サーバー・システムにおける運用管理
ストレージの管理
サーバーの運用管理において、I/O周りの管理、監視は、多くの管理者にとって悩ましいものです。内蔵ディスクだけでなく、RAID構成の監視、外付けのFibre Channel(FC)ストレージのFC冗長経路監視や、iSCSIストレージの性能監視など、多くの種類の管理手法を学ぶ必要があるからです。
本連載では、オープンソース・ソフトウエアを使った、非常に基本的なI/O管理、監視を行う手法を述べます。さまざまなコマンドやツールを駆使しますが、通常は、ストレージ・システムの種類によって運用管理ツールは大きく異なります。
自社で導入しようとしているストレージ・システムがどのようなもので、どのようなツールが適しているのかを見極める必要があります。ここでは、広く一般的に利用されており、情報も集まりやすく使いやすい、非常に基本的なツールに限って取り上げます。
コマンド・ラインで使うストレージ管理ツール
Linuxにおけるストレージ管理は、一般的には、fdiskやdfコマンドによるパーティション管理が挙げられます。ここで、I/O性能の監視においては、LinuxとFreeBSDでは管理方法が異なります。Linuxにおいては、パーティションのI/O性能監視として、iostatコマンドとsarコマンドを利用します。
sarコマンドでは、LUN(下図では、sda、sdb、sdcなど)ごとに監視するため、-dpオプションを付けるのが一般的です。以下は、Red Hat Enterprise Linux 6におけるsarコマンドを使って、LUNを表示しながら1秒ごとに性能を監視し、合計4回出力する例です。
# sar -dp 1 4
図12: Red Hat Enterprise Linux 6に付属するsarコマンドにより、ディスク性能監視を行っている様子。-dpオプションによりディスク・パーティション名での表示が可能(クリックで拡大) |
ディスク性能監視の場合も、-oオプションにより、バイナリ・ファイルに保管することが可能です。バイナリ・ファイルの閲覧は、-fオプションで行います。
無料で入手できるRAID監視ツール
サーバーには、一般的に、サーバー・ベンダーから提供されるRAIDコントローラがオンボードで搭載されていることがほとんどです。RAIDコントローラーに複数ディスク・ドライブ装置を接続し、RAID1やRAID5などのアレイを構成することで、ディスク・ドライブ装置単体の障害がシステム全体のダウンにつながらないようにするためです。
一般的に、RAIDコントローラによるRAID1やRAID5構成はハードウエアRAIDと呼ばれ、サーバーでは一般的に利用される技術です。ハードウエアRAIDによるRAID1やRAID5を構成しておけば、単体のハード・ディスク・ドライブに障害が発生した場合でも、OSがそのまま稼働し続けますので、業務は継続できます。
しかし、障害が発生したということを運用管理者に伝える仕組みが必要になりますので、RAIDコントローラ配下のどのディスク・ドライブに障害が発生したかを知ることが必要です。これには、オープンソースの管理ソフトウエアよりは、ベンダーが無料で提供しているRAID監視ツールを導入するのが近道です。
例えば、HP SmartArrayコントローラ用のRAID監視ツールに、hpacucliコマンドがあります。RAIDコントローラの機種、物理ディスクの容量、現在のRAID構成状態(RAIDレベルや論理ディスク容量など)を簡単に確認することができます。以下は、hpacucliコマンドによって、HP ProLiant DL360G7にインストールされたRed Hat Enterprise Linux 6が稼働した状態で、内蔵のHP SmartArray RAIDコントローラ情報を閲覧した様子です。
図13: Red Hat Enterprise Linux 6が稼働した状態で、RAIDコントローラの監視を行っている様子。2つの物理ディスク(physicaldrive)によって構成されたRAID1による論理ディスク(logicaldrive 1)が正常に稼働していることが分かる(クリックで拡大) |