【号外】【独占報告】「生成AI EXPO in 名古屋」で見つけたAIの未来と可能性
はじめに
本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」で活動している6名で運営しています。注目されている生成AIに関するニュースを収集し、個性豊かなメンバーによる記事の深堀りから、半歩先の未来の想像を共有していきます。この記事を通して、ぜひ皆さまも各々の半歩先の未来を想像しながら、色々な価値観を楽しんでいただけると嬉しいです。
今回は、先日の5月6日(月・祝)に名古屋で開催された「生成AI EXPO in 名古屋」について、号外記事として詳細を独占報告します。ぜひお楽しみください!
「生成AI EXPO in 名古屋」とは
「生成AI EXPO in 名古屋」は「親子で学べる生成AI」をコンセプトに5月6日(月・祝)で行われたイベントです。生成AIを活用したブース展示を行うことで、地域住民の皆様に体験いただくこと、生成AI活用の最前線に立つメンバーがトークセッションを開催することで、生成AI活用の新しい可能性の発見を見出すことをテーマに開催されました。
場所は「イオンモールナゴヤドーム前 1Fサウスコート」と「名城大学 ナゴヤドーム前キャンパス 西館 2F shake」で行われました。そんな、生成AI EXPO in 名古屋の内容を「名城大学 名古屋ドーム前キャンパス」で行われた講演を中心に深掘りして、紹介します。
名城大学の内容について
名城大学の方では、様々なテーマでセッションが開催されました! 登壇者は学生から大人まで、様々な角度から見たAIに関するトピックについて話されました。その中から注目のセッションについて、IKIGAI lab.メンバーであり、共同代表である田中悠介と当時のメンバーと一緒に紹介します。
11:30~12:20「大学生実業家が考える生成AIの未来」
司会者:
・LifeTechFrontier
河辺健太郎
堀立希
斎藤勇斗
登壇者:
・合同会社ImagiCraft 河合泰芽
・生成AI フリーランス 金澤亮
・Aimsales株式会社 根路銘啓
このセッションでは「大学生で既に生成AIを事業に活用している」登壇者たちによるパネルディスカッションを行いました。大学生でありながら実業家としても活躍する登壇者たちが、生成AIの魅力と将来像ついて語りました。
■大学生実業家が考えるAIの魅力
生成AIの魅力として、表現力の補完や単純作業の効率化が挙げられました。例えば、手で上手く表現できない頭の中のイメージも、言葉で指示を出すだけで画像化できる。生成AIによって自分の想いを表現しやすくなるそうです。
また「生成AIは学生でも社会人でも平等にスタートラインに立てる」という言葉も印象的でした。AIについて長年研究している人はいても、生成AIの実用化については皆が初めて。同じスタートラインで勝負していけると語られました。世代や性別を問わず、生成AIが大きな可能性をもたらしていると改めて感じられました。
■大学生実業家が考えるAIの未来
未来の生成AIは、PCやスマホのように身近な存在として浸透していくだろうと語られました。例えば、学校の授業では生成AIが1人1人に合わせた学習のサポートを行う未来もあるかもしれません。
ただし、全てをAIに任せきりにするのではなく、使い方の良し悪しを見極めることが大切だとも語られました。AIには単純作業を任せ、人間は人間にしかできない創造性を発揮する。そんな理想の未来像が感じられました。
いち早く生成AIに可能性を見出し実行に移してきた彼らの凄さと、そんな彼らが描く未来に大きな期待を覚えた1時間でした。
12:30~13:20「生成AIとキャリアの築き方」
司会者:
生成AI EXPO in 名古屋 共同代表 田中悠介
登壇者:
・合同会社HOHO 波々伯部潤
・メディカル・シナジー合同会社 川瀬崇裕
・(自称)工場のおじさん代表 村岡大地
このセッションは「企業に生成AIのコンサル経験がある&登壇をしたことがある」登壇者たちによるパネルディスカッションでした。本人たちは、どのように企業に生成AIを使った提案やアドバイスをしているのか? を話した後に、キャリア形成についてもお話ししてくれました。
■具体的に行っている生成AIの提案&お仕事内容
登壇者たちは、生成AIを以下の内容で使用していると発表していました。
- 学会などで得られるナレッジをリアルタイムでまとめていく
- 会議の内容や伝えた内容をリアルタイムでまとめ、認識を共有しコミュニケーションを円滑にする
- 会議前に会議の内容や目的をまとめる
また、活用シーンと一緒に「生成AIを適材適所で使うこと」が大切だと話し、「生成AIを使うことが目的にならないようにすることが重要」という警鐘を鳴らしたことが印象的でした。
■生成AIで価値が大きくなるキャリア
