100Gイーサネット回線とは - 1G/10Gイーサネットとの違い -
デジタルコヒーレント
現在のIEEE標準では、LR4が長距離接続用とはいえ最大距離は10km、さらに長い距離用途のER4でも40kmです。さらに距離を伸ばすためには光の点滅ではなく別の変調方法が必要となってきます。
これを解決するのがデジタルコヒーレントと呼ばれる技術です。
現在実用化が始まっているDP-QPSKを例にデジタルコヒーレントを解説しますと、まず、送信においては、2本の25Gbpsレーンを組み合わせて4位相に変調します(QPSK)。これは、光が波の性質を持っており、同位相で強め合ったり、反転位相で消し合ったりする性質を利用しています。同一の光源から、4つの異なる位相の光を取り出し、両方のレーンが”00”のときに位相0度を、“01”のときに90度を、“10”のときに180度を、”11”のときに270度の光信号を出力します。
これにより25Gx2=50Gの速度の伝送ができます。さらに、光の波のX偏波とY偏波にそれぞれこのQPSK変調信号を送出することにより50Gx2=100Gbpsの伝送ができることになります。
一方、受信においては、まずは偏波フィルタによりX/Y偏波を分離して50GのQPSK信号2本を取り出します。それぞれの信号をさらに4分割し、90度ずつ位相の異なる同一周波数の光信号と混合すると、位相が同じレーンのみ光信号強度が強め合い増加します。信号強度が増加したレーンに割り当てられた"00”,”01”,”10”,”11”の符号に置き換えることにより、元の信号列に復元することができます。実際の信号強度の判定は、位相が異なる光信号を混合した後に、高速A/D変換を行い、リアルタイムでデジタル信号処理・補正を行いながら復号します。
また、10Gの長距離伝送で使用されていた誤り訂正符号や、さらにデジタル信号処理中の情報を誤り訂正に使用することにより、10Gイーサネットを上回る性能を得ることに成功しています。
100Gイーサネット導入に向けて:必要な条件、課題点
それでは、いったいどのインターフェースが100Gイーサネットの導入に向いているのでしょうか。まず、UNIはIEEE標準より、現在最もリーズナブルであるSR10と、将来的なコストダウンと扱いやすさを持つLR4が選択されるでしょう。SR10では現状最も安価なコストで100G イーサネットを利用することが可能ですが、20本のマルチモードファイバーを割り当てるか、または24心のリボンケーブルを新規に敷設する必要があります。LR4ではコスト削減が一番の課題となります。
局間を接続するインターフェースには、現状の10Gファイバープラントを使用できるコヒーレント技術が有力ですが、一層のコストダウン・小型化が必要です。ビル間などの都市内通信ではER4などの波長多重を使用したラインインターフェースも存在するので、技術の成熟度・コストのバランス面からの適用が考えられます。
また、100Gイーサネットの導入における課題として、100G対応の顧客構内設備であるCPE(Customer Premises Equipment)装置がまだまだ数が少なく機器が高額であるというコストの問題があります。このようなコストを抑えるため、中には月額利用のCPE機器レンタルサービスを提供しているベンダーもあり、ネットワークインフラをアップグレードする際の選択肢として考えることができます。
さらに、コストとは別に、100Gイーサネットに精通したエンジニアがまだ希少であるという人的リソース不足が課題として挙げられます。そのため、ユーザー企業は、100Gイーサネットに力を入れている機器ベンダーや通信事業者をうまく導入を進めていくことが重要になります。
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