仮想化の流れで勢いを見せるティントリの仮想化ストレージ
2014年11月5日、6日に開かれたVMwareのプライベートイベント、vForum 2014での講演のために来日したコンバージドインフラストラクチャーのストレージベンダー、米国Tintri社(以下、ティントリ)のVP of Technologyのレックス・ウォルターズ氏に単独インタビューを行い、現在のクラウド環境におけるストレージのあるべき姿を聞いた。
ティントリは2008年に創業されたベンチャーで、元VMwareのエンジニアリングの責任者やNetApp、Data Domainなどの出身者によって創立された。現在のインフラの仮想化という大きな流れの中でストレージはどうあるべきか?をゼロから発想して製品開発を行っている気鋭の新興企業で、日本でも富士通がOEMとして製品を扱うなど、ビジネスが拡大している。
参考:Tintri 日本ビジネスを強化 富士通とOEM提携、市場開拓へ
安価なx86サーバーとSSD、HDDをベースにシステムを構成することでハードウェアコストを下げ、ソフトウェアによってストレージの並列化及び冗長化、大容量化を実現するコンバージドインフラストラクチャーと呼ばれるSoftware-Defined Storage(SDS)を開発販売するベンダーの一つだ。他にもNutanixのようにオープンソースソフトウェアを活用して、SDSを開発しているベンチャーもある。
最近ではVMwareが開発したEVO:RAILと呼ばれるSDSの基盤ソフトウェアにEMCやDELLなどがハードウェアを提供し、パッケージとしてSDSを購入できる製品が発表されるなど、NASやSANなどの従来型のストレージソリューションから柔軟に拡張を可能にするスケールアウト型ストレージ製品が大きな流れとなっている。
今回、ウォルターズ氏はvForumで行ったプレゼンテーションに加え筆者の質問に対して仮想化とSoftware-Defined Data Center(SDDC)におけるティントリのコンセプトを解説した。
最初にウォルターズ氏は「ストレージ管理者とアプリケーション管理者の間にある矛盾」について説明を始めた。ウォルターズ氏は、ストレージ管理者が求めるものとアプリケーションの管理者もしくはエンドユーザーが求めるものが違い過ぎていることが両者の間でコミュニケーションが上手くいかない状況の原因であると説明し、「問題の原因はストレージ管理者が管理のために必要なストレージのサイズやアクセスの方法など、ストレージ管理者の視点でアプリケーションに対して必要な答えを求めているからです。実際にビジネスに必要なのはアプリケーションであって、ストレージではないのです。もっとアプリケーションの視点に立って必要なものは何なのか?を考えるべきです。そして現在ではほとんどのアプリケーションは仮想化の基盤に乗っているのですから、仮想化に最適なストレージとはなにか?を考えています。それがティントリの発想の原点なのです」と語った。
物理ストレージと仮想ストレージのそれぞれの分類、特性について解説した上で、ティントリが提供する仮想化環境に最適なスマートストレージの利点について説明、VMwareなどの仮想化環境において仮想ボリューム単位でアクセスのポリシーが設定できることで従来のLUN単位よりも細かい設定が可能になり、ストレージ管理者視点ではなく仮想化されたアプリケーション、OS毎の設定が行えることが差別化の大きなポイントであると訴える。そしてその発想はこれからの仮想化がベースとなるクラウドコンピューティングには最適であると説明した。
ティントリは、5月のマイクロソフトのTechEdでHyper-Vへのサポートを表明。これはまだ正式には製品化はされていないが、9月に行われたプレスリリースではRed Hat Enterprise Virtualization (RHEV 3.3)にも対応することも発表している。これまでVMwareに特化した仮想化ストレージと思われがちだったティントリのソリューションだが、vSphereに加えてRHEVをサポートすることでRed Hatの環境にも対応することで選択肢を増やした格好になる。
- Hyper-Vへの対応:http://tintri.co.jp/news/press-releases/tintri-teched-2014
- RHEVへの対応:http://tintri.co.jp/node/1349
日本での事例も増え、ユニアデックスがVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャー)の基盤としてティントリを採用することを発表。企業のコンピュータシステムが仮想化されていく流れはますます増加し、仮想マシンに対応するストレージへのニーズは高まると予想される。
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