KubeCon+CloudNativeCon、大手からベンチャーまで活気のあるブースを紹介

2018年2月8日(木)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
KubeCon+CloudNativeConレポート最終回は、活気に満ちあふれたブースのようすを紹介する。

Linux Foundationと協調するプロジェクトとして2015年に設立されたCloud Native Computing Foundation(以下、CNCF)はテキサス州オースチンにてKubeCon+Cloud NativeConを2017年12月5日~8日に開催した。イベントレポート最終回となる今回は、展示ブースを紹介したい。これまで様々なカンファレンスを取材してきたが、そのなかでも断トツに活気のある展示スペースであったと言える。

Intel、Microsoft、AWS、Googleなどの大手企業は、もはや知名度を上げる必要はなく、ひたすら対話のためのブースを用意して、エンジニア同士が情報交換するためのスペース提供を最優先していたようだ。

Intelのブース

Intelのブース

Microsoftのブース

Microsoftのブース

MicrosoftはGitHubも苦笑いするようなコミカルなステッカーを用意して、オープンソースっぽさをアピールしていた。

Microsoftが用意したステッカー

Microsoftが用意したステッカー

AWSのブース

AWSのブース

そんな中、コンテナプラットフォームであるOpenShiftを推したいRed Hatはデモブースを用意して、OpenShiftを使ったデモを終日実演していた。Kubernetesはコンテナをオーケストレーションするツールだが、コンテナイメージのビルドなどは各自が行わなければならない。PaaSとしてスタートしたOpenShiftは、その部分に付加価値を見出しているようだ。

興味深かったのは、デモを担当していたエンジニアが「Kelsey Hightowerのキーノートのデモを見たかい? kubectlを使わないデモだよ。あれは全てOpenShiftでできるんだよ。知ってた?」とGoogleのKelsey Hightower氏のデモを認めつつ、OpenShiftの訴求も忘れていない一幕があったことだろう。ハンズオン形式で行われていたデモは参加者にTシャツなどを配り、印象付けようという努力をしていた。

GoogleのデモゴッドがKubeConで見せたKubernetesを意識させないDevOpsの実現

Red Hatのブース

Red Hatのブース

キーノートでゼロトラストネットワークを提唱したTigeraも大きめのブースで存在感を出していた。配っていたノベルティの虎のぬいぐるみは、大人気であった。

Tigeraのブース

Tigeraのブース

アメリカンコミック調のブースデザインが印象的だったのは、MirantisやDELL EMCだ。MirantisはOpenStack Summitなどでも一貫としてアメコミ風のデザインだ。一方のDELL EMCがアメコミ風にするのは、従来の硬そうなイメージを払拭したいのだろうか。

Mirantisのブース

Mirantisのブース

DELL EMCのブース

DELL EMCのブース

逆にまじめなテイストだったのは、CoreOSやWeaveworksなどのベンチャーだ。

CoreOSのブース

CoreOSのブース

Weaveworksのブース

Weaveworksのブース

また活気のあるカンファレンスではよく見かける、出展している各社が求人を行うJob Boardも、毎日書き込みが増えて余白がなくなる勢いであった。

そんな中、日本のメルカリもブースを展示していた。もはやサービスを訴求するというよりも、働いてくれるエンジニアを探しに来ているというのが明白なブースであった。

メルカリのブース

メルカリのブース

当然ながら、コーヒーを飲んだり、座り込んで話し込む参加者のためのスペース、ゲーム機なども用意されており、参加者がくつろげるための工夫は怠らない。「Keep Cloud Native Weird」の元となったフレーズ「Keep Austin Weird」は「ヘンな街、オースチン」くらいの意味だが、「変わっている」ことは「他とは異なるユニークな」でもあるというポジティブなニュアンスが込められている。

Keep Cloud Native WeirdはKeep Austin Weirdのもじり

Keep Cloud Native WeirdはKeep Austin Weirdのもじり

会場のあちこちに休憩スペースがある

会場のあちこちに休憩スペースがある

また「GitHubにならえ」ということでもないのだろうが、CNCFがホスティングしている14のプロジェクトは、展示スペース内のショップでTシャツを販売していた。

CNCFのプロジェクトのロゴをあしらったTシャツ

CNCFのプロジェクトのロゴをあしらったTシャツ

日本からの参加者もTシャツをお買い上げ

日本からの参加者もTシャツをお買い上げ

参加者の中には、OpenStack FoundationのJonathan Bryce、OPNFVのHeather Kirksey、Linux FoundationのJim Zemlinなども見受けられ、CNCFが業界の中で話題になっていることが感じられた。

OpenStack FoundationがホストするKatacontainerのブースにいたJonathan Bryce氏

OpenStack FoundationがホストするKatacontainerのブースにいたJonathan Bryce氏

OpenStackのコミッターと話をする元Chef、現SysdigのMichael Ducy氏

OpenStackのコミッターと話をする元Chef、現SysdigのMichael Ducy氏

全体を通して、大手よりもベンチャーのほうが、これから拡大するKubernetesのエコシステムに割って入ろうとする勢いを感じさせる展示スペースであった。次回の開催は5月にコペンハーゲン、11月の上海、そして12月にシアトルに戻ってくる予定のKubeCon+CloudNativeConだが、このまま拡大が続くとすると1年後にはどうなっているのか、興味は尽きない。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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