RHEL7やOpenStackなど最新技術が集結するRed Hat Summit 2014 現地レポート(前編)
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Red Hat Summit 2014におけるOSSインフラ技術の紹介
以下では、筆者が参加したセッションをいくつか抜粋し、そこで得られた最新のOSS技術情報のポイントを簡単にご紹介します。
アーキテクチャが一新されたRed Hat Enterprise Linux 7
Red Hat社が提供予定の商用Linux OSであるRed Hat Enterprise Linux 7(通称RHEL7)では、様々な機能拡張や変更が施されます。まず、XFSが標準のファイルシステムになり、サポートされる最大容量も500TBに拡張されます。btrfsはテクノロジー・プレビューとのことです。Dockerと呼ばれるLinuxコンテナーの搭載が予定されています。DockerによるLinuxコンテナー基盤は、従来の一般的な仮想化基盤に比べて高い集約度を誇り、非常に注目を浴びる存在となっています。そのためか、今回のRed Hat Summit 2014のブレークアウト・セッションにおいて、Linuxコンテナー「Docker」は、立ち見が出る程の人気セッションになっていました。
一般的なLinuxコンテナーでの使い方としては、chrootスタイルが有名ですが、RHEL7で搭載予定のDockerでは、他にも利用スタイルに種類あり、imageファイルでの利用も可能となっています。例えば、RHEL7の Docker上で 「RHEL6.5 + MySQL」を組み合わせた コンテナーを作成しておけば、他のシステムにも配布できるといったポータビリティを持たせることが可能になります。さらに、Red Hat社としては、Dockerの ハードウェア認定(HCTおよびHCL)を実施し、Dockerを使ったエコシステムの拡大に努めていくようです。
Linux OSの管理面においては、OpenLMIと呼ばれる管理エージェントの集合体と管理インタフェースを組み合わせたものが予定されており、今まで様々なOS管理を別々のコマンドで個別に行ってきたものを共通インタフェースにする取り組みがみられます。OpenLMIの利用例については、Red Hat Summit 2014の資料に掲載されていますので参考にしてください。
参考:Administer Production Servers Effectively with OpenLMI(PDF)
さらに、Linux OS管理者にとって大きな変更の一つは、今までのUNIXやLinuxで伝統的に採用されてきたSystem V系のinit(/etc/init.d)がsystemdに変更される点です。RHEL6までお馴染みだったchkconfigコマンドやserviceコマンドを使った各種サービスの管理は、systemctlコマンドに取って代わります。
RHEL7 RC版のisoイメージは、以下のURLから入手が可能ですので、Dockerやsystemd等の最新の機能を是非体験してみてください。
参考:RHEL7 RC版のisoイメージの入手先
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Red Hat Enterprise Virtualization
Red Hat社が提供している仮想化基盤ソフトウェア「Red Hat Enterprise Virtualization(通称RHEV)」のロードマップが紹介されました。RHEV3.4では、複数の種類のストレージドメインやOpenStackのCinderによるブロック・ストレージのサポート、ホットプラグCPU、スナップショット機能、RHEVハイパーバイザー(通称RHEV-H)におけるiSCSI接続のマルチパス構成のサポート等が検討されています。これにより、RHEVは、複数ストレージの同時利用に関するシステム構成の柔軟性の向上と利便性の向上が期待できます。
RHEV3.5以降では、RHEL7ベースのハイパーバイザー、稼働中のVMクローン作製、QoSおよびI/O帯域制御、CPUキャッピング制御等の様々な機能拡張が検討されています。RHEVのゲストOSに関する可用性向上および運用性向上が、RHEV3.5以降も継続されるとのことです。
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シマンテック社からは、HAクラスター製品を活用したRHEVのHAクラスター構成例が示されました。
HPおよびIBM社等のハードウェアベンダーによるRHEVを使った仮想化に関するブレークアウト・セッションがあり、HPは、「Insight Control for RHEV」と呼ばれるハードウェア管理とRHEVによる仮想化管理を一元化できる製品についての説明の紹介を行いました。
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