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IaaSの一例としてのLibra

2010年6月28日(月)
末広 美奈子(すえひろ みなこ)

サービス普及のためのIaaS要件

前回は、クラウドの1つの形として、仮想サーバーを用いたWebシステム環境を構築・運用するためのミドルウエアであるAppLogicを紹介しました。今回は、AppLogicを利用したモデルを基に、IaaSの要件について考えます。クラウドというと技術面に関心が向きがちですが、今回は、サービスとして普及させるために必要となる要件を考えます。

AppLogicを利用する場合、通常は1つのリソース・プールをユーザー1社が利用するVPDC(Virtual Private Data Center)型になります。リソース・プールとユーザーが1対1に対応するので、これを仮に「1:1モデル」と呼びます(図1左)。このモデルは、自社のプライベート環境で独自の環境を構築したい場合に最適ですが、コスト負担が大きくなります。

それでは、AppLogicのリソース・プールを複数ユーザー(N社)で共有する「1:Nモデル」(図1中央)はどうでしょうか。この場合は、リソースを複数ユーザーで共有するため、かかる費用が複数のユーザーに分散し、個々のユーザーのコスト負担は減ります。

しかし、1:Nモデルの場合、管理者権限を個々のユーザーに渡すことができません(あるユーザーのWebシステムを、ほかのユーザーが操作できてしまうからです)。このため、仮想環境のサービス提供事業者が管理者権限を持ち、フル・マネージドでクラウド・サービスを実施する必要があります。ユーザーのコスト負担は減りますが、サービス提供者側の運用負担が増えます。サービスが普及すればするほど、運用管理コストが大きくなるという欠点があります。

以上の点から、IaaSの要件として、以下の2点が挙げられます。

  • 低コストでサービスを利用・提供できること
  • サービスの普及度と運用負荷が比例しないこと

この要件を技術的に補完したのが「1:N×nモデル」(図1右)です。ほかのモデルとの違いは、特定のコントロール権限を与えたAPIをAppLogicに付加している点です。これにより、ユーザーはWebのGUIを使って自社のWebシステムを操作できるようになります。

つまり、1:N×nモデルでは、1:Nモデルにおいてサービス提供者が代行していた運用作業を、個々のユーザーに委ねます。これにより、サービス提供者の運用負荷が減ります。また、サービスが普及することで規模の経済性が働き、サービス価格が下がります。

図1: AppLogicを用いたプライベート・クラウドの利用形態

Libraが生まれた背景

サービスを普及させるために必要なIaaSの要件について考察しましたが、IaaS技術に求められるニーズは、これだけではありません。今日のように、FacebookやmixiのようなSNSが登場し、また動画配信を個人で行えるような時代では、必要な時に必要な分だけ、妥当なコストでサーバー・リソースを利用するというニーズが生まれます。このニーズを実現するサービスの一例として、クラウド・サービス事業者のエクシードが提供しているLibra(ライブラ)を紹介します。

Libraを利用すると、ユーザー企業は、WebのGUIを使ってサーバー運用に必要な操作が行えます。Libraでは、複数の仮想サーバーで構成するWebアプリケーション・システム一式(AppLogicでいうところのアプリケーション、Libraでいうところのサーバーズ)をクリックすることによって、プロビジョニング(配置)、再起動、削除などの操作を行えるほか、CPUとメモリーのリソース割り当て量を調整できます。

今日では、さまざまなクラウド・サービスが提供され始めていますが、Libraがほかのサービスと大きく違うのは、複数の仮想サーバー群をまとめて操作できるということです。これは、Libraが、AppLogicを基盤として使っていることで実現できています。ユーザーはこのほか、WebのGUIを経由して、日々の課金状況やステータスを確認できます。

Libraの特徴

サービス提供者から見た特徴
(1)サービスをすぐにスタートできる
既にAppLogicを資産として利用しているのであれば、Libra用のミドルウエアをインポート/設定するだけで、Libraのサービスを開始できます。
(2)マルチテナント機能により、リソースを共有できる
AppLogicが、ユーザー1社がリソースを占有するプライベート・クラウド・サービスであるのに対し、Libraは、リソースを多数のユーザーによって共有するマルチテナント型のサービスです。これは、Libraが備えるアクセス制御機能によります。
(3)リソース量をスケール・アウトできる
Libraが備えるマルチグリッド機能により、サーバー・リソースを追加/削除できます。これにより、リソース容量のスケール・アウトが容易です。
(4)サービス提供者の運用負荷を削減できる
ユーザーがWebのGUIからサーバーを操作できるため、ユーザー数やリソースの増加に応じてサービス提供者の運用負荷が増えるということはありません。
ユーザーから見た特徴
(1)サービスをすぐに利用できる
Libraでは、WebのGUIにログインするアカウントを取得するだけで、すぐに利用を開始できます。サーバーを準備する必要はありません。
(2)簡単に操作できる
ユーザーは、自社のWebシステムを操作できます。操作はすべてGUIベースで実施できるため、初めて操作するユーザーでも直感的に利用できます。
(3)必要に応じてリソースを変更できる
リソースが不足したり余剰リソースが生じたりした場合、操作画面の"つまみ部分"を操作することで、リソースの割り当て量を変更できます。リソースの変更処理は、数分で完了します。
(4)安いコストで利用できる
Libraは、リソースを日割りで課金するため、コストはリソースを使った分だけ支払えばよいことになり、安いコストで利用することが可能になります。
著者
末広 美奈子(すえひろ みなこ)
株式会社エクシード システム技術部

AppLogicに関わるドキュメントのローカライゼーション、2009年10月のLibraサービス立ち上げに携わる。2010年の4月からは、Libraサービスの展開に向けた活動や、U.Sでのクラウド市場調査を行っている。現在もアメリカにて東奔西走中。
 

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