HAクラスターを取り巻く市場動向
クラウド上でのシステムの可用性は、オンプレミス上と同様に考える必要がある
ユーザー企業における仮想化技術やクラウド環境の採用が進んでいく中で、基幹系を含めたミッションクリティカルなシステムの可用性をいかに担保するかという課題は、先の「ユーザー企業のITインフラ重点投資項目」の4番目にあげられているように「システムの可用性の向上」でもあげられており、オンプレミス上での利用と同様に考える必要がある。
IDC JapanのHAクラスタリングソフトウェア売上高予測では、Linux向けの成長率 は5.7%と予測、HAクラスタリングソフトウェア市場全体を牽引するとみられ、Linux サーバーでミッションクリティカルシステムやプライベートクラウド基盤を構築する企業が増加し、HA化の需要は今後も増加すると考えられる。また、Windows向けの成長率は3.1%と予測され、Hyper-V環境のHA化やディザスターリカバリー対策など、Windowsの高可用化がより進んでいくことも考えられる。
Windows Server 2003からのリプレースは、機能拡張や、可用性向上の絶好の機会
Windows XPの延長サポート終了に続き、2015年7月にはWindows Server 2003のサポートも終了を迎える。その台数は30万台を超えるとも言われており、サーバーリプレイスを伴うWindows Server 2003からWindows Server 2012へのOS移行が必要な時期が迫っている。
サーバー上で業務や自社サービスに欠かせないアプリケーションが動いていたり、周辺システムと連携していたりする場合、影響範囲が広いため、その移行は容易ではなく、機能拡張や運用保守の見直し、BCP対策(HA化対応、災害対策サイト構築)などをやりたくてもなかなか実行に着手できないユーザーも多い。
これまできっかけがなくこれらの対策に取り組めなかったユーザーにとって、サーバーリプレイス、OS移行が必須となっている今、単純なサーバーの買い替えだけでなく、機能拡張や運用・保守面の改善、仮想環境やクラウド環境への移行、BCP対策(HA化対応、災害対策サイト構築)を実施する絶好のチャンスと言える。
使用環境と可用性のレベルに応じたソフトウェアを選択
BCP対策において、ITシステムの復旧対策はあらゆる企業にとって速やかに、確実に対応すべき課題である。
サイオスの「LifeKeeper/DataKeeper」はシステムの障害を監視し、障害時に業務を引き継ぐHAクラスター機能、データをリアルタイムに複製するデータレプリケーション機能、仮想環境上のアプリケーション障害を復旧する機能により、ITシステムにおける事業継続を実現する。
LifeKeeperは、システムの障害を監視し、稼動系に障害が生じた場合に待機系に自動的に切り替えを行うことで、システムダウンタイムの時間を短縮し、ビジネス損失を最小限にするHAクラスターソフトウェアである。Single Server Protectionは、シングルサーバー環境下でのアプリケーション保護ソフトであり、アプリケーションを監視し、障害が発生すると自動的にOSの再起動を行う。再び稼働するまでに再起動の時間が多少かかるが、予備機が不要なため稼働機のみのコスト負担で済む上、ライセンス費用も安いというメリットがある。復旧時間が少々かかっても安価に可用性を高めたいという場合に最適だ。
DataKeeperは、稼動中のサーバーのデータを待機系サーバーへリアルタイムにレプリケーション(複製)するソフトウェア。データ圧縮機能や同期・非同期モードにより遠隔地へのレプリケーションに最適である。Standard EditionはWindowsサーバーにおけるデータレプリケーションに特化した製品であり、Cluster Editionはデータレプリケーションを行い、Windows Serverのクラスター機能と連携することで、共有ディスクが無い環境において安価にHAクラスタリングとデータレプリケーション構成を実現する。
ユーザーの使用環境と可用性のレベルに応じたソフトウェアを選択して高可用性の実現をお勧めする。
高可用性を実現するクラスタソフトウェア | リアルタイムデータの複製を行い、障害直前までのデータを保護 | シングルサーバー環境下でのアプリケーション保護 | |
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Windows環境 | LifeKeeper for Windows | DataKeeper for Windows | ― |
Linux環境 | LifeKeeper for Linux | DataKeeper for Linux | Single Server Protection for Linux |
仮想化・クラウド環境にも対応 HAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」 | |
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参考情報 |
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