登壇者たちが考える「生成AIで価値が大きくなるキャリア」について、締めていました。登壇者の川瀬さんは「パラレルキャリアで自身のナレッジの掛け合わせが大切」だと話し、波々伯部さんは「自分の経験が大切。自分の経験がない分野では生成AIを掛け合わせても無理。経験があるからこそうまく使える。(生成AIを)使えるようになり、うまく使い、経験をする。これを繰り返すことに意味がある」と続けました。
最後に、ここまで軽快なトークで場を盛り上げていた大地さんからは「子供の頃は『あれがしたい。これがしたい』というやりたいことがたくさんあったが、高校生くらいになると、学力などといった側面から、何ができるのかが分かり『あきらめることが増えていった』。これからは、そのような足りない力はAIに補ってもらい、あきらめた夢(やりたいこと)に挑戦し続けることが大切」という言葉で締めくくりました。
このセッションを通じて、これからの社会では人がやりたいことを諦めることなく、自由に、効率良く学べるようになることが分かりました。そのような社会では、好奇心や言語力だけではなく、粘り強く飽きずにやり続ける忍耐力も重要だと感じました。
14:30~15:20「CDLE基調講演」
司会者:
生成AI EXPO in 名古屋 共同代表 宮野孝汰
登壇者:
・CDLE名古屋リーダー 徳和貴成
・CDLE名古屋
Mさん
しぶちょー
Tori(とり)
このセッションでは、JDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)が実施する、G検定・E資格の合格者のみが参加できる、日本最大のAIコミュニティ「CDLE」のメンバーにより、通常のサラリーマンにおける生成AIの使用内容について意見交換が行われました。
■具体的に行っている生成AIの活用内容紹介
登壇者達は普段の仕事のシーンでは、以下の内容で使用していました。
- メールの作成
- 報告資料の説明の要約
また、プライベートでは、以下の内容で使用していると発表していました。
- 3Dモデルの作成
- AI小説家
■有識者たちが考える生成AI活用のコツ
CDLEメンバーのToriさんからは、生成AIは「INPUTからOUTPUTまで一気に進めることができるツール」と理解しているからこそ、生成AIの活用には、ITリテラシーの高さには関係ないと考えていると発言されていました。今後のAI社会では「仕事の流れを知っているベテランかつ、怠け者」が活躍すると予測していたことが、聴講側にはとても刺さっていました。
全員の共通の意見として将来、生成AIを使って活躍するためには、
- とにかくツールを触ってみる
- 学んだことをアウトプットする
- 人と共有して学び合いをする
15:30~16:20「生成AIの闇」
司会者:
Think IT「Gen AI Times」編集者 池田大喜
登壇者:
・IKIGAI lab.トピックスオーナー 髙橋和馬
・IKIGAI lab.トピックスモデレーター 國末拓実
・合同会社HOHO 波々伯部潤
・メディカル・シナジー合同会社 川瀬崇裕
・(自称)工場のおじさん代表 村岡大地
最後のセッションでは、これまでに登壇した生成AIのエキスパートたちが、イベントの締めくくりとして「生成AIがはらむ課題と可能性」について語ってくれました。
■フェイクニュースの対処法
まず議論されたのは「フェイクニュース」の増加です。例えば、医療分野ではすでにネット上に多くの誤情報が流れていると言われています。生成AIの発達によって、こうした誤情報がさらに見分けづらくなるリスクが考えられますが、議論では「リスクがあるから生成AIをやらないのではなく、リスクを見極めるためにも学ぶ必要がある」と説かれました。
■生成AI情報のキャッチアップ方法
次に「膨大な情報をいかにキャッチアップするか」が議論され、「信頼できる一次情報に当たることが重要だ」と指摘されました。一方、最新情報を追うにはエネルギーが必要なので「疲れない程度に流行の情報を追うのも一案」という意見も出ました。難解な一次情報を生成AIにかみ砕いて要約してもらう等、収集した情報の解釈にAIの力を借りることも有効だそうです。
生成AIを活用して情報を要約し、それを基に情報発信していく。AIを使ってさらにAIについて学んでいくことで、学びのサイクルが加速するとも語られました。
最後に「AI時代を生き抜くには、生成AIに頼り切るのではなく人間の能力を高めることが大切だ」と指摘されました。「AIに倍化される前に個人の能力を磨くこと、新しい技術に柔軟に対応すること、時代の変化を受け入れることなどが重要だ」と語られました。
私たちは生成AIの持つ課題と可能性を見極め、うまく活用できる感性・人間力を磨いていく必要があるのかも知れません。
16:40〜17:00 閉会式
司会者:
愛知教育大学附属名古屋中学校起業部 部長 近藤にこる
登壇者:
・生成AI EXPO in 名古屋 代表 伊藤雅康
・生成AI EXPO in 名古屋 共同代表 田中悠介
