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  インタビュー

ますます盛り上がりを見せる島根・松江市のIT産業。なぜ島根にITエンジニアが集まるのか (後編) ーちょうど良い環境は価値ー

2021年6月10日(木)
望月 香里(もちづき・かおり)

はじめに

前編では、このコロナ禍の中でU/Iターン・二拠点生活・移住・ワーケーション・起業・独立など、ITエンジニアが集まる街としてエンジニアからさらなる注目を集める島根県松江市について、同市が2006年から産業振興事業として推し進める、オープンソースとプログラミング言語Rubyを掛け合わせた「Ruby City MATSUEプロジェクト」の取り組みについて紹介した。

前編の内容については、コチラを参照。

今回の後編では、Ruby City MATSUEプロジェクトをきっかけに、松江市に開発拠点を設立したパソナテック、モンスターラボ、ソニックムーブの3社と、パソナテック島根LabにU/I/Jターン就職した3名の社員への取材レポートを紹介する。共通のテーマは「なぜ松江なのか」だ。

冒頭の画像は宍道湖。写っている小舟は宍道湖名物のしじみ漁にいそしむ漁師たち。時間帯によっては湖上に百にものぼる小舟で溢れる。

「なぜ松江なのか」ーその想いは三者三様

はじめは、パソナテック島根Labに所属するU/I/Jターン3人の社員による、座談会形式のインタビューだ。

Jターン・家庭軸と新しい仕事への興味

まず、移住前の経緯を1人ずつ紹介する。1人目は、Jターンの田窪大樹氏。大学卒業までは、地元の大阪で過ごし、新卒でパソナグループに入社。東京本社にて、求職者を対象にしたマーケティング業務に従事。2017年9月、パソナテックが島根拠点開設の際、奥様が鳥取県大山町出身ということもあり、自ら志願して松江市に来た。東京で共働きしていた際、いずれ親の近くに住めたらと、話していたタイミングだったそうだ。

東京でのマーケティングの仕事は面白かったが、既存のものを1から100にする内容が中心だった。一方で、0から1にする仕事に興味があり、奥様の実家に近い山陰エリアだったこと、そして新しい仕事への興味で松江市へ。

株式会社パソナテック 島根Lab マネージャー 田窪大樹氏

Uターン・改めて気づく地元の良さ

続いては、Uターンの福井大地氏だ。福井氏は松江市出身で、学生時代の専攻は情報系。異業種で1年間働いたのち、都会への興味で大阪へ。学生時代の知識を活かそうと、パソコンのテクニカルサポートの仕事に従事。ものづくりが好きだと気づき、現在のエンジニア歴は6年目。

大阪で結婚し、大阪を拠点に生活していくつもりだったが、奥様とともに松江市を訪れた際に、地元の良さを再認識。IT業界はリモートワークもできそうだと感じ、Uターンを意識し始めた。そして情報収集を目的に大阪で開催されていたU・Iターンのイベントに参加した際に、パソナテックの田窪氏と出会う。田窪氏から仕事の内容や働く環境などの説明を受け、Uターンを決意。2020年7月にパソナテックへ転職後、松江市へ。

【参照】「IT WORKS@島根」リレーブログ:島根にUターンして半年が経ちました
https://www.shimane-itworks.jp/blogrelay/3555

株式会社パソナテック 島根Lab エンジニア 福井大地氏

Iターン・新入社員を大抜擢!

3人目は、Iターンの竹中浩太郎氏。大学卒業までは、地元の京都で過ごす。在学中はオーストラリアへの留学経験もある。現在パソナテック2年目。新卒入社で、2020年7月まで東京で研修し、未経験ながらエンジニアとして島根Lab初の新人赴任となる。

【参照】Think IT:コロナ禍の新入社員として、島根拠点に配属になったエンジニアの1年間
https://thinkit.co.jp/article/18204

