今知っておきたい仮想化時代のCPU技術
MCAリカバリ
MCAリカバリは、システムで発生する深刻なエラーに対処する機能で、従来はRISC、メインフレームやItanium等を使用したハイエンドなサーバーにしかなかったもので、今年の春に発表されたXeon 7500番台でXeonとしては初めて実装された。例えば、前項に書いたような復旧不可能なエラーがシステムで発生した場合、今までのインテル Xeon プロセッサーを使用したシステムではシステム・ハングやWindowsのブルースクリーンが発生し、突然システムが止まってしまうことが起こり得た。場合によってはユーザーに多大な損害を与えることもあり得る。
例えば、メモリに重要なデータが書き込まれている状態で、システムが突然シャットダウンしてしまうとこの重要なデータは一瞬にして消えてしまう。MCAリカバリは、そういった状況に陥った場合も突然停止するのではなく、必要最低限の処理をしてからシステム・シャットダウンを行う、場合によってはシャットダウンをせずにシステムを稼働し続けることを目標にしている。
以下の図は、MCAリカバリの概念を説明した図である。この機能はOSと協調して動作する。復旧不可能なエラーが発生したら、その発生個所の情報と共にOSやVMMに伝達する。仮に問題がOS上で動作している特定のアプリケーションだけが使用しているデータで問題が発生していた場合は、このアプリケーションを切り離せばシステムは稼働し続けることができる。
もしOSやVMM本体の動作に致命的な影響を与える個所で障害が発生した場合は、状況にもよるが必要最小限の処理(メモリやレジスタのデータの退避)を行ってシステム再起動を行うことができる。
障害の発生状況によってできることは変わってくるが、システムに深刻な障害が発生した場合にも可能な限りのリカバリを行うことを目的とした本機能は、RAS機能の中でも重要なものである。
図5:MCAリカバリの概念図(クリックで拡大) |
まとめ
インテルのプロセッサーは積極的に世代交代を進め、その度に確実に処理能力が向上している。しかし、能力は向上させながら同時に消費電力は上がらないようにしているところが、非常に大きな特徴である。
企業がその成長に伴ってサーバーの能力を上げたいと考えるとき、最新のプロセッサーを使用したサーバーを導入すれば、能力は格段に向上する。しかし、それに伴って電力消費量も上昇するとしたら、それは決して歓迎される話ではない。
今回の記事で、インテルは決してプロセッサーの能力向上だけを追いかけている訳ではなく、仮想化、ミッションクリティカルといったニーズにも応えるために、さまざまな機能を追加、改善していることを説明させていただいた。
今後もインテル Xeon プロセッサーは、性能向上を進めながら世の中のニーズに合わせた、新たな機能の追加、改善を重ねていく見込みだ。進化を続けるサーバー導入の一助にしてもらいたい。