【プロジェクト管理ソフト】進ちょくと収支の管理が中心、用途に応じて選ぶ

2011年3月1日(火)
Think IT編集部

「システム開発プロジェクトを立ち上げる。予算通りの金額で、スケジュール通りに完了させたい」---。この要求を実現するための専用ソフトが「プロジェクト管理ソフト」である。Excelによる従来の管理を代替し、ツールの力でプロジェクト管理を近代化させる。

プロジェクト管理の需要は高い。背景の1つに、2009年からITサービス産業に適用された工事進行基準がある。プロジェクト完了時だけでなく、進ちょく状況に合わせて工程ごとに計上する必要がある。プロジェクト管理ソフトにより、こうした処理が容易になる。

ただし、一言でプロジェクト管理ソフトと言っても、用途や機能はさまざまだ。管理対象となるプロジェクトも、ITサービス産業のソフトウエア開発プロジェクトに限らない。それぞれの用途に合わせて、必要な機能を備えた製品を選ぶことになる。

表1: プロジェクト管理ソフトの一部

名称BP LogixMA-EYESMicrosoft Project 2010SI Object Browser PM
販売 アシストマイクロ
ビーブレイク
システムズ

日本マイクロソフト
システム
インテグレータ

概要 時間と進ちょくの概念をワークフローに追加したBPM(業務プロセス管理)ソフト。現場主導で簡単に導入できる。 プロジェクトの収支管理と管理会計に強みを持つERP。案件ごとに人材資源を割り当てて人件費・経費などを計算する。 進ちょく管理とアサイン/コスト管理を中核に、スタンドアロンから全社管理まで複数エディションを提供。ROIの測定も可能。 PMBOKの知識エリアをカバーし、進ちょく、コスト、品質、要員など、プロジェクト管理に必要な機能を網羅する。
価格 ・ 税別 CPUライセンスは385万円から。ユーザー・ライセンスはサーバーと30ユーザー付きで287万5000円から。年間保守料はライセンス価格の20%。 Eclipse RCP版で1500万円程度から。Ext GWTベースのAjax版で1000万円程度から。年間保守料はソフトウエア総導入費用の15%。SaaS版の月額費用は個別見積もり。 Open Business参考価格で、Standard版が7万4100円、Professional版が13万円。Server版はサーバー・ライセンスが94万8000円、CALが2万1200円。 20ユーザーで240万円、100ユーザーで480万円、500ユーザーで1000万円。年間保守料はライセンス価格の20%。クラウド版は20ユーザーで月額13万円。
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プロジェクト管理ソフトの中心的な機能は、個々の仕事の進ちょく状態を、タスク・リストやガント・チャートを使って把握・管理することである。さらに、こうした指標を軸としながら、従業員のリソース管理や人件費の予実(予算・実績)管理などが加わる。

進ちょく管理を中核としたソフトの代表例が、米Microsoftが開発し日本マイクロソフトが販売する「Microsoft Project 2010」である。提供する機能の規模に応じて複数のエディションを用意しつつ、これら進ちょく管理を中核とする機能を提供する。

プロジェクト管理に求められる機能群を網羅することを目指したソフトの1つが、システムインテグレータが開発・販売する「SI Object Browser PM」である。米国のプロジェクト・マネジメント協会(PMI)がまとめたプロジェクト管理の知識体系であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)への準拠をうたう。

進ちょく管理以外の機能を高めた製品もある。ビーブレイクシステムズが開発・販売するMA-EYESは、会計ERP(統合業務パッケージ)である。プロジェクトの収支管理と管理会計に強みを持つ。米BP Logixが開発しアシストマイクロが販売する「BP Logix」は、BPM(Bisiness Process Management)ソフトである。進ちょく管理と連携するワークフロー管理に強みを持つ。

プロジェクト管理ソフトを選ぶ際には「どうやって現場に導入するか」という視点も重要になる。導入の形態も、プロジェクト管理者(PM)が個人レベルで導入するものから、全社規模でコンサルティングや導入サービスが前提となるもの、組織向けだが現場主導で導入するものまで、さまざまだ。

製品のカバー範囲や導入方法によって、導入費用も変わる。例えば、Microsoft Projectの場合、PMがスタンドアロンで導入するStandardエディションは、7万4100円(税別)と安価である。一方、組織で導入するServerエディションは、サーバー・ライセンスが税別で94万8000円で、別途ほかのサーバー製品が必要になる。

部門ごとや全社規模を想定したC/S(クライアント・サーバー型)やWeb型のソフトウエアの場合、導入支援サービスが必要になるケースも多い。例えば、MA-EYESは原則、カスタマイズのシステム構築サービスとセットで導入する。一方、BP Logixの場合は、現場主導で簡単に導入できることをうたう。

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