時代はグラフェンより「ボロフェン」? ウェラブルの未来を担うのはどちらだ
グラフェン(グラファイトをつくる炭素原子のシート)はウェアラブル、スマートフォンその他の電子デバイス向けの次世代素材だと言われてきた。
だが、テキサス州ヒューストンの私立ライス大学(以下ライス大)の科学者はボロフェン(ホウ素の同素体)が、グラフェンよりもさらに優れたものになると考えている。グラフェンとボロフェンの構造は似ているとされるが、主な違いとしては、”平常時の金属的な状態から別の状態に移るとき”にとる構造が挙げられる。ボロフェンは状態が遷移しても構造自体に変化は無いため、柔軟性も保たれるという。
「ボロフェンは平常時金属的な状態をとり、強固な電子-フォノン結合が超電導性を支える。また、グラフェンに見られるようなディラックコーンを含むリッチバンド構造を持っている」と、ライス大物理学部のボリス・ヤコブソン氏は言う。
ボロフェンの超伝導性と柔軟性
信号や電流が問題なく流れるという点で、ウェアラブル業界において超電導物質は重要な価値を持つ。そして、科学者たちは、「ボロフェン(二次元ホウ素)はウェラブルに適しており、さらにフレキシブルデバイスの場合はそれ以上に適しているかもしれない」と考えている。
グラフェンの価値は、優れたエネルギー伝達性だけでなく、従来のリチウムイオン電池で見られるような爆発などの恐れがないエネルギー貯蔵ソリューションとしての面もある。ボロフェンの登場は、これらの選択肢に華を添えることになるだろう。
「この波のような構造はその優れた柔軟性と、ホウ素と銀との作用においてユニークであると言える」と大学院生のZhuhua張氏は答える。
ボロフェンがあと数年のうちにウェアラブル市場に登場する見込みは、素材の量を考えると少ないだろう。だが、製造業者にとっては、金属やプラスチックでは実現できなかったことをできるようにする可能性となるだろう。。
DAVID CURRY
[原文4]
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- 米ライス大学が世の“ド忘れ問題”を解決する技術『RedEye』を開発!
- 今こそバッテリーにイノベーションが必要な理由
- 増大するリッチシニア層と医療用ウェアラブルの密接な関係
- Google Glassは再考と再開に向けて進行中
- “磁気浮揚“を利用した落合陽一氏の浮揚実験動画が公開
- 東京オリンピックまであと4年、「ウェアラブル」はプロスポーツ界で地位を確立できるか
- EMSプラットフォーム『Aurora』にエンドツーエンドの暗号化が実装
- 2016年に注目すべきアプリの10大トレンド予測
- グーグル、「Project Sunroof」にGoogle Mapsのデータを活用
- 「Wifiのなる木」が登場!? 7月のIoTデバイスをRW編集部が勝手に判定