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スマートホームの未熟な青春時代が終わろうとしている

2015年10月29日(木)
ReadWrite Japan

ゲスト執筆者のケント・ディックソンはスマートホームアプリメーカー YonomiのCEOであり、共同設立者である

先週、Quirkyが破産手続きに入ったという悲しいニュースがあった。系列会社のWinkは競売にかけられており、その未来は不確かだ。両社は初期のスマートホーム市場で最も有望視されていた。QuirkyはGEのような主要な投資者たちから莫大な資金を調達し、Home Depotと大規模な流通契約を結んだ。QuirkyとWinkには素晴らしいデザイナーとエンジニアも擁していた。

では彼らに何があったのだろうか?これはスマートホーム市場が失敗していることを表しているのだろうか?

そうではない。これあらゆる技術が経験する成熟に至るまでの通過儀式だ。

テクノロジーの歴史を振り返る

90年代半ばの事を振り返るには若すぎる人たちのために少し触れておこう。グランジはホットな音楽であり、コンシューマーWebはまだこれからという時代だった。またWeb検索にチャレンジする有名なスタートアップ企業も現れた。

この時代でもっとも有望と思われていたサーチエンジンはAltaVistaだっただろう。多くの優秀な人材、イノベーティブなアイデアを備え、当時もっとも成功していたIT企業の非突、DECからの投資も受けていた。AltaVistaは非現実的とも言える企業だったが、彼らの結末を我々は知っている。始めはあれだけ騒がれていたのが、大金を失い、売却を重ねる中でヤフーの配下に落ち着いた(2013年に、ヤフーはこのサービスを停止する)。

そしてグーグルがWeb検索の勝者となり、今では世界でこれまでにない程の価値を有する企業となっている。

AltaVistaが世に出てくるのが早すぎたというのは当たらないかも知れない。ただ新しい市場が出来てすぐの頃は、多くの人柱が必要となるということだ。例え正しい見識 — 「サーチエンジンはWebにおいて決定的に重要だ」 — を持っていたとしても、必要とされる技術、フォームファクター、マーケティング、ビジネスモデルなどが正しく組み合わさる必要がある。初期参入者達は後に皆が参考とする実験の被験者となることもある。

他の例といえば、eToysやBroadcast.comを覚えているだろうか?アマゾンやNetflixといったメジャーどころの現在が彼らの存在なしにあり得ただろうか? 恐らくないだろう。

成長の苦しみ

有名なAltaVistaの失敗が、サーチエンジンが市場の根本を担うコンシューマWebという市場は成り立たないということを意味するだろうか?

もちろんそんな事はない。消費者とは移り気なものであり、彼らが何を求めているのかを自身でよく分かっていないにしても、見たものに心を動かされれば、それに飛びつく(あるいは別のものに流れていく)ものだ。それは書類上では些細な変化かも知れないが、市場では大きな違いとなって現れる。

スタートアップ企業というものをやる事は実に骨の折れるものだが、変貌し続ける市場が成り立つ上で決定的な役割を果たしている。そこで残される失敗例は、将来消費者が享受する事になる利益や価値を創造する為の重要な糧となるものだ。

スマートホームは現実のものとなる

QuirkyとWinkには残念なことだったが、スマートホームは着実に現実化してきている。この破産事案はNest、Sonos、Phillips Hueの導入を妨げるものではない。あなたが家電に、それが電球であろうとWifiが備わってないものを店舗で見つけることが難しくなる時はそこまできている。TVではそれが既に現実のものとなっており、驚くような新製品が現れてきている。Amazon Echo音声アシスタントには改良が続けられており、スマートホームとはどういうものを指すのかという定義を新たなものにしている。

これまでもう一つだったスマートホームだが、現実に使えるものになってきている。思春期のステージにあったスマートホームは成熟期を迎えつつある。それは素晴らしい物になるだろう。

ガートナーが言うように、「幻滅の窪地」(誇張からの幻滅)は「啓蒙の坂」(地に足がついた継続的な成長)に転ずる。我々が今目にしているのはそのステージであり、これが逆戻りすることはない。

画像提供:Shutterstock

Kent Dickson
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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