米ライス大学が世の“ド忘れ問題”を解決する技術『RedEye』を開発!
パーティーや会合で互いに紹介しあった人の名前を数分も経たずに忘れてしまうということは、誰にでも経験があることだろう。会う人全員の名前と顔を覚えておくのは難しいものだ。だが、この問題を解決してくれるウェアラブル技術があるとすればどうだろうか?
ウェアラブルやIoT技術の成長の流れから1つ言えることといえば、デバイス同士がお互いを認識しコミュニケーションを取ることができるということは注目すべき点だということだ。また、人々の歩数や心拍、居場所を常にトラッキングし、それを出会った人の名前を特定するために使う技術があるとしたら只事ではない。
さらに印象的なことは、それらの技術を使い、人込みの中から個人を特定し、その人の名前、必要によってはその他の情報も提供しようというのだ。
ライス大学の研究者たちは、この課題を携帯に付いているカメラを四六時中稼働させることによって克服しようとしている。携帯のカメラは素晴らしいものだが、バッテリー食いでもある。パーティーの一部始終をすべて動画に収めるというのは、バッテリー寿命からいって厳しいものだ。だからといって、必要なときだけ起動させようとしてもチャンスを逃してしまうこともあるだろう。
そこで今回、そのカメラの課題を克服した技術を紹介したい。『RedEye』は、ライス大の能率的コンピューティンググループによって開発された技術だ。高度なソフトおよびハードの仕掛けにより、システムがキャプチャした画像を特定し、その中で必要な情報は何か、不要な情報はなにかを判断するためにかかるエネルギーを劇的に減らすことができるという。
この技術で人は”ド忘れ”から解放されるのか?
「現実世界における信号はアナログであり、これをデジタル信号に変換するのはエネルギー効率的に高く付きます。この変換が発生する以上、エネルギー消費を抑えるのには物理的な限界があった。そこで、信号をアナログの状態で解析したほうがいいのではないかと考えるに至ったのです」と、プロジェクトメンバーの一人であるロバート・リカムワ氏はいう。
携帯に付いているカメラはアナログ画像をキャプチャしそれをデジタル変換するわけだが、この変換には其れ相応の処理コストと電力を要する。そこで、ソフトウェアをデジタル変換無しでアナログのまま解析するよう変更することで、ここの無駄をなくそうという考えだ。
そのためには、システムが人の脳のように情報を処理できるようにならなければいけないなど、様々な技術的課題があったが、得られた結果は明白である。『RedEye』によってウェアラブル、IoTその他のバッテリー駆動のデバイスはこれまでよりもはるかに効率的に、画像データを解析することができるようになったのだ。
あなたの携帯(将来はウェアラブルになるのだろうか)のカメラは常に起動しており、なにかのパターンに当てはまる特定のもの、あるいは人の顔を認識するとその情報をあなたに提示するという流れだ。画像撮影が不適切な場所などもあるため、機能のオンオフの切り替えもこうした技術には必要になるだろう。
現在、『RedEye』やそれに類似する技術はまだ開発の初期段階だが、すでに我々自身、覚えられない細かいことはGoogleに頼っている以上、こういった技術の進歩は避けられないだろう。
いつか我々全員はド忘れから解放されるかもしれない。あるいは、「覚える」ことを永遠に忘れるようになるのかもしれない。
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文]
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