サーバの導入動向から見るIT投資動向
はじめに
本連載はノーク・リサーチが2006年1月から5月に調査・分析した調査レポート「2006年版 中堅・中小企業のIT/ソリューションの実態と展望」を基に、中堅・中小企業のIT/ソリューションの実態を解説する。
本調査は中堅・中小企業の経営者、情報システム部門、中堅・中小企業へソリューションを提案する立場の方々にとって有益な情報を提供することを目的として実施しており、今回で8回目となる。
調査プロフィール
本調査は、ノーク・リサーチ所有の企業データベースから抽出した全国の年商5億円以上500億円未満でIAサーバを導入した民間企業約4,000社 を対象に、2006年1月から3月までの期間で郵送アンケートおよびWebアンケートを実施し、その結果有効票931件を回収した。
今回の調査のポイント
2006年版である今回の調査のポイントは以下の2点だ。
景気回復によるサーバの導入気運の上昇
景気回復の傾向は2004年後半から上向きになってきている。事実、サーバの導入意向の調査結果からもそれは明らかだ。詳しい内容は後述するが 「サーバの導入を検討している」中堅・中小企業は2004年から上向きに転じ、2006年現在ではより明確な導入意向を示している。
情報系システムの導入は進んでいるが、戦略系システムは停滞
導入システム内容では財務会計などの基幹系アプリケーションの導入が非常に進んでいることと、グループウェアなどのWebを利用した情報系アプリケーションの導入が進んできていることが明らかになっている。
しかしいわゆる新ITソリューションの導入は今ひとつだ。唯一ERPの導入は進んできているが、CRMやSFAなどは約10%前後の導入率で推移しており、このような戦略系アプリケーションの導入は停滞している。
中堅・中小企業の過半数はサーバの導入を検討している
まず1つめのポイントとして「サーバ導入気運の高まり」について述べたい。その傾向をあらわすデータとして「サーバ導入意向」を見てみると、明確な結果としてあらわれていることがわかる(図1)。
2006年の調査結果では「導入の予定はない」が41.3%と最も多いものの、前年比では6.4ポイント減少している。次いで「具体的ではないが検討/考慮している」が30.0%あり、「具体的に導入の検討/計画している」が25.5%となっている。前年比ではそれぞれ3.0ポイント、2.5ポイン ト増加しており、両者をあわせると55.5%となる。これにより中堅・中小企業の過半数がサーバ導入を検討しているといえる。
過去の導入意欲が高い時期は2001年と2002年だ。「導入の予定はない」が約3割で、「サーバの導入を検討している」が約5割となっている。
この導入意欲の高さは2000年問題によるところが大きい。この時期に導入したユーザが、2004年以降の景気回復やサーバ価格の低下などによる 「買いやすさ」を感じはじめているのだ。実際、サーバ導入意向は2004年に「底」をうっており、現在は導入意向がさらに高まっていることからも明らかだ といえる。