多角的に考察する BPM再入門 4

SOAとBPMの関係

SOAとBPMの関係

ここからはSOAとBPMの関係について説明していきます。

SOAとBPMの関係は様々なところで議論がされており、見解は異なっています。一般的には「SOAからみたBPMはシステムアーキテクチャとして の手段でありパーツ」であり、また反対に「BPMからみたSOAは業務改善をシステム化する時の手段」です。このようにBPMを実現するということは、結 果としてSOAを実践することとなります。

ここでSOAに対する一般的な見解をまとめてみます。SOAに関する書籍などは、SOAを「大規模な情報処理のアプリケーションを管理するための概念(アーキテクチャ)であり、データと業務を独立したコンポーネント化するもの」としています。

SOAではこのコンポーネントをサービスという単位で扱い、そのサービスを接点(中心)にしてシステムを構築していきます。そしてSOAの特長は次となります。

  • 再利用
  • データ指向の粒度が大きいインターフェース(情報処理の視点で粒度を細かくするのではなく、ビジネスの視点で粒度を規定することで再利用性が高まるという考え)
  • システムなどの環境を疎結合(環境変化をサービスに持ち込まない)
  • サービス(業務の概念)
  • テクノロジーから独立した定義(SOAは技術ではなく機能と技術を分離したアーキテクチャ)
表2:SOAの特長

SOAから見たBPMの位置付け

色々な文献でBPMSはSOAの層概念の中で定義しています。そのなかでのある定義を参考に解説を加えます。

SOAを4段階の接続機能として捉え、BPMSは接続機能の種類により内容が異なります。

そしてSOAは全社的な適用段階の対応の実現が進化のゴールとなります。BPMSはこの全社的な適用段階において、BPMとSOAの最適な関係とし て機能します。可視化/パフォーマンスのシミュレーション/情報システム機能としての動作/モニタリング/分析がシステムによって実行されます。

BPMSによって捉えられるSOAの4つの適用段階
図2:BPMSによって捉えられるSOAの4つの適用段階

全社的な対応機能
企業間の取引や企業全体から業務活動です。
ビジネスプロセスとの対応機能
上の層を業務ルール、業務プロセスから見たサービス定義
統合機能
EAI的な位置付けです。
個別接続機能
個々のシステムの中での対応です。
表3:BPMSによって捉えられるSOAの4つの接続機能

SOA中心に見ると、BPMはSOAのビジネスプロセス接続機能で接点を持ちます。そして、この接続以降を置くことで、ビジネスプロセスとシステム が分離し、拡張性、柔軟性を高めます。この連携概念(SOA)の実装技術がBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)です。

BPMとSOAの関係において欠かせないBPEL

BPELはBPMとSOAの関係において欠かせないものです。BPELは1つの機能での処理フローのほかにもBtoBフローの記述も可能であり、多くのエンタープライズ向け製品において主流となっているビジネスプロセス実行言語です。

つまりBPM接続機能を実現した技術であり、ビジネスプロセスを記述する言語と実行環境を包括したものとしてWebサービスによってプロセスを実行することもできます。

BPELはWSDL(注1)を用い、Webサービスの呼び出し/データ操作(正常処理)や例外処理/プロセスの終了処理/障害処理などのアクティビティを使用して、プロセスを定義するものです。
 

※注1: WSDL:Web Services Description Language
ネットワークサービスを(規定として)文書指向または(業務として)手続き指向の情報を含んでいるメッセージに対する端点操作のセットとして記述するため のXMLファイル。操作とメッセージは抽象的に記述された後に、端点を定義するための具体的なネットワークプロトコルとメッセージ形式にバインドされる。


BPELは2002年8月にIBM、Microsoft、BEA Systemsによって発表され、2003年5月にSAP、Siebel Systemsも交えた形でBPEL1.1が公開され、現在では標準化団体であるOASISで標準化が行われています。

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