RailsのテストフレームワークRSpecの基礎知識
テスト環境のセットアップ
RSpecによるテストを円滑に進めるため、spec/spec_helper.rbを変更してテスト環境を整えましょう。
テスト環境のためのGemパッケージ群
spec/spec_helper.rbの変更を始める前に、前章でGemfileに組み込んだテストに関連するGemパッケージの役割について簡単に紹介しておきます。
rspec-rails
RSpecをRuby on Railsに組み込むためのGemパッケージです。現在RSpecには1から3まで3種類のバージョンがあり、それぞれ仕様が大きく異なります。本書の記述はバージョン3に基づいています。
本書執筆時点におけるRSpecの最新版は2.14.2ですが、本書では2014年2月にリリースされたRSpec 3.0.0.beta2を採用します。
spring-commands-rspec
bin/rspecコマンドをSpringに対応させるためのGemパッケージです。
capybara
Capybara(カピバラ)のGemパッケージです。CapybaraはWebブラウザとRailsアプリケーションの間の通信をエミュレート(模倣)するためのライブラリです。たとえば、Webページ上の特定のボタンを探してクリックし、その結果のHTML文書を取得するといったことがCapybaraには可能です。MiniTestやRSpecと組み合わせて利用します。詳しくはChapter 19で説明します。
本書執筆時点におけるCapybaraの最新版は2.2.1です。
factory_girl
データベースにテストデータを投入するFactory GirlのGemパッケージツールです。このツールを使用するために、私たちはモデルごとにファクトリーを定義します。詳しくはChapter 9で説明します。
本書執筆時点におけるFactory Girlの最新版は4.4.0です。
Factory Girlの初期設定
RSpecでFactory Girlを利用する場合は、spec/spec_helper.rbを次のように書き換えてください。
spec/spec_helper.rb
(省略) RSpec.configure do |config| config.fixture_path = "#{::Rails.root}/spec/fixtures" config.use_transactional_fixtures = true config.order = "random" config.include FactoryGirl::Syntax::Methods config.before(:suite) do FactoryGirl.reload end end
まず14行目で、FactoryGirl::Syntax::Methodsモジュールで定義されているcreateやbuildなどのメソッドをテストの中で使用できるようにしています。
16~18行のconfig.before(:suite) do ... endの内側では、スイートの前に実行すべき処理を記述します。スイートとは、bin/rspecの実行対象となっているエグザンプルの集合を指す言葉です。つまり、bin/rspecコマンドが起動されてから最初のエグザンプルが実行されるまでの間に1回だけ実行すべき処理がここに記述されます。
ここではFactory Girlをリロードしています。この処理が必要となる原因はSpring(49ページ)にあります。SpringはRSpecの起動時間を短縮するため、RSpecの実行が終了した後もバックグランドでプロセスを起動したままにします。そのため、私たちがファクトリーの定義を変更しても、自動的にはRSpecによるテストに反映されないのです。
この記事のもとになった書籍 | |
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黒田 努 著 |
実践Ruby on Rails 4 現場のプロから学ぶ本格Webプログラミング本書は、Ruby on Railsの実践的な学習書です。最新のRuby2.0およびRuby on Rails4.1、RSpec3.0に対応しました。1つの企業向け顧客管理システムを作る中でRailsによるWebアプリケーション開発の基礎知識とさまざまなノウハウを習得していきます。各章末には演習問題が設けられているので、理解度を確かめながら確実に読み進められます。 |