ブレードサーバーの選択基準およびシステム構成のポイント
ブレードサーバーのシステム構成ポイント
仮想化環境を構成するためには、現状調査が非常に重要です。そこでは、既存サーバーのCPU、メモリー、ストレージ、ネットワークリソースの構成を調査する必要があります。
また、より精緻(せいち)なサイジングを行うためには、それぞれのリソースの使用状況をモニターすることも必要です。使用状況をモニタリングするツールとしては、Windows(パフォーマンスモニター)/Linux(sar)で標準搭載されているようなモニターツールでも構いませんが、仮想化環境でのサイジングに適したツールがベンダーからも提供されています。
VMwareからは「VMware Capacity Planner」が、IBMからは「CDAT」とよばれるツールが提供されています。また、サードパーティからもさまざまなツールが提供されています。こういったツールを用いて使用状況を収集することができれば、あとはサイジングとなります。
サイジングは、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークリソースの使用率と、移行先サーバーの性能から統合率が算出されます。ここには安全率も組み込みます。CPUにおいては、動作周波数(クロック)を用いて次のように計算することもできます。実際には安全率なども見込んでサイジングを行います。
・1台あたりの必要なCPU性能 = 移行前サーバーのCPUクロック×コア数×CPU使用率
・統合率 = 移行後サーバーのCPUクロック×コア数÷1台あたりの必要なCPU性能
メモリー、ストレージ、ネットワークについても同様に、使用率を用いたうえで統合率を算出します。実際の使用率をモニターするのが難しい場合には、前提条件を作ったうえで構成を作成すると良いでしょう。
信頼性や運用性についての検討
次に、非機能要件を検討します。すでにこの段階ではサイジングされており、性能要件も検討されていますが、信頼性や運用性について検討する必要があります。仮想化環境においても、同じように信頼性は重要です。仮想化されたシステムごとに、可用性の条件を例えば次のように分類します。
・フォールトトレラントシステムが必要なシステム (99.999%の可用性)
・HAシステムが必要なシステム (99.99%の可用性)
・コールドスタンバイシステムが必要なシステム (99.9%の可用性)
・それ以外のシステム
分類されたものに対して、それぞれ適用できる仕組みを検討します。例えば、99.9%の可用性であれば、ライブマイグレーションの仕組み、99.999%であれば、FTサーバーのような仕組みか、「IBM System z」なども検討の範囲となります。
仮想化環境での運用においては、セキュリティーも重要なポイントです。ネットワークとして同一の環境に入れることのできないものを分類することも必要ですし、OSの更新の仕組み、ウイルス保護の仕組みもこの時点で検討しておくことが必要です。
ここまでできれば、あとはブレードサーバーの構成を作成していくことが可能となります。
次回は「PowerVM仮想化とWindows環境の統合」について解説します。