株式会社パソナテック 島根Lab エンジニア 竹中浩太郎氏

-- 実際に松江に来て、どのように感じられたか

  • 福井:松江と言えばRubyが有名で、複数のIT企業が島根に拠点を構えており、新しい技術にも触れることができる。松江でなければこういう機会も少なかったかもしれない。日々学びがあり、充実している。
  • 竹中:松江の雰囲気は、地元の京都と似ていて、特に困ることはない。パソナテックに入社後は、コロナ禍ということもあり、ほとんどがテレワーク。自宅のデスク周りのツールも整えており、不便なこともない。
  • 田窪:私が島根Labの立ち上げ責任者になるにあたって、①エンジニアの採用、②エンジニアが成長できる教育体制・教育環境の構築、③自治体や教育機関と連携した地域活性、という3つのミッションがあったが、進め方は会社からある程度一任されていたこともあり、立ち上げの面白さを実感できた。同業他社との情報交換も定期的に行っており、例えば今年のゴールデンウィーク前の4月28日には、他社と合同のオンラインLT大会を行った。お互いに興味のある技術やプロジェクトを共有する機会を設けることで、県内のIT業界全体を底上げしていくための盤石なネットワーク作りができていると感じる。

-- 1度地元から出て、また戻ってきたときに、どのように見え方は変わったのか

  • 福井:大阪から松江に戻って来て、地元を自転車で走りながら、改めて自然の豊かさと景色の良さを感じた。今後、都会より自然が豊かな場所で子どもも育ててあげたいと思っている。大阪は人が多く、毎日お祭りをしているような感覚で、初めは通勤だけで体力を消耗していた。

-- 地元の京都から移住してきて、松江での暮らしはどのように感じているか

  • 竹中:街並みや雰囲気は、それほど地元と変わらない。飛行機で東京へも1時間半ほどで行けるし、大阪まで車で日帰りもできるので住むには困らない。

-- 田窪さんは大阪出身で東京の企業に就職し、その後島根へ。島根の印象は

  • 田窪:島根は大阪や東京と比べて人口は少ないが、かと言って田舎すぎないところが良い。年齢によって、感じ方は変わると思うが、自分はライフスタイルの変化とともに移住できて良かった。小児医療費助成があること、都市部と比べて保育園に入りやすいこと、休みの日のレジャースポットもたくさんあったりと、子育て環境はかなり良い。

-- 今後、松江でやっていきたいことは

  • 福井:パソナテックに入社して、地方創生にも興味が湧いてきたので、コミュニティ企画に参加するなど、これからエンジニアを目指す方にも、自分の知り得たIT業界における知見を共有・還元していきたい。
  • 竹中:自分の技術力の向上とともに、学生時代にオーストラリア留学で鍛えた英語力を駆使して外国人エンジニアとのコミュニティを広げたい。
  • 田窪:移住して3〜4年経つ。都市部にいたときよりストレスが減っている体感もある。テレワーク・複業など、自らの新しい働き方を開拓しつつ、伝播させていきたい。

-- 松江に来て、地方ならでのマネジメントの難しさなどはあったか

  • 田窪:島根Labは、職場環境はもちろんのこと、人間関係も非常に良好で、メンバーからも積極的にさまざまな提案が上がってくる。一方で、普段は自分自身も含め、メンバーは目の前の地域の方々と対峙しながら日々仕事をしている。大切なのは、メンバーが取り組んでいる仕事の内容や得られた知見・成果を、スムーズに東京本社にも共有していくことで、それが私の役割だと考えている。

-- お三方、ありがとうございました!

インタビューの様子。この日は竹中氏のほか、東京本社から広報の森 真紀氏がオンラインで参加

著者
望月 香里(もちづき・かおり)
元保育士、現マッチングサイト登録のベビーシッター。駆け出しライターとの二刀流フリーランス。ものごとの始まり・きっかけを聞くのが好き。2018年3月、映画『いただきます~みそを作るこどもたち~』自主上映会の企画・主催を機に、自分が大切にしたい・おもしろいと思う事などを不定期で開催するなど、イベントプランナーもこなす。
ブログ:https://note.mu/zucchini_232

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