GitHubが毎年開催しているカンファレンスGitHub Universe 2025の会場のようすと、スポンサーブースを紹介する。毎年サンフランシスコで開催するGitHub Universeに対して、GitHubが並々ならぬこだわりを持っているのは、通常のテックカンファレンスと比較すると理解できる。ホテルの宴会場やサンフランシスコの代表的なイベントスペース、モスコーニセンターなどを選ばないことやセッションスペース、スポンサーのブースなどを見ても、他社とは違うことを常に意識していると言える。参加者に何かを伝える以上に参加者がこのカンファレンスを「楽しむ」ことを主眼としていると思えるのだ。
2017年のGitHub Universeは工場跡を使って展示を行っており、その頃から「ユニークであること」には特に重きを置いていたことがわかる。2017年のGitHub Universeについては以下の記事を参照して欲しい。
●参考:【写真で見る】GitHub Universeが示す新しいイベントのスタイル
メインのキーノートのための会場は横に広くスペースをとり、複数のスクリーンを使って訴求するように設計されている。会場の椅子の数は300名分くらいで、会場に入りきれない参加者は別会場で配信を見るというスタイルだったことからも、参加者を詰め込むことを重視していないことは明らかだった。
キーノートの直前までPCを使ってソースコードでシンセサイザーを操作するDJプレイが行われていた。このことからも常識的ではないキーノートを目指していることがわかる。
キーノート前の待機時間にDJが登場すること自体が常識的ではないだろう。この会場に入る前に長い通路を通って入場するように設計されているが、通路そのものにも凝ったデザインがなされている。
会場の外には巨大なGitHubのキャラクター、モナリザをデザインしたモニュメントが置かれており、記念撮影の場所になっていた。
また会場のそこかしこに簡易なプレゼンテーションのステージが用意されており、それぞれがデザインされている。この辺りは実にGitHubらしい。
筆者が数年来参加しているKubeConなどのオープンソースのテックカンファレンスでは、セッションは数多くの応募の中から厳選され大量に行われる。そのため複数の会議室にセッションが隙間なくスケジュールされ、参加者はセッションを聞くか、コミュニティやスポンサーのブースを見て回るかを選択しなければならない。その点GitHub Universeでは、セッション自体が時間の間隔を空けて実施されているため、セッションを聞く合間に余裕をもってスポンサーブースを回れることになる。これはブースを設置しているスポンサーにとってはありがたい配慮だろう。
このステージの脇にはドーナツとコーヒーを味わうコーナーが設置されている。また至る所に椅子とテーブルが用意されているのも特徴的だ。参加者への配慮は行き届いていると言える。
このRecess!のコーナーでは2日間にわたってさまざまな図画工作のミニイベントが行われており、ITネタを絡めたリラックスするための場所という扱いだった。
このブースではGitHubのキャラクター、モナリザのステッカーをカスタマイズすることができる。初日は多くの参加者が殺到して行列ができていた。
2024年からラズベリーパイを使った参加者バッジが限定された数のみ使われていたが、2025年は参加者全員に配布されるようになり、その構成をカスタマイズするためのブースが用意されていた。自身のGitHubアカウントと接続することで、自身のプロフィールをカスタマイズができるというわけだ。
このShip&Tellというコーナーは、GitHubの顧客が自身のユースケースなどを語るための専用のスペースとして使われており、スポンサーでなくてもここで自身のユースケースを語ることで参加者と交流が可能になっていると言えるだろう。テックカンファレンスでは参加者から一緒に働く従業員をリクルートすることを目的としてスポンサーになるエンドユーザー企業も存在するが、短い時間ながらもプレゼンテーションを行うことでより効果的に自社に興味を持ってもらうという目的には合致した企画だ。
プラチナスポンサーの1社、Atlassianのブースはデモを中心として構成されており、この時は多くの参加者でデモのスクリーンが見えないほどに混雑していた。
Microsoftのブースはラジオ番組のように対話しながらテクノロジーを解説する手法をとっていた。混雑を避けるために観葉植物を柵の代わりに使うというのは斬新なアイデアだ。
大きめのブースを利用しないスポンサーは、L字型のブースで参加者が溜まりやすい構造になっている。この例ではIBMとDynatraceが隣同士となって参加者に訴求している。
LaunchDarklyのブースはL字コーナーの両面を使って構成。ここではデモスクリーンは一つ、後は説明員の努力次第と言ったところだろうか。
KubeConなどでは縦長の液晶スクリーンを使ってブースを構成しているDatadogだが、ここでは普通のスクリーンを利用している。お馴染みのキャラクターがプリントされたTシャツを配るのは変らない。
Googleが開発したコーディングアシスタントのJulesもブースを出展していた。将来的には有償のサービスとして提供されるという。「非同期のコーディングアシスタント」ではなく「Googleのリモートコーディングアシスタント」というキャッチコピーになっているのが興味深い。Copilotとの差別化というよりも競合を避ける配慮だろうか。
スポンサーだけではなくGitHubがホストしているオープンソースプロジェクトのためのブースも用意されている。このブースは2日間でローテーションしていたようで、初日と2日目では異なるプロジェクトが展示されていたようだ。この写真の奥のブースは他のブラウザエンジンに依存しないオープンソースのブラウザーであるLadybirdのブースだ。
Adobeが買収を試みたが失敗したWebベースのデザインツール、Figmaもゴールドスポンサーとして出展をしていた。
全体として退屈な展示スペースを極力避けるためのさまざまな努力がそこかしこに見えた。また各所に配置されたカフェラテなどを提供するコーヒースタンドによって、参加者もスポンサーもコミュニケーションを持続できるような構成になっていた。この点はGitHub Universeの美点と言えるだろう。
日本から初めて参加した企業ユーザーもGitHubのカルチャーを感じると語っていたのが印象的だった。ベンダーが開催するカンファレンスが陥りがちな、自社のプロダクトの優秀さを訴求し続ける印象を拭うための姿勢が現れている。
Microsoftの一部でありながらGitHubのプレゼンテーションにはユーザー数やオープンソースのプロジェクト数などの数字は出ても売上や市場シェアなどの数字が一切出てこないのも特徴的だ。GitHubが企業ユーザーだけではなくホビープログラマーや学生、IT化が遅れていると思われる国や地域に対しても視野に入れてIT技術者、行く末はデベロッパーになって欲しい、そのためには「楽しむ」ことが必要だと意識していることがよくわかるカンファレンスだった。来年もどんな「楽しさ」を披露してくれるのか、楽しみである。
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