仮想環境特化型ストレージのTintri、VMworldに先駆けてプライベートイベントを開催

2015年9月1日(火)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

2015年8月30日、VMwareに代表される仮想マシン環境に特化したストレージアプライアンスのTintriがサンフランシススコでプライベートイベント「Tintricity」を開催した。今月発表したオールフラッシュストレージ製品の概要だけではなく、8月5日に発表されたベンチャーキャピタルによるシリーズFの増資の紹介、好調な業績などの最新情報を米国内、日本などから集まったユーザー、パートナー約200名に向けて力強く発信した。

Tintri CEO ケン・クライン氏

冒頭に登壇したのはTintriのCEO、ケン・クライン(Ken Klein)氏だ。まずはTintriの順調な成長を創業の2008年当時から最初の製品であるT540の出荷(2011年)、2014年におけるInfoworldでのProduct of the Year受賞などを振り返って紹介。来年に予定されているIPO(Initial Public Offering:株式公開)に向けて順調に成長していることを強調した。

2008年創業当時からの年表ではTintriの順調な成長が伺える

ここでクライン氏はTintriのユースケースがサーバーの仮想化、デスクトップの仮想化、クラウドコンピューティングの3種類にほぼ均等に分かれていることを説明したうえで、「Tintriの製品は想像以上にクラウドプロバイダーでの導入が進んでいる」と示した。また日本の導入事例としてNTTコムウェア、パートナーとしてNetworldのコメントなどにも触れ、日本からの参加者に対する思わぬプレゼントというかたちになった。米国内でのプライベートイベントでこのように日本企業が持ち上げられるのは異例と言えるだろう。日本市場に対する期待の現れが垣間見えた瞬間だった。

ネットワールドのコメント。「ブロックストレージはEMC、ファイルストレージはNetApp、仮想化のストレージはTintriがリーダー」

続いて登壇したのは、共同創業者兼CTOであり、かつてVMwareで製品開発のEVP(Excutive Vice President:上級副社長)であったキーラン・ハーティ(Kieran Harty)氏だ。

物静かにプレゼンを行うTintri CTO キーラン・ハーティ氏

ハーティ氏は、「Tintri製品開発の特徴は『シンプル』であることを第一のテーマとして取り組んでいる」と強調。ややもすると管理者の独自の知識、論理、常識に特化してしまうストレージインフラの管理を仮想マシンの単位に分解し、ビジネスアプリケーションの要求に基づいたポリシーによってシンプルにする様を紹介した。

次に登壇したのはIDCのストレージ分野のリサーチャー、エリック・シェパード氏だ。シェパード氏はムーアの法則に従ってコンピュータがすさまじい勢いで進化したことを、自動車メーカーのフォードが1965年に発売したマスタングの例になぞらえて解説。「もし自動車業界でムーアの法則が起こったら、1965年当時の価格で3500ドル、燃費は1ガロンのガソリンで15マイルというフォード・マスタングは2015年にはどうなっていたのか?」という考察を示した。

フォード・マスタングにムーアの法則が適応されたら1ガロンで地球を2万回廻れるという

ハーティ氏によると、「マスタングは価格が0.00007ドル、燃費が1ガロンで5千万キロ以上を走行可能になるという試算をもとに、コンピュータは他の業界ではありえない進化を成し遂げているのだ」とユーモアを交えて紹介した。

さらにストレージ分野ではデスクトップ・サーバーの仮想化でフラッシュドライブの活用が進んでいること、さらにストレージ管理はLUN(Logical Unit Number)ではなく仮想マシン単位で行う必要性が高いことが認識されている(2014年で60%、2015年では85%の企業がその必要性を認識)というリサーチ結果を示し、仮想化環境における過去のストレージ管理は新たな段階に入っていることを強調した。

ここにTintriがオールフラッシュアレイを発表した大きな理由がある。エンタープライズがオールフラッシュのストレージをプロダクションシステムの選択肢として視野に入れ始めている段階で、ハイブリッドではなく100%フラッシュのストレージを発表したのはタイミングに見合っていると言えるだろう。

仮想マシン単位での管理の必要性が高まっているというリサーチ結果

このリサーチ結果は、これまでのLUNによる管理を否定して仮想マシン、アプリケーション単位での管理を推進するTintriにとって力強い後押しとなるプレゼンテーションであった。

また、他のプレゼンテーションでも従来型のデスクトップ仮想化ソリューションを導入していた企業が「たった10台のデスクトップしか仮想化できない」というVDI(デスクトップ仮想化:Virtual Desktop Infrastructure/Interface)を諦めてTintriに移行した事例など、まだTintriの製品を活用していない見込み顧客にとっては刺激的な内容も含まれたイベントであった。

Tintriのオールフラッシュ製品に関してはすでにThink ITでも取り上げているが、今回のVMworldではTintriをはじめとするストレージベンダーが数多く参加している。より詳しくは別途レポートを行う予定だ。

Think ITのTintriオールフラッシュアレイ製品に関する記事:
http://thinkit.co.jp/news_event/2015/08/21/5735

ティントリコーポレートサイト:
https://www.tintri.com

VMworld公式サイト:
http://www.vmworld.com

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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