仮想I/Oによるクラウド型データ・センター
仮想化によってストレージの重要性が増大(その1)
ストレージの需要はマルチプロトコル/マルチベンダーに
外部ストレージに接続するサーバーと言えば、これまではファイル・サーバーやメール・サーバー、あるいは特定のデータベース・サーバーなどに限られていました。この状況が、サーバー仮想化の普及によって激変しました。
これまで、OSやアプリケーションは、ローカル・ディスクにインストールされていました。一方、サーバー仮想化環境では、これらはすべて、共有ストレージに格納されます。このため、多くの場合、LAN/WANのネットワーク以上にストレージへのディスクI/O負荷がボトルネックとなり、システムのパフォーマンスに影響を与えています。
特に、仮想サーバーを追加インストールする際や、ネットワーク・バックアップの際、さらには仮想サーバー・イメージのストレージ・ライブ・マイグレーションの実行時に、ディスクI/Oの負荷が増大します。ほかの仮想サーバーに影響を与えることもあるようです。
運用管理者は、アプリケーションの要件、コスト、既存機器の流用、運用負荷などすべての条件を加味したうえで、次期仮想基盤用のストレージを選択する必要があります。
しかし、ストレージの選択肢はさまざまです。現実問題としては、将来的に容易にサイジングや構成変更が可能なストレージを選ぶことが重要です。
ここでは、iSCSIを利用したストレージ仮想化ソフトとして米DataCore Softwareの「SANmelody」を、異なるベンダー間のFC(Fibre Channel)ストレージを統合/仮想化するストレージとして日立製作所の大規模ストレージ「Hitachi Universal Storage Platform VM」(USP VM)を紹介します。
Windowsを大容量キャッシュ付きストレージ仮想化サーバーにするソフト
米DataCore SoftwareのSANmelodyは、PCサーバーとWindows上にインストールして使う、ストレージ仮想化ソフトです。PCサーバーという汎用的なハードウエアを利用するため、大切なデータ資産を、常に最新のハードウエア上に置いておくことが可能です。
図4: ストレージ仮想化ソフト「SANmelody」の仕組み(クリックで拡大) |
図5: ストレージ仮想化ソフトのSANmelodyが備える機能(クリックで拡大) |
XSIGOの仮想10GbE NICを用いた10GbE iSCSI
XSIGOは、Windows Server 2003/2008をインストールしたサーバー機に対して、20Gビット/秒×2のI/O帯域と、16ポートの仮想NICを提供できます。このため、SANmelodyをインストールしたWindowsサーバー上に、複数のiSCSIターゲットを作成できます。
互いに異なるサーバー上に作成した仮想NIC同士は、I/O仮想化コントローラの内部で、10Gビット/秒で通信できます。コントローラに接続された仮想サーバー同士や、SANmelody上のiSCSIターゲットとの間で、外付けのスイッチを介することなく、高速に接続できます。SANmelodyは、HBAを搭載すればFCターゲットにもなるため、FCストレージの高速コントローラとしても利用できます。
図6: 米DataCore Softwareのストレージ仮想化ソフトを用いたシステムの物理構成(クリックで拡大) |
仮想サーバー数の増加にともなって増えていく、ディスク容量やサーバー・ストレージ間のI/O負荷に対しては、仮想HBA(FCストレージ接続用)や仮想NIC(iSCSIストレージ接続用)をオンラインで追加することで対処できます。こうした柔軟性は、今後の「クラウド型データ・センター」の運用に欠かせないものとなります。
図7: XSIGOの仮想HBAを利用すれば、FCストレージ接続も集約できる(クリックで拡大) |