仮想化統合の問題を解決するプライベートクラウド
2011年2月3日(木)
社内サービス化による課題の解決=プライベートクラウドへ
アプリケーション担当者の行動を統制し、効率的な運用を実現するための処方箋が「社内サービス化」です。そして、社内サービス化された仮想化統合環境をプライベートクラウドと呼びます。
「社内サービス化」では、プライベートクラウド・サービスの利用者、つまりアプリケーション開発者の視点に立ったルールや仕組みを事前に整備しておく事で、より効率的な運用を実現します。
社内サービス化された仮想化統合環境、つまりプライベートクラウドの利用イメージは以下のようになります。
図3:プライベートクラウドの利用イメージ(クリックで拡大) |
- ・プライベートクラウドの利用検討
- - アプリケーション担当者は、新規システムの開発計画時や、インフラのリプレース計画時に、プライベートクラウドの利用を検討します。この時、プライベートクラウドのサービス内容を理解するために、「利用者向けガイドライン」を確認し、利用の可否を判断します。この「利用者向けガイドライン」には、プライベートクラウドのサービス仕様が記載されます。
- ・利用するサービスの選択
- - アプリケーション担当者は、プライベートクラウドのサービスメニューを確認し、必要なサービスを選択します。サービスメニューには、利用できるインフラ機能の選択肢とその選択基準、そして価格が掲載されています。
- ・利用申請と環境構築
- - アプリケーション担当者は、プライベートクラウドの担当者に対して選択したサービスの利用を申請します。サービスの利用申請は、適切な承認フローを経由し最終的にプライベートクラウドの運用担当者が受け取ります。プライベートクラウドの運用担当者は、申請書に記載された内容に従って実行環境を構築し、アプリケーション担当者に環境を提供します。
- ・サービスの利用とコストの回収
- - アプリケーション担当者は、提供されたプライベートクラウド環境上でアプリケーションを稼働させます。この時にアプリケーション担当者が運用しなければならない部分はアプリケーションに対してのみであり、インフラについては考慮する必要はありません。
- - プライベートクラウドの担当者は、システムの担当者に対して定期的に利用レポートを発行します。また必要に応じて、利用費用を徴収します。
このように「社内サービス化」された世界では、アプリケーションの担当者はインフラの内部構造を意識する事なく、インフラの機能をサービスとして利用できるようになります。
プライベートクラウドの実現に向けて
以上のように、仮想化統合の課題を解決し、プライベートクラウドを実現するためには、利用者の立場に立ったさまざまな準備、「社内サービス化」が必要となります。
この社内サービス化を実施するためには、インフラのアーキテクチャ標準化と運用の標準化が前提となります。CTCでは、プライベートクラウドの領域を「インフラ」、「運用」、「サービス」の3つに分類し、それぞれに対して各種の検討を行うべきと考えます。特にプライベートクラウドではアプリケーション担当者に対する「サービス」としての仕様を定義する事が必要不可欠であり、「サービス設計」を実施する必要があります。
次回は、プライベートクラウドを実現するために「インフラ」「運用」「サービス」の3つの領域に対して検討すべき事項を解説していきます。
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