仮想I/Oによるクラウド型データ・センター
ユーザーを悩ませる、クラウド・インフラの構築/運用
インフラ運用管理者が抱える大きなプレッシャー
さまざまな仮想化技術によって、システム・リソースを自由に利用できる環境が整いつつあります。さらに、クラウド基盤という大きな共通プラットフォームの上で、あらゆるシステムが統合されようとしています。
サービスを利用する側としては、非常に便利な世界です。必要な量のリソースを必要な期間だけ、その場で割り当ててもらうことができます。これにより、大幅なコスト削減と、サービスの早期立ち上げが可能になります。
この一方、インフラを構築/運用する側には、大きなプレッシャーがかかります。従来通りのパフォーマンスと信頼性を維持したまま、コスト削減の目標を達成し、短い納期でリソースを提供しなければなりません。
これまでは、サーバー/ストレージ/ネットワークといった物理的なハードウエアごとに、負荷監視/最適化/障害監視/切り分けといった運用監視作業を独立して実施してきました。今後は、これら物理インフラの上に作られた仮想環境を運用監視していく必要があるのです。
自在に仮想サーバーや仮想ストレージを追加できるようになることから、ある特定の機器やインタフェースに負荷がかたよるような事象も発生します。このようなボトルネックを解消するために、I/Oの帯域制御や負荷分散、さらには構成変更といった作業も、頻ぱんに必要になります。
図1: クラウド環境を支える管理ツール(クリックで拡大) |
仮想環境の運用管理ツール
米Xsigo Systems(以下、XSIGO)は、仮想化技術を適用したクラウド環境のために、図1のような運用管理ツールを提供しています。IT機器同士(サーバー、ストレージ、ネットワーク)を接続するI/Oの物理構成や仮想トポロジを表示/監視できるほか、仮想NICや仮想HBAの帯域制御やトラフィック監視も、個別に実施できます。
Webブラウザ・ベースの管理ツールを提供しています。ウィザードに従うだけで、サーバーのI/Oプロファイルや個々の仮想I/Oリソース、あるいはテンプレートを作成できます。また、各社が提供している仮想サーバー管理ツールと連携することもできます。「VMware VI Client」や「Microsoft System Center」と機能統合できます。
最近話題のスマートフォン「iPhone」向けにも、XSIGOの管理ツール「IO to GO」を提供しています。、小・中規模の仮想化環境から大規模クラウド環境まで、幅広いユーザーのニーズに応えられるようにしています。XSIGOのWebサイト上で、iPhoneアプリのデモビデオ(英語)を配信しているので、ご覧ください。
仮想化インフラの構築・運用を効率化する
I/Oを仮想化することで、新規サーバーの導入、システム移行、I/O増設といった、物理I/O時代であれば数時間から数日を要していた諸作業を、数分から数時間程度にまで短縮することができます。
サーバーを発注する際に、個々のサーバーのI/O構成やPCIスロットの数を気にする必要がありません。規定の構成のままで構わないため、発注/受け入れ/設置という調達/導入作業をルーチン化することができます。
また、XSIGOのI/Oプロファイルを利用すると、サーバー機が納品される前から、サーバー機のI/O構成を設定/定義しておき、これをストレージにマッピングしておくことができます。このため、発注していたサーバー機の納期が遅れたとしても、ストレージ管理者のスケジュールを調整する必要がなくなります。
ネットワークやストレージへの接続を、すべてI/O仮想化コントローラ上に集約できます。I/Oプロファイル上に作成した仮想NICや仮想HBAに対して、任意のインタフェースをリモートから割り当てるだけで、接続設定作業が完了します。
図2: I/O仮想化によって、I/Oの設置と導入が容易になる(クリックで拡大) |
これらの管理ツールやI/Oプロファイルの機能によって、仮想化システムの構築/運用にかかわるさまざまな作業を効率化できます。
仮想サーバーのディスク・イメージを格納するための共有ストレージに関しては、まだまだノウハウの蓄積が必要です。次ページ以降では、共有ストレージの運用例を中心に解説します。
図3: I/O仮想化によって、仮想環境の構築/運用コストが減る(クリックで拡大) |