Linux/OSSの導入実態と今後の展望 4

Linuxサーバの市場動向

Linuxサーバ市場規模の推移   第1回から第3回まで、ユーザ調査をベースにオープンソースソフトウェア(以下、OSS)の導入実態を見てきた。第4回からはOSSに関連するビジ ネスマーケットの動向について述べていく。特にOSSの中でも1人前にマーケットを形成しつつあるLinuxに焦点をあて、Lin

入谷 光浩

2005年5月11日 20:00

Linuxサーバ市場規模の推移

   第1回から第3回まで、ユーザ調査をベースにオープンソースソフトウェア(以下、OSS)の導入実態を見てきた。第4回からはOSSに関連するビジ ネスマーケットの動向について述べていく。特にOSSの中でも1人前にマーケットを形成しつつあるLinuxに焦点をあて、Linux関連ビジネスの動向 について把握していく。まずはLinux搭載サーバ市場について見ていこう。


2004年はサポート体制の充実により順調に成長

   2003年から2007年までのLinux搭載サーバ出荷台数の推移を図1に示 す。2003年(1〜12月期)のLinuxサーバ市場は出荷台数50,485台となり5万台を突破、全サーバ(IAサーバ、RISCサーバ、メインフ レーム)に占めるLinux搭載比率は11.8%となった。2004年の出荷台数は前年から35.5%増加の68,420台、Linux搭載比率は2.1 ポイントアップの13.9%になった。

   2002年まではサーバベンダーのサポート面での未整備もありスローペースで導入が進んできたが、2003年になり急速に出荷のスピードが速まって きた。特に2003年は自治体関連の案件が多く、2003年度中の接続が義務付けられていた総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)関連のシステム案件においてLinuxが採用されているケースが多かったことも影響している。

   2004年も2003年に引き続き順調に出荷台数を伸ばしている。自治体のLGWAN関連案件の駆け込み需要というのもあったが、それだけではなく 民間企業での導入も増えてきている。2004年はこれまでLinuxに対して戦略が明確に打ち出せていなかった日本HPをはじめ、主要サーバベンダーが Linuxに対して積極的なコミットを行いサポート面の充実を図った。それがユーザにLinuxへの安心感を与え、出荷台数の増加を大きく後押しすること になっている。

Linux搭載サーバの出荷台数とLinux搭載比率
図1:Linux搭載サーバの出荷台数とLinux搭載比率

2007年にはLinux搭載比率20%突破、ハイエンド領域での増加を期待

   Linux搭載サーバの出荷台数の今後の予測について、矢野経済研究所では 2005年は前年比32.1%増の90,352台と推定する。さらにその後も成長を続け、2006年に10万台を突破、2007年には142,700台、 全サーバに占めるLinux搭載比率は約20%になると推定する。2003年から2007年までのCAGR(年平均成長率)で見ると、29.7%と高い成 長を続けていくことが予想される。

   各ベンダーのLinuxサポート体制の整備が整ったことをはじめ、2004年から進んでいるY2Kのリプレース需要やLinux対応のアプリケー ションが充実されていくことから、2005年からは本格的な普及期に入っていくことが予想される。これまで紹介してきたユーザ調査結果からでもわかるよう に、ユーザ側でのLinuxの導入意向は高まっていることは明らかである。この結果が2007年にLinuxの搭載比率が20%を突破するという高い成長 予測の裏付けともなっている。

   現状ではLinuxを搭載しているサーバのほとんどがIAサーバであるが、今後Itanium 2サーバやRISCサーバ、メインフレームなど、ハイエンドサーバ上でLinuxを積極的に採用していく方針が日本IBMをはじめ各ベンダーで打ち出され ており、基幹系システム領域へのLinux導入が増えていくことは間違いない。出荷台数面ではボリュームを出せないものの、出荷金額面においてはサーバ市 場に与えるインパクトはより大きくなっていくと考えられる。

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