材してきたが、そのなかでも断トツに活気のある展示スペースであったと言える。
Intel、Microsoft、AWS、Googleなどの大手企業は、もはや知名度を上げる必要はなく、ひたすら対話のためのブースを用意して、エンジニア同士が情報交換するためのスペース提供を最優先していたようだ。
MicrosoftはGitHubも苦笑いするようなコミカルなステッカーを用意して、オープンソースっぽさをアピールしていた。
そんな中、コンテナプラットフォームであるOpenShiftを推したいRed Hatはデモブースを用意して、OpenShiftを使ったデモを終日実演していた。Kubernetesはコンテナをオーケストレーションするツールだが、コンテナイメージのビルドなどは各自が行わなければならない。PaaSとしてスタートしたOpenShiftは、その部分に付加価値を見出しているようだ。
興味深かったのは、デモを担当していたエンジニアが「Kelsey Hightowerのキーノートのデモを見たかい? kubectlを使わないデモだよ。あれは全てOpenShiftでできるんだよ。知ってた?」とGoogleのKelsey Hightower氏のデモを認めつつ、OpenShiftの訴求も忘れていない一幕があったことだろう。ハンズオン形式で行われていたデモは参加者にTシャツなどを配り、印象付けようという努力をしていた。
GoogleのデモゴッドがKubeConで見せたKubernetesを意識させないDevOpsの実現
キーノートでゼロトラストネットワークを提唱したTigeraも大きめのブースで存在感を出していた。配っていたノベルティの虎のぬいぐるみは、大人気であった。
アメリカンコミック調のブースデザインが印象的だったのは、MirantisやDELL EMCだ。MirantisはOpenStack Summitなどでも一貫としてアメコミ風のデザインだ。一方のDELL EMCがアメコミ風にするのは、従来の硬そうなイメージを払拭したいのだろうか。
逆にまじめなテイストだったのは、CoreOSやWeaveworksなどのベンチャーだ。
また活気のあるカンファレンスではよく見かける、出展している各社が求人を行うJob Boardも、毎日書き込みが増えて余白がなくなる勢いであった。
そんな中、日本のメルカリもブースを展示していた。もはやサービスを訴求するというよりも、働いてくれるエンジニアを探しに来ているというのが明白なブースであった。
当然ながら、コーヒーを飲んだり、座り込んで話し込む参加者のためのスペース、ゲーム機なども用意されており、参加者がくつろげるための工夫は怠らない。「Keep Cloud Native Weird」の元となったフレーズ「Keep Austin Weird」は「ヘンな街、オースチン」くらいの意味だが、「変わっている」ことは「他とは異なるユニークな」でもあるというポジティブなニュアンスが込められている。
また「GitHubにならえ」ということでもないのだろうが、CNCFがホスティングしている14のプロジェクトは、展示スペース内のショップでTシャツを販売していた。
参加者の中には、OpenStack FoundationのJonathan Bryce、OPNFVのHeather Kirksey、Linux FoundationのJim Zemlinなども見受けられ、CNCFが業界の中で話題になっていることが感じられた。
全体を通して、大手よりもベンチャーのほうが、これから拡大するKubernetesのエコシステムに割って入ろうとする勢いを感じさせる展示スペースであった。次回の開催は5月にコペンハーゲン、11月の上海、そして12月にシアトルに戻ってくる予定のKubeCon+CloudNativeConだが、このまま拡大が続くとすると1年後にはどうなっているのか、興味は尽きない。
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