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KubeCon+CloudNativeCon開催、勢いのあるKubernetesとCNCFプロジェクトが一同に

2018年1月30日(火)
松下 康之
Cloud Native Computing Foundationはテキサス州オースチンにてKubeCon+Cloud NativeConを2017年12月5日~8日に開催した。

Linux Foundationと協調するプロジェクトとして2015年に設立されたCloud Native Computing Foundation(以下、CNCF)はテキサス州オースチンにて、KubeCon+CloudNativeConを2017年12月5日~8日に開催した。これはコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesと、CNCFがホストするFluentdやContainerd、rktなどのオープンソースソフトウェアに関して、最新技術やユースケースをカンファレンス形式で紹介するものだ。またスポンサー各社のブース展示などもあり、非常に活況を呈したカンファレンスとなった。

初日のキーノートに登壇したのはCNCFのExecutive DirectorであるDan Kohn氏だ。冒頭でKohn氏はCNCFがホストしたシアトルでのカンファレンスは約1000名の参加者だったものが、今回は4000名を超えたことを明らかにした。シアトルでの開催は2016年11月8、9日の2日間だったが、今回は4日間となり、参加者が4倍になったことはKubernetes及びCNCFがホストするプロジェクトが大きな関心を集めていることの証拠だろう。またカンファレンスのスポンサーも、シアトルの40社から今回のオースチンでは100社を超える企業が参加したことを紹介。ここでもイベントの盛況が分かる数字となった。

CNCFのExecutive DirectorであるDan Kohn氏

CNCFのExecutive DirectorであるDan Kohn氏

またこの勢いを持続させる意味もあるのだろうが、2018年にはコペンハーゲン(5月2~4日)、そして中国の上海でも11月14、15日にKubeCon+CloudNativeConの開催が発表された。同時にAlibaba CloudがCNCFのプラチナメンバーとして、他の北米系ベンダー8社(AWS、Dell Technologies、Mesosphere、Microsoft、Oracle、Pivotal、SAP、VMware)に並んで加入したこと、Baidu、ZTEもゴールドメンバーとしてCNCFに参加したこと、CNCFが設立されて2年で中国においてイベントを開くこと、CNCFのスタッフに中国本土を担当する人材がいることなどを勘案しても、CNCFが中国での活動を非常に重視していることが見えてくる。このカンファレンスのプラチナとダイアモンドスポンサーが合計で22社、Google、Intel、Red Hat、Microsoftなど錚々たる企業が賛同していることからも、CNCFがホストしているオープンソースソフトウェアがパブリッククラウド、エンタープライズの双方で重要視されていることが理解できるだろう。

CNCFの中国重視の姿勢は、Kohn氏のプレゼンテーションの途中でAlibaba Cloudの責任者、チーフアーキテクトのHong Tang氏が登壇し、Alibaba Cloudの紹介を行ったことからも感じられるだろう。

Alibaba Cloudのチーフアーキテクト、Hong Tang氏

Alibaba Cloudのチーフアーキテクト、Hong Tang氏

CNCFがホスティングしているプロジェクトについては、2016年の11月の段階でKubernetes、Prometheus、Fluentd、Opentracingの4つだったものが、1年後にはlinkerd、gRPC、coreDNS、containerd、rkt、CNI、Envoy、Jaeger、TUF、Notaryの10プロジェクトが追加されたことを紹介。ここでもCNCFが急速に拡大していることが見てとれる。

特にKubernetesについては、Linux FoundationのDirectorであるJim Zemlinのコメント、「Kubernetes is the Linux of cloud」を紹介し、クラウドコンピューティングにおける中核のコンポーネントであることを強調した。実際にGitHubのコミットの数で9位、コントリビューターと報告されたイシューの数ではLinuxに次いでどちらも2位になっている数字を紹介して、開発コミュニティの拡大と活発な活動を示した。

なおKohn氏が紹介したKubernetesの統計情報は、ここのサイトから入手することができる。

K8s DevStats

Kohn氏はKubernetesのトレーニングについても、オンラインのトレーニングコースが始まっていること、さらにKubernetesの認定技術者、認定技術トレーニングを行っている企業などについても言及し、ソフトウェアだけではなくエコシステムが拡大していることを強調した。

またKubernetesが様々なソフトウェアをオーケストレーションするためのソフトウェアであることから、自社のソフトウェアやサービスに組み込んで利用するケースに対応するために、Kubernetes Certificationという適合テストが開始されたことを紹介した。すでにGoogleやMicrosoft、IBM、Pivotal、Red Hatなどを含む42社がその認定を受けたことも紹介された。

また組織としてダイバーシティ(多様性)が重要と語り、AWS、Google、Microsoftなどがスポンサーとなって25万ドルにも上るスカラーシップのための寄附が行われたことを紹介。これはKubeCon+CloudNativeConに世界各地から参加するエンジニアのために旅費などを支援するためのもので、最も多くの寄付を行ったのはGoogleとMicrosoftだ。パブリッククラウドの大手3社が揃ってスポンサーをしているということが壇上の小切手(チェック)に明記されているのは、パブリッククラウドベンダーがこのイベントだけではなくダイバーシティも重要視しているという証拠だろう。

ダイバーシティスカラーシップのための小切手を紹介する4名のダイバーシティコミッティのエンジニアたち

ダイバーシティスカラーシップのための小切手を紹介する4名のダイバーシティコミッティのエンジニアたち

このチェックを受け取るエンジニアを選定するダイバーシティコミッティの女性エンジニアも、Microsoft、Google、CoreOSなどのエンジニアだ。

その後、Microsoft Azureのシニアエンジニアであり、Microsoftが2017年の春に買収したDeisのエンジニアであったMichelle Nooraliが登壇し、CNCFの14のプロジェクトをそれぞれ紹介する段となった。このパートではFluentdや他のプロジェクトのデベロッパーが登壇し、新しいバージョンの機能を説明した。

その後、IntelのImad Sousou氏が登壇し、IntelとHyperが手がける新しいコンテナランタイム、Kataの概要を説明した。Kataに関しては別記事で紹介する予定だ。また2日目に登壇したGoogleのエバンジェリストKelsey Hightower氏による、Kubectlを使わないでKubernetesクラスターに対してアプリケーションをプッシュするコンティニュアスデプロイメントのデモに関しても非常に興味深いものであったので、別記事にて紹介したいと思う。

総論として、この約20分足らずのプレゼンテーションではCNCF、そしてKubernetesの勢いが強調され、組織とエコシステムの拡大が再三語られた。またユーザーもCNCFのメンバーとして参加が拡大していることから、開発者とユーザーが交わる場所としてのKubeCon+CloudNativeConが機能していることが感じられたキーノートであった。

Dan Kohn氏のプレゼンテーション:Keynote: A Community of Builders: CloudNativeCon Opening Keynote - Dan Kohn

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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