プロセスの差分をサービス化する
プロセスの差分をサービス化する
先ほどのプロセスをもう一段深堀りして差分のプロセスを見ていこう。
図3のようにIT商品調達というプロセスについて考えた場合、自社で開発してパッケージ化しているソフト製品を提供する場合と市場で販売されているパッケージを提供する場合の2通りある。

図3:プロセスの差分について
これを見れば明らかなように、2通りのプロセスが発生し、これを仮に「プロセスの差分」と名づける。
このような例については、これまでにも共通化の試みをしてきたが、ビジネス上の制約やシステム上の制約から断念した例が多い。
ビジネス上の制約については、製品や調達の特性などから、プロセスの標準化ができなかったプロセスである。また、システム上の制約についてもデータ構造やコンテキストに依存した実装の取替えができなかったためにプロセスの差分が発生している。
これらプロセスの差分は図4のようにSOA要素技術の適用で解決することが可能となる。

図4:SOAによる基盤構築
表1にSOA要素技術による解決方法を示す。
- データ構造の解決策
- XMLスキーマの柔軟性により、複数の型を内包できるXML技術によって吸収する。
- コンテキストの解決策
- メッセージに含まれているコンテキスト情報を元に適切な実装に取り替え可能なESBが持つ「CBR (Content Based Routing)という機能によって解決する。
これら要素技術の適用により、「IT商品調達」という1つのサービスで、ソフト製品とソフト商品という複数の異なるプロセスの差分を吸収することが可能になったといえるのである。