“価値設計”と“アプリ開発”がコラボする「バリューハッカソン」開催レポート

2014年5月9日(金)
小西 信之

バリューハッカソン実行委員会と東京工科大学コンピュータサイエンス学部は、4月19日(土)・20日(日)の2日間にわたり「バリューハッカソン」を八王子市にある東京工科大学で開催した。

「バリューハッカソン」は、通常のアプリ開発ハッカソンに、マーケティングプランナーの村山涼一氏の提唱する“パワーコンセプト”という価値設計理論を織り交ぜることで、価値あるアプリを開発するハッカソンの仕組みを提唱している。

今回のテーマは「外国人観光客を八王子に呼ぶ!アプリの開発」。2020年の東京オリンピック開催を控え、地域では海外からの訪問者をどのように迎え入れることができるかをテーマに、各地域のテクノロジー関連企業を初め、地域コミュニティや議員、遠くは会津から、またインターネットを利用した徳島県からの参加者など約40人が集結した。

初日となる、4月19日(土)のオープニングでは、ファシリテーターを務める、株式会社オープンソース活用研究所の寺田雄一氏より「これからのエンジニアは言われたものを作るだけでは駄目。自ら価値があるものを創造し、社会に貢献するべきだ。」とバリューハッカソンの意義を説明。その後、講師の村山涼一氏による、パワーコンセプト理論のワークショップが行われ、参加者の持ち寄ったアイデアをチーム単位でブラッシュアップしていった。

村山涼一氏によるパワーコンセプト理論のワークショップ

パワーコンセプト理論の背景となる、マーケティング理論や記号論を背景とした価値設計手法やコンセプトメイキングの考え方に、エンジニア達は唸る。参加者の一人は「自分のアイデアに新しい意味性がない」と言い、アイデアの価値を根本的に見直す機会となっていたようだ。

「そのアプリは新聞の一面を飾れるほど新しいのか」といった、村山氏の厳しい指摘も飛ぶなど、参加者の苦戦が続き、ファシリテーターや事務局メンバーも各チームの議論に参加しアドバイスをすることで、次第にアイデアがまとまった。

1日目のワークショップを終えると、各チームの創るアプリが発表された。全チームが発表後、開発がスタートした。

各チームの創るもの

おもてなしコール/「ローガンズ」チーム
外国人の方が気軽にヘルプデスクに通話ができる可搬性の高い電話機と、外国語の話せる主婦層、外国人などのオペレータを在宅で結び、八王子のオープンデータを使ってさまざまな問い合わせに対応するシステム。
外国人観光客の送客アプリ/チーム名:お金儲けだよ徳島
iBeaconで多言語高尾山ガイド及び八王子にある目的の店に客を送り届けるアプリ。
ジャパニーズガチャ/チーム名:ヴィセントプラス
日本ならではの、ガチャガチャ文化。日本に行こう!ガチャをまわそう。
だれでもアンバサダー/チーム名:神奈川のおっさん
外国人観光客と地元の人、コト、モノの出会いを創出するネットワークサービス。
YAJIKITA/チーム名:あいづみずき
自分が望む旅行ツアーを作り、 柔軟にツアー変更をしてくれるサービス。
Freetend/チーム名:XCAT40(クロスキャット40)
あなただけの、ガイドブックに無い旅を。オンラインでパーソナルアテンド、コミュニケーション。オフラインでもコミュニケーション。

当日の様子やプレゼンテーション資料は以下のURLで見ることができる。
> バリュー・ハッカソン@八王子

続いて、2日目の夕方からは各チーム代表によるプレゼンテーション審査が行われた。ファシリテーターの寺田雄一氏からは「審査の基準は6つだが、事業性を一番重要とする」というメッセージとともに、「バリューハッカソンの特徴である価値あるアプリによる事業を期待する」という審査基準が説明された。

審査基準

  1. 技術力、先進性
  2. アイデア、新奇性
  3. 完成度
  4. 事業性(売れるか、使われるか)
  5. デザイン、操作性
  6. プレゼンテーション

6チームが、各10分間のプレゼンテーションを行い、2時間にわたる審査が行われた。審査の結果、上位4チームには表彰と賞品が贈られた。

株式会社オープンビジネス・アプリケーションズ 代表取締役社長

オープンソースに関する総合プロモーション事業を行っている。IT企業へのマーケティング支援を中心に、官公庁・自治体へのオープンソースを活用した産業振興や街づくり支援事業に注力。

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