HAクラスターを取り巻く市場動向

2014年11月7日(金)
大徳貴子

本連載では、サイオステクノロジー社(以後サイオス)の製品「LifeKeeper」「DataKeeper」を題材に、企業経営において避けては通れない「事業継続ソリューション(BCPソリューション)」の解説を全4回にわたってお届けする。連載の最後となる第4回は、HAクラスターを取り巻く市場動向を紹介する。

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ここ数年、仮想化環境はサーバーの性能向上とともに大きく進歩しており、仮想化技術を応用したクラウド環境での業務システムを利用する企業も増えてきている。ビジネスの変化に迅速・的確・低コストで対応できる仕組みや情報セキュリティー対策など新たなリスクに対応できるクラウド環境は、変化の激しい顧客環境やニーズに対応できる最適なソリューションだからである。

必要なシステム環境を低コストで迅速に調達でき、利用者をシステムのハードウェアリソース等のメンテナンスから解放し、業務システムの利用に徹することを可能とするクラウドは、システムの運用形態を大きく変え、コストメリット、運用メリットを利用者にもたらす点で大いに注目されている。

ミッションクリティカル業務での仮想化環境・クラウド利用が増加

クラウドが持つコストメリットや運用メリットを最大限に享受するため、基幹業務のクラウドへの移行が本格的に始まっている。同時に、24時間365日止めることができないミッションクリティカルなシステムの可用性向上も重要視されていくと考える。

IDC Japan株式会社が発表した「企業向けサーバー売上予測」によると2018年における国内企業向けサーバーの全プラットホームの合計売上額は、2013年の774億1千7百万円から、わずかに1.9%増加の852億5千2百万円のほぼ横ばい状態であると予測している。

(百万円) 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2013-2018 CAGR
Windows 36,900 36,273 37,651 38,442 38,980 40,227 1.7%
UNIX 8,302 7,563 7,185 6,783 6,437 6,218 -5.6%
Linux 15,869 17,511 19,069 20,595 22,140 23,756 8.4%
Mainframe 14,222 12,775 12,918 13,767 13,985 13,454 -1.1%
i5 & OS/400 744 686 608 571 564 534 -6.4%
Other host/server 1,381 1,258 1,085 919 922 1,063 -5.1%
Total 77,417 76,066 78,516 81,077 83,028 85,252 1.9%
表1:国内サーバーオペレーティングシステム市場売上額予測(出典:IDC Japan, 2014年6月「国内システムソフトウェア市場 2013年の分析と2013年~2018年の予測」(J14350103))

一方で、同じくIDC Japan株式会社が発表した「クラウド向けサーバー市場予測」によると2018年における国内クラウド向けサーバー市場は、2013年の6万5,100台から、約50%増加の9万9,300台となり、依然として増加傾向にあると予測している。

クラウド向けサーバー市場予測
図1:クラウド向けサーバー市場予測(出典:IDC Japanプレスリリース「国内クラウド向けサーバー市場予測を発表」(発表2014年9月8日))

また、仮想化ソフトウェア市場も、2013年~2018年の年間平均成長率13.7%と予測し、2018年には市場規模が845億円に拡大すると予測している。

仮想化ソフトウェア市場予測
図2:仮想化ソフトウェア市場予測(出典:IDC Japanプレスリリース「国内仮想化ソフトウェア市場予測を発表」(発表2014年8月12日))

オンプレミスでのサーバー利用は横ばいであるが、仮想化ソフトによる仮想環境の活用、クラウド環境の利用がさらに進み、ITを所有することから利用する方向へと変化していくものと予想される。

また、大規模な自然災害やシステム障害により業務が停止してしまうと、その影響の範囲は企業内だけにとどまらず、顧客、取引先、関連企業にまで及び、さらには社会的なブランドイメージの低下まで招きかねない。しかし、クラウド環境を災害復旧システムで利用することで、コストを抑えつつ、システムの障害対策や災害対策を行うことが可能となるメリットもある。

システムの可用性の向上はユーザー企業の大きなテーマ

「企業向けサーバー売上予測」、「クラウド向けサーバー市場予測」、「仮想化ソフトウェア市場予測」の結果から、所有から利用へと大きく変化していくと予想されるユーザー企業のIT環境であるが、ユーザー企業への調査結果にもそれらが表れている。

ユーザー企業のITインフラ重点投資項目
図3:ユーザー企業のITインフラ重点投資項目(出典:IDC Japan, Directions 2014 Tokyo「Software-Defined Infrastructureの役割と価値、そこから生まれる市場機会」(2014年5月))

ユーザー企業がITインフラで重点投資項目としてあげている項目の上位は「サーバーの仮想化」と「クラウドサービスの利用」であり、これまでのデータ分析・予測にもある通り、今後3~5年での成長率は10~20%と非常に高く、今後はユーザー企業におけるサーバーの仮想化とクラウド環境での利用がより加速すると考えられる。

サイオステクノロジー株式会社
事業継続ビジネス マーケティングマネージャー

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