出社とリモートのハイブリット ー北九州市に誕生した「GMO kitaQ」の洗練されたオフィス
福岡県北九州市にある「GMO kitaQ(GMOインターネット 北九州オフィスの愛称)」は、東京都渋谷区に本社を構えるGMOインターネットのITエンジニアが所属し、GMOインターネットグループが提供するインターネットサービスのシステム監視・保守運用、開発業務を行う“システムの攻守両方の拠点”だ。2018年にエンジニア部門初の地方拠点として開設して以降、4年前には下関にあったGMOインターネットグループ(現GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)に在籍するサービスカスタマーコールセンターのエンジニア29名が転籍し、現在ではそのパートナー(従業員)数も3倍に増えているという。
北九州市への移籍当時は近隣ビルの4、6階にオフィスを構えていたが、エンジニアの増員に伴い、小さなオフィスでは手狭になった。そこで北九州市へ相談したところ、元々商業ビルだったJR小倉駅前の「セントシティ」が総合ビルとなるタイミングで2022年2月に拡張移転。3月8日にはオープニングセレモニーも開催された。
【参照】自治体×地域人財×グループシナジーを活かした“地産地消型”最新オフィス「GMO kitaQ」のオープニングセレモニーを開催!(PRtimes)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003506.000000136.html
「セントシティ」に拡張オープンされたオフィスは開放的で、テラス席もある。キッチンも併設されており、週に数回ミールがパートナー(従業員)に提供される。さらに地元小倉の小倉織を使用した壁面や合馬の竹で作られたシャンデリアなどもあり、パートナー(従業員)が“出勤したくなる”オフィス構えだ。
なお、本記事は3部構成となっている。第1部(今回)で「GMO kitaQ」について、第2部は北九州市に移住したU・Iターンエンジニアとの座談会、第3部は、拡張移転に伴い、相談から実際の転籍までを支援した北九州市へのインタビューとなっている。
第1部は、拡張移転した「GMO kitaQ」の拠点長を務める、GMOインターネット株式会社 システム統括本部 インフラ・運用本部 kitaQ管理チーム担当部長 東森 高氏のインタビューだ。「GMO kitaQ」のある「セントシティ」は商業ビルのため、専用の出入口はなく、取材時も一般のお客さんと同じように、開店時間を待って建物に入るのが、なかなか斬新で面白かった。
「一番は、インターネットのインフラ事業」
「GMO kitaQ」における管理・総務・人事、財務・広報などの業務は、すべて東京本社で行っている。現在、パートナー(従業員)は、アルバイト、契約社員、業務委託、合わせて96名。管理職の4名以外は全員エンジニアだ。GMOインターネットグループに所属する全パートナー(従業員)のエンジニアの割合は48%だが、本年度内に50%以上を目指しているという。
GMOインターネットグループの事業の半分を占めるのがインターネットインフラ事業だ。インターネットが利用されるようになって20年以上が経過し、現代では繋がることが当たり前になっている。水や電気・ガスと同様に、もはや生活を支えるライフラインの1つだ。「一番重要視しているのは、インターネットのインフラ事業。『GMO kitaQ』は5年目。サービスの監視・サーバーの保守から始まり、今ではアプリケーションの開発やセキュリティ業務も行なっている。インフラの開発は東京本社に全て依存しているので、今後は北九州でも開発できるように注力していきたい」(東森氏)。
現在、売上の8割は国内で、業務部・インフラの開発は渋谷、北九州はニアショアの開発を担っている。ベトナム・タイには、オフショアの開発部隊が300人ほどいる。「アジアだけでなく、海外の拠点でも売上を増やし、国内と海外で五分五分にしていきたい」と、東森氏は将来の展望を語った。
給与は、同じ仕事では同一賃金のため、東京で家賃10万円以上の物件も、小倉では5、6万円で住める。通勤時間は30分圏内のパートナー(従業員)が多い。
「出社6割、リモートとハイブリット。
自慢は離職率2.5%」
IT業界で自慢できるのは、離職率の低さであるという東森氏。今年のシステム本部への新卒入社は9名で、うち8名が北九州だ。今後も、システム本部の採用は、北九州を中心に進めていこうと考えているという。「最初の人事面接は東京でも、最終面接は北九州に来てもらいたい。初めて北九州に来る方もいるので、住み心地含め、気候等を肌で感じ、この地で仕事ができるという実感や自信を持って北九州オフィスに来てほしい」と東森氏は語る。
また、東京に蔓延防止等重点措置が発令されていた時期は、福岡では発令が解除されていたためニアショアの利点を実感できた。「今後、北九州オフィスを大きくしていくことは、意味のあることだと実感した」と振り返る東森氏。コロナ禍において、北九州拠点の重要性がより明確化されることとなった。
「ものづくりのマインドは八幡製鉄所から」
ここで、東森氏に、オフィスのある北九州市について聞いてみた。山に囲まれ岩盤も硬く、歴史的に災害や地震が少ない。中国や韓国に近いこともあり、東南アジアの玄関口にもなっている。
そして何よりも、郷土愛の強さを感じるという。「いつかは地元に戻りたい」と思っている九州出身の方も多く、他の地方では感じ得ない空気を感じるそう。また、北九州市民のものづくりへのマインドについて、「一番は、日本の高度成長を支えた『八幡幡製鉄所』があったことだろう」と、東森氏は推測する。ソフトウェアも企画・開発・運用という流れはものづくりと同じ。下関も通勤圏内のため、パートナー(従業員)の80%が九州と山口県民。九州を1つの大きな島と見立てて、その中で盛り上げていこう、何とかしていこうという、人々の郷土愛や連携感を日々感じているそうだ。
「レトロも魅力、北九州市」
福岡県において北九州市と並ぶ大都市で、立地の近い博多区との違いについても聞いてみた。博多は大都会。北九州市は車で10分程走れば海も山もあり、自然豊かな景色が広がる。休日にはツーリングを楽しむパートナー(従業員)も多いという。
「博多区と比べると、北九州市は良い意味で都会と田舎がバランスよく配置された地域だと思う」(東森氏)。物価は、物によっては1/2から2/3。九州のおいしい新鮮なものも食べられる。
また、源平合戦や佐々木小次郎と宮本武蔵の決戦地である巌流島があるなど、歴史を間近に感じられることも博多との大きな違いだ。また、田舎過ぎないところがすごく良い。週末には30〜40箇所ある温泉地にもアクセス可能で、ワーケーションにもよく、休日もゆったりできる。出光の発祥地でもある、昔ながらの街並みが当時の雰囲気のまま残り、街全体がレトロな門司港も大きな魅力の1つだろう。
「まずは知ってもらいたい」
現在、在籍96名中、新卒4年以内が約半数を占める。血の通った組織づくりに必要なマネジメント層の育成・拡大のため、「今後は中途採用も増やしていきたい。『こんなオフィスで働きたい』『関東、関西でなく、九州・福岡・北九州に残りたい』と思う学生の方など、関東や関西の大学に進学しても九州に戻って来られる職場があることを知ってほしい」と東森氏は締めくくった。
* * *
夜、小倉駅から「セントシティ」を眺めると、外観に光るネオンが印象的だった。オフィス内は「GMO kitaQ」で働くパートナー(従業員)にとって、居心地の良い空間となっていることが伺えた。田舎過ぎず、都会過ぎない。勤務地の候補に、新たに北九州市を入れてみてはいかがだろうか。
続く第2部では、GMO kitaQに所属するU・Iターンエンジニアの座談会をお送りする。
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