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仮想現実(VR)を活用している5つの市場

2015年9月18日(金)
ReadWrite Japan

ゲスト執筆者のコンスタンティン・アンドレフはVerdon ITプロジェクトとモバイルアプリ Round.meの設立者にしてCEOである。

VRはまだ黎明期にあり、メインストリームに到達するにはまだ超えなければならない山がある。しかしVRを活用している企業の中には、物理的、あるいは経済的な障壁を克服できる事を示しているものもある。

以下にVRを使う事で雇用を増やし、投資効果を向上し、顧客満足度を高めている5つの産業を紹介する。

小売

ネットで買ったものを返品する理由として最も多く挙げられるのがサイズ間違いによるものだ。だが返品の手続きは煩雑なものであり、はっきり言って企業も顧客も得をしない。ネットではなく実店舗での買い物の場合でも、返品手続きが煩雑なことには変わりない。

そこでデジタル試着室だ。

Rebecca Minkoffの様な小売業者はサイズ間違いを解決するためにVRを導入している。昔ながらの実店舗のやり方とデジタルなアプローチを混在させ、店内の試着室にタッチスクリーンの鏡を設置している。

「顧客はネット上でおすすめの中から好きなサイズの製品を選ぶ事にはなれてますが、試着に関しては常に悩みの種です」とRebecca Mincoffのライセンシング/プロダクト・イノベーション部の副社長、ニロファー・ヴァホラは語る。「”スマート”ミラーを店内に導入することで、顧客により便利でパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できます」また同社はGoogle Cardboardヘッドセットも販売しており、ユーザーはそれを使ってVR録画された特別なファッションショーを最前列で見ることも出来る。

テクノロジーメーカーもこのVR試着室に取り組もうとしている。マイクロソフトはKinectを使って顧客が自宅から利用できる試着室を提供しようと考えている。

絵的なインパクトは顧客転換率(見てるだけの顧客がお金を払う顧客になる率)の鍵を握るものだ。もし顧客が商品が自分に似合うかどうかをバーチャルで確認できるようになれば、より購入に結びつく事だろう。ある調査によると、実店舗の小売では試着室に入った顧客の67%は商品を購入するという。ある小売業者は顧客を店舗でもネット上でも試着室まで連れて行くための新しい方法を利用しだしている。

写真

VRによって写真家が没頭的なエクスペリエンスを提供出来るようにもなる。ソーシャルや商用のチャンネル経由の写真の提供する事では人々の注目を集めることは難しくなってきており、これまでのありがちな(そして往々にして加工されすぎた)写真で表現したいことを伝えることは簡単なことではない。

オリジナリティーがこれまで以上に求められており、VRはこの為に好都合なのだ。例えばVRヘッドセットを通して写真にエフェクトをかけるなどだ。

写真をより良く、インタラクティブに見せるため、360度フォトシェアリングアプリを導入する写真家達が増えてきた。そのうちの何人かはGoogle CardboardのようなVRヘッドセットに対応したものを出している。最近の例では写真家のアラン・パンが360度ビデオを使い、北朝鮮についての印象的な報道を行った。

旅行

旅行好き達も実際に現地に行かずにバケーションを経験することが出来る。旅行のプロモーションのための標準的なツールとして360度パノラマイメージが使われるようになってきている。

VR技術により、ホテル、レストラン、ナイトクラブは旅行者にその場所に行ったかのような感覚を提供できるようになり、実際に訪問する確率を大幅に上げることが出来る。既に東京のナイトライフやバリのヴィラやパリのカフェに仮想的に足を踏み入れることが出来るようになっている。

VRはインプレッション以上の何かを伝えることが出来る。ホテルチェーンは顧客に実際の部屋の大きさはどんなものかなどを顧客に伝えることも出来る。世界で最も重要かつ利益率の高いホテルチェーン、マリオットはOculus Riftを使い「4Dエクスペリエンス」と彼らが呼ぶ取り組みを行っている。

この戦略は「買う前に試す」というアイデアをバーチャルで行うものだ。VRソフト/ハードを使って実験的な事を行っている旅行会社はマリオットだけではない。カンタス航空やカナダのDestination BCも同様のキャンペーンのテストを行っている。レストランに関して言えば今の所Yelpの写真くらいなものだ。VRアプリによって顧客にロケーションについてよりリアルな感覚を伝える事が出来る。

不動産

不動産業者はクライアントにVRで内覧を提供するためにVRカメラを買いあさっている。内部から外部まで3Dで見ることが出来、物件の利点から欠点まであらゆるものを確認することが可能だ。

物件の3D化を行っている企業、Matterportによれば、業者ごとに平均して月に120万ほどの閲覧があるという。3Dパノラマ効果やCGI 3Dエクスペリエンスなど、2D写真による360度ビュー以上の事が実現できる.

今日では不動産業のMatthew HoodがSamsungのGear VRヘッドセットを使ってマリブにある高級住宅を閲覧できるシステムがサザビーズに導入されている。海外に住んでいるクライアントの他、(セレブである事が多いのだが)来客が少ない環境を望む顧客中心に物件の販売が進んでおり、大きな利益を上げている。

自動車産業

車は最も大きな買い物の一つだろう。様々なモデル、内装、保険、安全から一台を選ぶことはいつも簡単に済ませられることではない。

だがその車の事を伝えられる販促用の写真はほとんど無く、プロの写真でも顧客にイメージを伝えることは難しい。だがVRを使えばイメージをより明確に伝えることが出来る。

グーグルやJauntなどの努力もあり、VRを使った動画作りのプロセスも時代が進んだおかげで簡単になってきている。このことでVRは業者のWebサイトのイメージ作りを越えた動きを見せることになるかもしれない。中古車の売り手などは恩恵に預かることだろう。

Fordはこの点において常に一歩先をいっており、VRを自動車開発の中核に持ってきている。Audiも顧客の家をショールーム化するためにVRを導入した。冷やかしの顧客にとってもバーチャルショールームでランボルギーニやアストン・マーティンの運転席に座れるという恩恵に預かることが出来る(23万ドルというのはコンシューマの予算的にはあんまりな数字だ)。

VRの応用は小売から飲食品、ゲームなどいくつかの産業に広まっている。まだメインストリームで市民権を得るには少々遠いが、業者の注目の高まり、そして益々買いやすい価格帯になってきたヘッドセットの登場により、このイノベーティブなメディアはより身近なものになるだろう。

しかしながらこれで銀行から資金を取り付けるには、まず早いことビジネスを確立することが肝心だ。時がくれば彼らはこの分野をリードしていくことだろう。

画像提供:ReadWrite

Konstantin Andreev
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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