・生成AI EXPO in 名古屋 共同代表 宮野孝汰
■代表者達が考えるAIの未来
閉会式では、開会式と同じく、中学校起業部の部長である近藤にこるさんの司会の元、代表者である伊藤さん、宮野さん、田中の3名が考える1年〜3年後の「AIの未来」を各自一言でホワイトボードに書き込んで発表しました。
伊藤さんは「もっともっと身近になる存在」
宮野さんは「パーソナルAIの実現」
田中は「みんな1人1人のAI」
それぞれ言葉は違いますが「今よりも更に、人々の身近になるAIが実現できる」と口を揃えて話しており、田中からにこるさんへ「生成AI EXPOを体験したからこそ、実現してほしい未来」の話を聞かれた時の回答も同じように、身近に感じられる未来の見通しでした。
にこるさんの「AIについては、自分は今まで触れ合いがなかったが、今回の体験を通じて身近に感じた。だからこそ、ステップを通じることで子どもでも始めやすい環境をもっと作っていけたら良いと思う」との意見に、周囲からこの日一番の暖かい拍手で迎えられ終了しました。
プログラミング教室
展示者:Dot.laboプログラミングスクール
名城大学の講演スペースの隣では、Dot.laboによるプログラミング教室が行われました。イベント前日から既に予約で満席になった本プログラミング教室は、ロボットを使って親子で楽しく競争する内容になっており、初心者でも体験できる展示になっていました。
Dot.Laboプログラミングスクールはプログラミング大会の世界大会4位の高校生を排出するなど、実績のあるプログラミング教室で、通常から楽しみながら学べる、充実したカリキュラムでプログラミング教育を行なっています。
代表の太田さんからの「隣の講演会に負けないように元気よくやりましょう!」という言葉に応えるように、子どもたちがお父さん、お母さんと笑顔で取り組んでいる姿が印象的で、プログラミングができることのイメージを親子が実感できた教室だったように思えました。
終了後に子供達が満足して会場を去っていく親子の後ろ姿には、未来の可能性をイメージできたという参加者も多かったのではと思います。
イオンブースの内容について
イオンモールナゴヤドーム前では、親子向けの生成AI体験イベントが開催されました。画像生成体験や生成AIを活用したクイズ・ゲームなど、親子で楽しく生成AIに触れられるコンテンツが満載。当日は椅子が足りず、立ち見が出てしまうほどの盛況ぶりでした。
詳細はこちらの記事「【体験】親子で楽しむ生成AI EXPO in 名古屋 レポート」で紹介されているので、興味のある方は、ぜひそちらをお読みください!
【イオンブースでの主な開催内容】
■生成AIについて学ぶ講座や、画像生成を体験
・初めてのCopilot講座 by studio veco, SOZO美術館
・にじジャーニーで画像生成 by Spellbruch, Patchsign
・キッズAIスクール by LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社
■画像や絵をAIに取り込んで遊べる、未来のツール・ゲーム体験
・チャットモンスターバトル by CDLE名古屋
・塗り絵をAIで動かそう
■生成AIを使い、自らクイズやプログラムが創れる体験
・Scratch+ChatGPT by Corder Dojo 瀬戸
・Quiz ∞ Infinity by 株式会社moze
■AIとのリアルタイム音声会話で、次世代を体感
・スタックチャンと会話しよう
・ヴァーチャルヒューマン「ヴェール」との会話 by AIHUB株式会社
生成AI EXPO in 名古屋を終えて
(共同代表:田中より)
今回の生成AI EXPO in 名古屋では「AIと一緒に『好き』」を伸ばそう」というコンセプトがありましたが、本来の目的は「親子で生成AIを身近に感じてもらう」ということもありました。
その中で、名城大学では年齢が高くAIの知識を既に持っている参加者にも学びや気づきを得られるように考えて、用意したものでした。結果として、名城大学側のセッションではオンラインも含めて来場者が500名を超え、「満足度や気づきを得た」というアンケート結果は90%を超えています。
また、一番多くの参加者を集めたセッションは「生成AIとキャリアの築き方」で、大人たちも「自分たちは、この大きな流れにどのように乗っていけば良いのか」を考えている結果だと考察しています。
本イベントの内容は、IKIGAI lab以外にも、多くの団体が「AIを身近に感じてもらいたい」「社会に広めていきたい」という想いを持ち、同じ目標に向けて取り組んだ結果だと感じています。
これからも、様々な側面の取り組みによる「半歩先の未来」を読者の皆様に提示し続けることで、一緒に新しい時代に向けての人間らしさを考えていけたら幸いです。
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