仮想アプライアンスの最新技術
仮想アプライアンスの今後
仮想アプライアンスでは、ハードウエアに対するすべての動作が、ハイパーバイザを介して行われます。このため、ネットワークのデータリンク層と物理層の処理が、ハイパーバイザに帰属します。この点が、物理アプライアンスと異なります。また、SSLの鍵交換で用いるRSA処理などのように専用の高速化ハードウエア(アクセラレータ)による処理性能の拡張性が要求されるケースでは、物理アプライアンスが優位です。
しかし、仮想アプライアンスであっても、ネットワークのI/Oスループットに関しては、大きなブレイク・スルーが期待できます。SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)と呼ぶ技術により、従来ハイパーバイザが行っていたI/Oの調停作業を、直接NIC側で行えるようになってきたからです。
シトリックスでは、SR-IOVを使ってNetScaler VPXの性能を最大15Gビット/秒まで引き上げることが可能であるということを、実証実験により確認しました。これまで性能上の制約で物理アプライアンスを導入せざるを得なかったようなケースにおいても、今後は仮想アプライアンスを適用できるようになります。
Express Edition
シトリックスでは、Express Editionとして、それぞれの仮想アプライアンス製品を1年間無償で試用できるライセンスを用意しています (Access Gateway VPXは5同時接続、Branch Repeater VPXは512kビット/秒、NetScaler VPXは1Mビット/秒に限定、ただし全機能を利用可能)。これを機会に、機能を試していただければと思います。なお、Express Editionの利用には、ユーザー・プログラムであるMyCitrixへの登録が必要です。
これまで5回にわたって、シトリックス製品の技術情報をアップデートしてきました(XenApp、XenServer、XenDesktop、XenClient、Provisioning Services、EdgeSight、VPXシリーズ)。今後も、クラウド環境に合わせた新たな機能を開発・実装していきます。今後も、シトリックス製品の技術動向に注目していてください。
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