PR

仮想化統合の問題を解決するプライベートクラウド

2011年2月3日(木)
須賀 仁志

昨今、コスト削減を目的としてITインフラの最適化に取り組む企業が増加しています。しかし、この2、3年で聞こえてくるキーワードは大きく変化しており、従来の「仮想化統合」から「プライベートクラウド」に変わってきました。また、仮想化統合やプライベートクラウドを導入したユーザーの中からも、「運用が回らない」、「運用に課題がある」という声も聞こえてくるようになりました。本連載では、プライベートクラウドの概要を理解しながら、プライベートクラウドを構築し、最適に運用するための方法について解説します。

プライベートクラウドの長所とは

そもそも、クラウドコンピューティングという言葉が世に出始めたのは、2006年。GoogleのCEOであるエリック・シュミットが提唱したと言われています。

クラウドコンピューティングとはCPUやメモリ、ディスクなどのコンピューターリソースを一部の事業者が集中して提供し、利用企業がインターネット経由で消費するITの形態を指します。クラウドコンピューティングでは、コンピューターリソースを集中して管理、提供する「提供者側」と、コンピューターリソースをただ単純に利用する「利用者側」に分けられます。

既に電気、ガス、水道、電話など公共インフラでは、提供者側が集中して各種リソースを管理する形態になっています。ITの世界でもコンピューターリソースを提供者側が集中管理し、複数の利用者で共有する事で、スケールメリットの恩恵を受ける事ができます。クラウドコンピューティングの効果として、集中と共有による全体の効率向上が挙げられます。

過去、クラウドコンピューティングとは複数企業でコンピューターリソースを共有する、パブリッククラウドの事を指していました。しかし、近年では単一の企業で占有する、プライベートクラウドという形態が新たに登場しました。このプライベートクラウドの登場によって、クラウドコンピューティングはパブリックとプライベートに分類して考えられる事が一般的になってきています。

プライベートクラウドとパブリッククラウドの明確な違いは、「1社占有型」か「複数社共有型」かです。パブリッククラウドに対するプライベートクラウドの長所として、セキュリティの高さがよく挙げられます。しかし筆者はそれ以上に「サービスの仕様を利用企業自身で決められる事」こそが大きな長所であると考えます。

図1:プライベートクラウドとパブリッククラウド(クリックで拡大)

パブリッククラウドでは、複数社でサービスを共有するため、サービス事業者がサービスの仕様を定義します。そのため、利用企業がそのサービス仕様をカスタマイズする事は困難です。パブリッククラウドが自社の要件を満足したとしても、将来的にそのサービス仕様が変更され、自社の要件を満たす事ができなくなる危険性もあります。

それに対して、プライベートクラウドでは1社占有型であるが故に、サービスメニューやサービスレベルなどを含むサービス仕様を利用企業自身で決定する事ができるのです。

自社にとって最適なサービスの仕様は、企業によってまちまちです。高いサービスレベルが必要な企業もあれば、低いサービスレベルで十分な企業もあります。運用業務を他社に任せたくない企業もあるでしょうし、メンテナンス停止の時間帯を自身で決めたい企業も存在すると思います。そのような企業特有の要件に対して、プライベートクラウドであれば自社に最適なサービスの仕様を決定する事ができます。

プライベートクラウドと仮想化統合

プライベートクラウドと類似したキーワードに仮想化統合があります。筆者が所属する伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、仮想化統合環境を「社内サービス化」したものがプライベートクラウドであると捉えています。「社内サービス化」については後ほど解説しますが、ここでは仮想化統合を実現した後でよく耳にする課題と、「社内サービス化」が求められる背景を解説します。

仮想化統合は、ITインフラを仮想化して統合する事を指します。コンピューターリソースの利用効率を向上させ、ITインフラにかかるコストを最適化する事が仮想化統合の主な目的です。

仮想化統合における統合の対象は、既に稼働しているシステムが中心となります。既存システムのハードウエアが老朽化したタイミングで、アプリケーションは仮想化統合環境へ移行されます。既存システムの移行では、現在利用しているコンピューターリソースの統計情報を元に、仮想マシンをサイジングし、仮想化統合環境へアプリケーションを移行、そして仮想環境上での動作確認を行います。

一度移行が済んでしまえば、一部の運用見直しは発生するものの、基本的には従来と同様の方法で仮想化統合環境を運用する事が可能です。この一部の運用見直しについては、連載「VMware vSphereの運用課題と解決策」をご覧ください。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

ITビジネス企画推進室 インフラソリューション企画推進部 ソリューション企画推進第1課。2001年に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)入社。
開発SEとしてERPの導入を担当後、アプリケーションとミドルウェアの標準化・共通化の企画、設計、開発、運用に従事。現在は、サーバーやストレージ、仮想化等のインフラ領域に軸足を移し、プライベートクラウドの構想策定業務を中心に活動している。

連載バックナンバー

Think IT会員サービス無料登録受付中

Think ITでは、より付加価値の高いコンテンツを会員サービスとして提供しています。会員登録を済ませてThink ITのWebサイトにログインすることでさまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think IT会員サービスの概要とメリットをチェック

他にもこの記事が読まれています