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Access Insightsはサポートビジネスに革新を起こすか? - vol.04

2015年7月9日(木)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

Red Hat Summit3日目にこれまであまり表に出てこなかったVPが講演を行った。マルコ・ビルピーター氏(Marco Bill-Peter、VP、Customer Experience and Engagement)はIT企業でいうところの製品企画でも開発でもマーケティングでもなくカスタマー・エクスペリエンス&エンゲージメントという肩書が示すようにカスタマーサポートを担当する部門のVPだ。スイス出身ということで東海岸出身の人が多いRed Hatのなかでも異色かもしれない。

プレゼンテーションの紹介とその後のインタビューを通じてRed Hatが発表したAccess Insightsについて取り上げる。

ステージでAccess Insightsについてプレゼンを行うビルピーター氏。

ステージでAccess Insightsについてプレゼンを行うビルピーター氏。

まずはAccess Insightsに関するプレスリリースを参照されたい。

Access Insightsに関する公式のプレスリリース
http://www.redhat.com/ja/about/press-releases/red-hat-advances-analytics-management-operations-private-public-and-hybrid-clouds

これはざっくり言うとRed Hatの製品に関してのサポート情報を集約し、脆弱性やコンポーネントの組み合わせなどによって発生する不具合に関してよりプロアクティブに情報を発信することで製品に関するサポートをセルフサービス化するだけではなく、不具合が発生する以前に通知を行い、結果としてオープンソースソフトウェアに関する顧客満足度を上げるための施策、サービスと言っていいだろう。

かつてMicrosoftがWindows 95を発表した時にMSによるインターネットではないパソコン通信ベースのネットワークサービスとして発表されたMSNが実は開発当初は製品サポートのためのツールであり、チャットや掲示板によってWindows 95のサポート工数を減らすのが目的だったのを思い起こす。MSNは社内的にはMicrosoft Support Networkだったのだ。だがインターネットへのアクセスを多くのISPがサービスとして提供することでMSNは結局、紆余曲折を経てMSによるインターネットアクセスサービスに変貌を遂げた後に全世界的に終了してしまった。

このようにメーカ—にとって製品サポートを如何に簡略化するかは大きなテーマであり、ソースを読んで自前で解決することを暗に勧められているようなオープンソースソフトウェアにおいても必要性は変わらない。逆に様々な組み合わせによる不具合が起こり得るオープンソースソフトウェアにおいては求められていたサービスなのかもしれない。

単独インタビューを行ったビルピーター氏とのやりとりは以下の通り。

インタビューに応えるビルピーター氏。

インタビューに応えるビルピーター氏。

まず、Access Insightsについて教えてください。これはオープンソースソフトウェアに関するサポートを行うためのツールと考えて良いですか?

はい。これはRed Hatの製品に関して様々なサポート情報を集めて分析を行い、脆弱性などの不具合に関してリアクティブにサポートを行うのではなくプロアクティブにサポートを行うことを目的に開発されたシステムです。実際には例えば、このミドルウェアとこのデータベースの組み合わせならこのパッチを入れないと正しく動きませんなどの情報をこのサービスに加入している顧客に通知することで問題が発生する以前にそれを解消することが出来ます。

つまり、例えばPostgreSQLとJBossのミドルウェアの組み合わせの際にこういう脆弱性がありますよ、あなたのシステムはそれに合致しているので事前に導入してください、というようなことをシステム管理者に通知する、というようなことでしょうか?

そうです。実際にそのような顧客のシステムに関する情報をRed Hatは数多く収集していますので、実際に稼働しているシステムにおいて検証されていることになりますね。そのような情報はRed Hatだけが持ち得るものですし、今のところはRed Hatが出している製品だけですが、将来的には他社の製品の情報を統合すれば、より大きな効果が得られると思います。

これはいわゆるOSSのロジスティックスをサービスとして提供しているブラックダックソフトウェアのサービスとオーバーラップするということになるのでしょうか?

ブラックダックの製品は主にライセンスに関するコンプライアンスをチェックするものがメインですが、Access Insightsはもっとサポートにフォーカスしています。様々な情報を組み合わせてそれをルールベースのシステムとして構築しています。こういうコンポーネントにこのパッチが入っていなかったら通知すると言ったようなサポートのエンジニアが持っている知識をルール化しています。

このシステムはRed Hatのサポートのエンジニアが使っている社内のシステムをそのまま顧客向けにWebサービスとして提供したということなんでしょうか?

そういってもいいかもしれません。実際に我々が日々使っているシステムをポータルの形式で顧客に提供することで、システムの運用が効率的になり、見落としなどがなくなることで不具合が起こってから行う受け身の運用ではなくより前向きに自発的にシステムの運用管理が可能になると思います。

これからAccess Insightsのサブスクリプションに加入した顧客にはさまざまな情報が提供されると思いますが、システム管理者にとっては英語の壁があると思います。日本語化に関してはどうお考えですか?

日本は我々にとっても重要なマーケットですし、OEMやパートナーから様々なフィードバックを頂いています。日本語化に関してはまだ詳しくはお話しできませんが、必要なことは認識していますし、検討をしていますと今の時点ではお答えしておきます。

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プロプライエタリなソフトウェアを開発販売しているメーカーにとってサポートのためにシステムへの遠隔操作や自動更新などは今後も進んでいくと思われるが、オープンソースソフトウェアのリーダーであるRed Hatがこの方向に進んでくことはオープンソースソフトウェアの市場を拡大していくというミッションにとっては必須なのであろう。日本での動きに注目していきたい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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