サーバー仮想化でストレージ管理も統合
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仮想マシンのデータを圧縮して容量削減
データストア容量の管理に対しては、仮想マシン(厳密には仮想ディスク・ファイル)を圧縮して無駄を省くという運用も実現できる。NAS接続の環境で仮想マシンを圧縮する場合、vCenterから下記の操作を行う。
- vCenterから圧縮対象の仮想マシンを選択して右クリックする
- メニューから「EMC Celerra」→「Compress」を選択する(図5)
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図6:仮想マシンの圧縮のvCenterメニュー画面 |
仮想マシンの圧縮は、操作自体も非常に簡単であると共に、ストレージの容量を有効活用できるというメリットも得られる。
物理から仮想レイヤーの関連性を把握する
システムの構成情報を、常時正確に把握することは非常に重要である。特に、トラブルが発生した場合、構成情報の質によって復旧時間は大きく左右される。 前述した通り、一般的にvCenterとストレージ管理ツールは、それぞれ管理できる範囲が限定されているため、システム全体の構成情報を一度に取得することは難しい。
しかし、EMCの「Virtual Storage Integrator(VSI)」Plug-inをvCenterにインストールすると、vCenterの管理画面からEMCストレージの詳細情報が取得できる。 これで、サーバー仮想化環境からストレージへの依存関係が把握できるようになる(図6)。
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図7:VSIを利用してvCenterから取得できるストレージの情報 |
一方、ミッドレンジ・ストレージCLARiXの管理ツールであるNavisphere Managerからは、ストレージのボリュームから仮想マシンに至る構成情報を自動的に取得し、依存関係を把握することができる(図7)。また、ボリュームや仮想マシンのサーバー名から、構成情報の検索を行うことも可能であり、それらの構成情報は必要に応じてレポート出力も可能だ。最近は、コンプライアンスやセキュリティ面からも、構成情報の維持管理が重要視されている。その点においても、この機能は非常に有効だ。
図8:Navisphere Managerによる仮想マシン情報の取得画面(クリックで拡大) |
EMCが無償で提供しているVMware vCenter向けPlug-inによって、サーバー仮想化環境のストレージ管理が大幅に簡素化される(今回は紹介できなかったが、仮想マシンの複製も実現可能)。これにより、初めて共有ストレージを導入する場合も、ストレージ管理に対する不安はほとんど解消されるだろう。一方、既に共有ストレージを利用しており、ストレージ管理者も在任している場合であれば、データストアの作成など一部のストレージ管理をサーバー管理者に委託するという運用も可能となる。
また、Plug-inのみならずEMCストレージの管理ツールNavisphere Managerを利用することで、複雑化するシステム環境を正確に把握し、安定的な運用を実現できる。その結果、サーバー仮想化環境においても、無駄な投資を抑えシンプルかつ効率的な運用が可能となるのだ。
次回は、クラウド時代の最新ストレージ・テクノロジーである「ストレージのフェデレーション」について解説する。